レビュー
宇宙がどんどん近づいてくる。それが本書の魅力だ。
宇宙と聞くと、私たちの生活から一番遠い存在のように感じるかもしれない。そこで行われるビジネスなど、我々とは到底かかわりのないように思える。だが本書を読み進めるうちに、宇宙ビジネスがいかに身近なものかが分かるはずだ。
著者の中村友弥氏は、宇宙ビジネスメディア「宙畑」の編集長として、宇宙ビジネスに関する様々な情報を発信してきた人物だ。本書では、宇宙ビジネスの魅力を、広く、分かりやすく、そして深いところまで取り扱っている。宇宙と聞いて誰でも思い浮かべるロケットにまつわるとても面白い話。イーロン・マスクの手がける事業。そして私たちの生活を支える宇宙技術。さらにはSF小説が宇宙技術に与えた影響までも語られており、一冊を読み終わるまでまったく飽きない。
本書を読み終えたとき、遠く見上げるだけだったはずの宇宙をすぐそばに感じることができるだろう。そして、自分も宇宙ビジネスにかかわれるのではないか、と思えるはずだ。
宇宙ビジネスは今や一握りの人だけがかかわれる狭き門ではなく、多くの人が力を合わせ、様々な知識や技術を結集して未来への扉を開いていくものになりつつある。
本書の要点
・宇宙ビジネスは、今を生きるほぼすべての人の生活や仕事にかかわっている。宇宙ビジネスは少子高齢化や食糧安全保障といった問題を解決する糸口にもなりえるため、政府も大規模な予算を割り当てている。
・漁業では、過去の天候、漁獲実績、漁場の情報と衛星データを組み合わせることで、その日に漁獲が見込める漁場を予測するサービスが登場している。このサービスは、ベテラン漁師の思考や判断プロセスの継承にも役立つ。
・衛星データの利活用は、日本の人材不足を解決してくれる可能性がある。例えば、道路や橋、河川といった社会インフラを宇宙から観察し、リスクを検知することで、スタッフが巡回する必要がなくなる。
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