【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 春ドラマがスタートした。冬ドラマでは「不適切にもほどがある!」の阿部サダヲに、「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」の原田泰造などおっさんドラマが人気だったが、流れは今期も続いている。


 1日、先陣を切ってスタートした「VRおじさんの初恋」(NHK)。主人公を演じるのは野間口徹(50)。顔は見たことあるけど、名前が出てこない俳優として知る人ぞ知る存在だったが、昨今の活躍はめざましく主演を張るまでに。


 演じる直樹はタイヤメーカーに勤める冴えない中年会社員。この手の冴えない男を演じさせれば右に出る者はいないというほどしっくりくる。


 そんな彼の唯一の趣味がVR(仮想現実)世界を体感するゲーム「トワイライト」。

夜な夜なVRゴーグルを装着、セーラー服姿の女子・ナオキとして仮想世界を楽しむ。VRゴーグルを装着しているので、口元しか見えていないのに喜怒哀楽が伝わる演技はさすが。



江口のりこと吉田鋼太郎のシリーズものもいい

 パート4の「ソロ活女子のススメ4」(テレビ東京系)。江口のりこが自由気ままに食べたり飲んだり遊んだり。おひとりさまを満喫する姿に癒やされる。


 続編では「おいハンサム!!2」(フジテレビ系)も注目。

2022年1月期に放送され、話題を呼んだ新感覚のホームドラマで、主演は吉田鋼太郎。演じる父・源太郎、MEGUMI演じる母・千鶴、長女・由香(木南晴夏)、次女・里香(佐久間由衣)、三女・美香(武田玲奈)。いまどき貴重な家族の物語はやっぱり面白い。


 前クールの「おっパンツ」から「おいハンサム」へ。この枠はおっさんドラマ枠として定着させた方がいい気もする。


 13日スタートの高橋一生&橋爪功の「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱」(テレビ朝日系)、14日、長谷川博己主演「アンチヒーロー」(TBS系)も楽しみ。

おっさん、おばはんがキャリアと人生を背負った芝居は見応えがある。


■大丈夫か?カッコつけの木村拓哉


 そんな中、石原さとみの主演ドラマ「Destiny」(テレ朝系)を見たら石原をはじめ、亀梨和也、宮澤エマ、田中みな実、矢本悠馬が大学生を演じていたのはさすがに無理がある。若い人たちが見れば、おっさん、おばはんがなぜ大学生のコスプレしてるの(!?)だろう。ますますドラマ離れを誘発させることになりかねない。このドラマは放送前に亀梨と田中の交際が発覚した、どっちらけだ。そのせいか(?)田中は初回で交通事故死。

合掌。


 今期で一番心配なのは木村拓哉主演「Believe-君にかける橋」(テレ朝系)。「VIVANT」にあやかろうということか、キムタク以外のキャストはいまだ明かされず。公式サイトもほかの出演者は後ろ姿という徹底ぶり。「またキムタクのカッコつけドラマっしょ」と視聴者も今から冷めているようで。


 おっさんはおっさんらしく。

誰かキムタクに伝えて欲しい。


(桧山珠美/コラムニスト)