極めて分かりやすい連中だ。


 物価高やトランプ関税を受けた経済対策として、与党内で全国民を対象とする一律3万~5万円の現金給付案が浮上。

2025年度補正予算案に関連経費を計上する見込みだ。


 夏の参院選に向けた“選挙対策”であることがミエミエで、SNSでは「今更そんなもんで騙されるかよ」「給付したら支持率上がるとでも?」といった投稿があふれている。


 ミョーに前のめりな公明党内からは「10万円にすべき」「20万円だ」なんて声が上がっているそうだが、「彼らは6月の都議選対策の意味合いが強い。国政選挙並みに重視している」(永田町関係者)という。


 今年の参院選で改選となる自民党議員もロコツだ。自らも改選組の松山政司参院幹事長は「高関税から国民生活を守り抜くには、前例にとらわれない大胆な政策が必要」などと発言していた。


「石破総理もトランプ関税を『国難』と表現し、『新型コロナウイルス対策に匹敵するものを考える』と前向きです。支持率が低迷する中、参院選で負ければ『石破降ろし』が起きかねないから、必死なのでしょう」(官邸事情通)



「10万円商品券」配布問題を彷彿

 しかし、給付金はトランプ関税や物価高対策にならないばかりか、参院選対策にもならない可能性が高い。過去、政府が実施した給付金は空振りに終わっているのだ。


 バブル崩壊後の1999年、15歳以下の子供を対象に1人2万円分の「地域振興券」を発行。リーマン・ショックで景気が落ち込んだ09年には、1人当たり1万2000円の定額給付金を支給した。ところが、多くは貯蓄に回ったため経済活性化につながらず、政権浮揚にも効果がなかった。


 20年4月には当時の安倍首相が新型コロナの感染拡大を受け、全国民への一律10万円給付をブチ上げたが、内閣支持率は下がり続け、8月には退陣に追い込まれたのだった。


 今回の5万円給付も不発となる可能性大だ。「逆効果になるんじゃないか」と言うのは、ある自民中堅議員だ。こう続ける。


「先日、石破総理が昨年の衆院選で初当選した1期生15人に1人当たり10万円分の商品券を配っていたことが発覚し、問題視されましたよね。既に忘れ去られかけていますが、『5万円』『一律給付』というワードで、国民が商品券問題を思い出してしまうのではないか。選挙中に『議員には10万円で国民には5万円ぽっちかよ』なんてヤジられたらたまったもんじゃないですよ。だいたい、5万円給付のどこが関税対策なのか意味不明ですし、そんなに配ったら逆にインフレが進むんじゃないですか? 本当にフザけてますよね」


 5万円で“票を買おう”なんて邪な考えはやめた方がいい。


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 一連のトランプ米政権による日本への関税措置の見直しを求め、日本の「交渉役」に抜擢されたのが、石破首相の腹心、赤沢亮正経済再生担当大臣。 赤沢氏は石破政権が初入閣のため、荷が重すぎやしないかと不安視する声も。●関連記事【もっと読む】『トランプ関税「交渉役」に大抜擢…石破首相の腹心こと赤沢亮正経済再生相の“ホントの実力”』で詳報している。


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