レビュー

「社長の言葉はなぜ届かないのか?」――この書名を見てドキッとしない「社長」はほとんどいないだろう。きっとたいていの人が、自分の言葉がメンバーに届いていないと感じた経験があるはずだ。


本書の著者、竹村俊助氏は、ダイヤモンド社などで多くのベストセラーを制作してきた編集者だ。現在は「顧問編集者」として、上場企業からスタートアップ企業まで、30社近くの経営者の発信に伴走している。その主な仕事は、週に1回、経営者に1時間ほど取材をし、Xやnoteのコンテンツをつくることだ。
そんな竹村氏は本書で「発信をせずに会社や経営者や経営者の人格がまったく知られていない状態」は「リスク」だと指摘する。そして、経営者個人が発信するメリットやコンテンツ制作のノウハウを丁寧にまとめている。
竹村氏によると、経営者個人が発信すべきメリットは5つ。知名度が上がる、会社のファンができていく、採用の量と質が上がる、社内のモチベーションが上がる、投資家・株主に届く、だ。どれも経営者にとって見逃せないメリットだろう。コストを抑えつつこれら5つを一度に叶えられる施策は、なかなか見当たらないように思う。
「Xやnoteのアカウントは持っているけれど、あくまで閲覧専門」「自分の名前や立場を明かして発信したことはない」という方も安心してほしい。竹村氏のノウハウが詰まった本書を読めば、どんな人でもすぐに発信をスタートできるはずだ。

本書の要点

・経営者の発信には、知名度が上がる、会社のファンができていく、採用の量と質が上がる、社内のモチベーションが上がる、投資家・株主に届く、という5つのメリットがある。


・情報過多な現代において、企業が発信すべきなのは「情報」ではなく「コンテンツ」、つまり「何かしら心が動くもの」だ。商品や会社の紹介、採用に関する記事であっても、編集次第でコンテンツになる。
・これから勝てる企業は「推される」企業だ。推される企業になるためには、事業・プロダクトを磨いた上で、その事実を発信によって伝える必要がある。その裏にある思いやストーリーを伝えられればなおよい。



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