2025年度予算案が、3月31日成立した。


 野党が採決に応じた理由のひとつは、安倍派の幹部だった世耕弘成・前参院幹事長(自民を離党)の「参考人招致」が全会一致で可決されたことだ。

あっさり可決されたことに野党も驚いたという。


 世耕氏の招致が議決されたのは、3月28日の参院予算委。予算案の採決にあたり、野党は下村博文・元文科相ら安倍派の元幹部4人の招致を要求していた。自民側は、4人のうち世耕氏の招致を提案し、野党が受け入れた。招致は、自民党も含めた全会一致で可決された。


 招致について自民党は、世耕本人に事前に知らせなかったという。参考人の出席は任意だが、自民の石井準一・参院国対委員長は「全会一致を重く受け止めるべきだ」と、まるで野党議員のように出席を迫っている。


「自民党の中には、招致に賛同しない議員もいましたが、参院自民の執行部は、わざわざ、そうした議員を予算委員から差し替えて議決に臨み、全会一致の環境を整えています。自民の予算委員で11人いる安倍派の議員のうち、4人が差し替えを希望しています」(政界関係者)


 安倍派の幹部だった世耕氏は、裏金事件の党内処分を受けて昨年4月に離党。


 昨秋の衆院選で、参院から鞍替えしている。現在、無所属の衆院議員だが、参院安倍派「清風会」の会長をつとめるなど、参院自民の中で絶大な力を持っていた。


 ところが、参考人招致に対し、自民党内からは、ほとんど異論が出なかったという。


 やはり、相当、嫌われているのか。


■被害者ぶった振る舞いにくすぶる不満


「もともと、自民党内には安倍派に対して『党に迷惑をかけているのに、被害者のように振る舞っている』という不満がくすぶっています。さらに、安倍派の中堅若手には『幹部5人衆の責任だ』『幹部が説明責任を果たしていない』という不満があります。ただでさえ、世耕さんは批判される立場にいる。しかも、個人的にも党内の反感を買っています。今夏の参院選、自民党は和歌山選挙区に二階俊博・元幹事長の三男を擁立予定です。なのに、世耕さんは、自分の子分を対立候補として立てようとしている。完全な敵対行為です。それに、参院から衆院への鞍替えも、参院議員は面白く思っていない。参院自民で力を持っていたのも、カネと人事権を持っていたからでしょう」(自民党関係者)


 まさか全会一致で参考人招致が可決されるとは、世耕本人も思っていなかったのではないか。3月31日、メディアから「ぶらさがり」を要請されていたが、拒否している。参考人として出席して弁明しても、出席を拒否しても、批判されるのは間違いない。


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 世耕弘成氏が代表を務める資金管理団体「紀成会」の、常識外れの支出が日刊ゲンダイの調べで分かった。裏金でナント、高級シャンパン「ドンペリ」を何本も購入していたのだ。●関連記事【もっと読む】『【独自】自民・世耕弘成氏が裏金で高級シャンパン「ドンペリ」購入 “泡”と消えたのは45万円也!』で詳報している。


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