全力アシストもむなしかった。
今月27日投開票の滋賀・彦根市長選で、2期目を目指した現職の和田裕行市長(54)が田島一成元衆院議員(62)に、845票差で敗れた。
和田氏は、地域政党「再生の道」の石丸伸二代表と懇意なことで知られる、いわば「石丸印」だ。昨年7月の都知事選に石丸氏が出馬した頃から急接近し、投票日直前の石丸氏の決起集会にも駆け付けた。
今回の市長選では、石丸氏が和田氏を手厚く応援。街頭でマイクを握ったほか、選挙カーにも同乗し、少なくとも4日間にわたり選挙運動を共にした。
しかし、この“石丸ベッタリ”の戦略が逆効果になったようだ。
■公選法違反疑惑に名誉棄損でイメージが悪い
「和田陣営は『政治屋の一掃』を掲げ、SNSを積極的に活用するなど石丸路線を踏襲したが、これに『ついていけない』と漏らす有権者は少なくなかった。昨年、石丸氏を彦根市の一日市長に任命し、市の職員から『公私混同だ』という批判もあった。最近では石丸氏に公選法違反疑惑が浮上しているうえ、市長選期間中に安芸高田市長時代の市議への名誉毀損裁判の敗訴が確定した。“石丸頼み”はイメージが悪かった」(地元政界関係者)
企業経営者出身の和田氏は財政再建に加え、彦根市のブランド力を向上し「稼げる町」を目指すなど、経済政策メインで訴えてきた。
「財政健全化を理由に丁寧な議論がないまま地域の児童館を廃止するなど、和田氏の市政運営が経営者っぽすぎるという批判も市民から聞かれた。石丸氏と同じく、弱肉強食の考え方が強く出すぎています」(前出の地元政界関係者)
「再生の道」は6月の都議選で全42選挙区のうち、36選挙区に計45人の候補者を立てる方針だ。公募に合格した77.1%が年収800万円以上の「ハイクラス人材」だったというが、その理由は「仕事ができるかどうかという観点で審査した」としている。
今回の選挙は事実上、「石丸印」に“NO”が突き付けられたということ。石丸氏は7月の参院選にも10人の候補者を立てるというが、雲行きは怪しくなってきた。
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東京都知事選で次点となった石丸伸二氏陣営の公職選挙法違反疑惑の詳細は●関連記事【もっと読む】『石丸伸二陣営に都知事選での公選法違反疑惑…矢面に立たされた渦中の「T氏」の正体と釈明』で報じている。