自民党旧安倍派の裏金事件をめぐり、世耕弘成前参院幹事長の参考人招致が21日の参院予算委員会で実施された。昨年4月の「離党勧告」から半年後、無所属で衆院に鞍替え。
焦点は、政治資金パーティー券販売ノルマ超過分の還流復活の経緯だ。会計責任者だった松本淳一郎元事務局長は2022年7月に「今は現職ではない」幹部から再開を求められ、世耕氏も出席した8月の幹部会合で決まったと証言している。
昨年3月の参院政治倫理審査会で「自分は刑事的に真っ白」と強弁した世耕氏の姿勢に変化なし。「大変反省」「悔いている」と陳謝しつつ、都合の悪い質問には「しかし残念ながら」を連発した。
還流復活については、「(22年4月に会長の)安倍さんの指示が〈ノルマ通り売れ、還流はやめろ〉だったので返す必要はない。別の議員が〈収入に見込んでいる人もいる〉と言うので、個人のパーティー券を派閥が買う形で返していけばいいんではないかという案が出て、それならという形で会合は終わった」などと釈明。「なぜ局長が現金還付が決まったと思っているか分からない」と言い、「エビデンス」として会合当日の午後にメッセージアプリを通じた松本氏との連絡内容を説明。ノルマ超過した15議員のパーティー日程を一覧にして送ったとし、「パーティー券を買って返すというコンセンサスができていると思って送った。松本氏から〈世耕さん了解です〉とメッセージがあった」などとまくしたてた。
とりわけ冗舌だったのは企業・団体献金についてだ。
■圧巻の資金力
世耕氏の資金管理団体「紀成会」の政治資金収支報告書によると、23年までの3年間で集めた個人献金は約2.4億円。圧巻の資金力を誇るだけに言いたい放題だ。「小物界の大物」と揶揄されるわけである。
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世耕氏の参考人招致に対し、自民党内からは、ほとんど異論が出なかったという。 まさか全会一致で参考人招致が可決されるとは、本人も思っていなかった?●関連記事【もっと読む】『世耕弘成氏「参考人招致」まさかの全会一致で可決…参院のドンから転落した“嫌われ者”の末路』で詳報している。