レビュー
営業職は専門職であるにもかかわらず、その教育環境は他の専門職に比べて整っていない。資格制度がない分、指導は属人的で場当たり的になりやすく、成果を出せる人と結果に悩み続ける人の間で、大きな差が生じてしまう――本書は、この問題提起から始まる。
著者の田中大貴氏は、キーエンスとプルデンシャル生命という営業の名門企業で抜群の実績をあげてきた人物である。キーエンスでは連続で目標を達成し、プルデンシャル生命では、当時全国最年少でエグゼクティブ・ライフプランナー(部長職)に就任したばかりでなく、約120万人の生命保険募集人の中でも上位0.01%しか認定されないMDRT TOT会員に選出された。その後は、営業に悩む組織や個人を支援すべくSales Naviを創業し、営業パフォーマンスの標準化に取り組んでいる。
本書は、そんな田中氏の現場経験と理論を凝縮した「営業の教科書」である。最大の特長は、営業成果を「4つの要素×4つのステップ」という構造で捉えている点にある。営業力の基盤となる「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」の4要素に対し、「知る」「わかる」「やってみる」「できる」のステップを順に踏ませることで、再現性のある成長を可能にしている。
実践的かつ体系的に、営業の「型」を習得できるよう設計されており、属人的なやり方から脱却したいと考えるすべての営業パーソンにとって指針となる一冊である。特に、営業で壁にぶつかっている若手や、チームを育てたいマネジャー層には非常におすすめだ。これ一冊読んでおけば、これからの営業人生が一変するだろう。
本書の要点
・常に成果を上げ続ける組織には、営業の基盤となる「型」が存在し、それを営業パーソンに対して体系的に教育している。この型に沿って営業活動を行うことで、一定以上の成果を安定して生み出すことが可能となる。
・成果を出し続ける組織には、独自のカルチャーが根づいている。
・売れる営業パーソンは、「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」の4つの要素を備えている。これらを身につけるには、それぞれの要素において「知る」「わかる」「やってみる」「できる」という4段階のプロセスを順に踏んでいく必要がある。
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