レビュー
あなたはニセコというエリアについて、どのようなイメージを抱いているだろうか。おそらく「物価が高い」「外国人観光客ばかりで、まるで海外のよう」というイメージが一般的だろう。
本書の著者、都市ジャーナリストの谷頭和希氏は「ニセコ化」というキーワードを提唱する。ニセコ化とは、「『選択と集中』によってその場所が『テーマパーク』のようになっていく」現象のこと。ニセコで言うなら、富裕層の外国人観光客というターゲットを「選択」し、ターゲットを満足させるサービスを「集中」的に提供することで、日本であって日本でない「テーマパーク」のような場所になっている。
さらに谷頭氏は、日本全国の観光地、そして私たちの日々の消費活動においてもニセコ化が進んでいると指摘している。多くの外国人観光客がやってくる都市部の高級ホテルや飲食店街はもちろん、飲食店ならスターバックスやびっくりドンキー、街なら渋谷や新大久保、公共施設なら渋谷のMIYASHITA PARKでもニセコ化が進んでいるというから驚きだ。
ニセコ化により、そのサービスは狭いターゲットに深く刺さるようになる。多様化する現代において、ターゲットが狭まることは避けられないのだから、そのターゲットの心を掴むためにニセコ化を進めるのは企業にとって自然な選択だろう。
一方で、ニセコ化には問題もあると谷頭氏は指摘する。さて、ニセコ化はどのような問題をはらんでいるのか。ぜひ自分なりの仮説を準備してから読み進めてほしい。
本書の要点
・スキーブームの終焉とともに集客のピークを過ぎていたニセコは、売りを見きわめてターゲットを「選択」し、ターゲットに合うサービスを「集中」的に提供するというプロセスを通して、世界的なスキーリゾートになった。日本各地の観光地でも同様の「ニセコ化」が進み、集客に成功している。
・スターバックスが成功している理由の一つは、「商品ラインナップ」と「商品価格」の2点において「選択と集中」しているからだ。
・ニセコ化によって「選択」される人がいる一方で、「排除」される人もいる。
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