小泉今日子(59)と中井貴一(63=写真)がダブル主演しているフジテレビ月9「続・続・最後から二番目の恋」。前シーズンの「続」から11年ぶり、しかも第1、2シーズンの木曜劇場から月9での復活ということで注目されていた通り、視聴率や見逃し配信の再生数で春ドラマの上位に食い込んでいる。
「かつて“フジ月9”に夢中になった世代も、今は50代後半から60代が中心。その層にこのドラマが刺さりまくっているのはSNSのコメントからも感じられますね」(テレビ誌ライター)
SNSでは放送開始前から《春ドラマで一番楽しみにしている》という声が多かったが、放送が始まってからも《自分もアラ還なので、いちいち身につまされることが多い》《キャストが全員、ずっと見ていたくなるくらい愛おしい》などなど絶賛する声が目立つ。映画やドラマのレビューサービスFilmarksでの評価も5点満点で4.3(5月9日現在)と、春ドラマの中ではトップクラスの高評価だ。
「ネットも日常的に使いこなしつつ、テレビも熱心に見ているのがアラ還世代。そこに向けてしっかり作っているのが分かります」と話すテレビコラムニストの亀井徳明氏は、こう続ける。
「舞台が鎌倉、小泉さんの役柄がドラマのプロデューサー、その友人も音楽プロデューサーと、雑誌の編集者。これって、1980年代後半~90年代前半の“トレンディードラマ”にある要素です。会話のテンポやノリもそうだし、トレンディードラマの骨格の上に成り立っているから、“かつての若者”にとっては今でも“トレンディー”に受け止められるのではないでしょうか」
■「バカリズムさん脚本のドラマがそれに近いものを感じます」
劇中の「あるある」と「ありえない」、「お約束」と「意外性」、そのバランスが「岡田惠和さん脚本の真骨頂です」と亀井氏はさらにこう話す。
「最近で言うと、バカリズムさん脚本のドラマがそれに近いものを感じます。ただ、岡田さんの脚本はファンタジーの中にも“考えさせる”割合が多いのと、伏線と回収の巧みさが加わります。たとえば第3話で初回の“エロ本号泣事件”を回収しつつ、冒頭の小泉さんのセリフにあった“キャッチボール”を終盤の中井さんと三浦友和さんのキャッチボ—ルにつなげたあたり。《うまい!》と思ったのは僕だけではないはず」
そして、第3話中盤での小泉と飯島直子(57)の会話のシーン。
「“専業主婦”と“働く女子”について、TBSで放送中の『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』が全話で言いたいことをこのワンシーンだけで表現していて、“トレンディー”だけじゃない凄みがありました」(亀井徳明氏)
ただ、SNSではシリーズのファンから“微妙な違和感”を唱える声もあるようだ。
「脚本、キャストは同じですし、ヤエル・ナイムの挿入歌も同じですが、演出スタッフが前2作とは違うんです。かなり前2作に寄せてはいますが、ちょっとした場面転換や絵作りの違いを感じ取るファンも少なからずいるようですね」(前出のテレビ誌ライター)
その点に関して前出の亀井徳明氏はこう言う。
「実は僕も、前2作での小泉さんと中井さんが酔っ払う場面が好きだったんですが、今作では、お酒を飲む場面はあっても“へべれけ”にはならないのがちょっと物足りない。演出の違いというよりは、年を重ねてそこまで飲めなくなったというリアルなのかもしれませんが、何か他に“思惑”も感じます。でも、中井さんの“困り芸”はますます磨きがかかっているし、多くの視聴者は演出の微妙な違いはさほど気にせず楽しんでいると思いますよ」
それだけ熱狂的ファンに支持されているということか。テレビをリアタイ視聴する層の支持が高いとされる1話完結の刑事モノでも医療モノでもない、シルバー世代予備軍向けの“トレンディードラマ”。この人気と高評価は、問題山積のフジテレビにとって突破口となるか。
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