レビュー
日本人は投資に向いていない民族だといわれることがある。しかし、本書の冒頭でエミン・ユルマズ氏は、特定の民族に投資の向き不向きがあると思えない、と否定する。
ポーカーから投資についての気づきを多く得てきたというエミン氏は、日本を代表するポーカープロである木原直哉氏と出会い、ポーカーのプロは投資のプロでもあるという確信を深めたという。そうして生まれたのが、二人の対話をまとめた本書だ。
個別株投資とポーカーという一見異なる世界を結びつけ、その共通点に注目しながら、確率思考で投資を制する方法を具体例とともに考えていく。ポーカーで大金を賭ける判断に慣れている木原氏は、本格的に株式投資を始めてからまだ3年ほどだというのに、すでにベテランの風格を漂わせている。その投資に対する姿勢に触れていくと、株式投資とポーカーは似ているという主張にも納得できる。
エミン氏によれば、株式投資をする上で日本に生まれたことは、大変な幸運だそうだ。あとはルールを知って正しくプレーするだけ。そのために必要なマインドを本書は教えてくれる。
本書の要点
・個別株式投資とポーカーには多くの共通点がある。どちらもスキルと運の両方が必要で、リスク管理がものをいう。運がめぐってきたときにそれを活かせるかは、スキル次第だ。
・エミン氏は、市場成長の可能性や個別の企業のシェアを見極め、銘柄を選ぶ「ストーリー投資」を推奨している。木原氏が実践する投資法も、この一種である。
・インフレによって、日本株と経済は長期的に成長する可能性が高い。今後は投資をしていないことが大きなリスクになる。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。