【春ドラマ「女優進出組」の実力大分析】#4


 乃木坂46・五百城茉央
  「MADDER その事件、ワタシが犯人です」
  主人公・仲野茜役


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 坂道シリーズのアイドルたちは、グループに加入して間もない時期から演技に取り組んできた。乃木坂46では、生田絵梨花・白石麻衣・西野七瀬らの初期メンバーは舞台公演「16人のプリンシパル」で演技力を磨き、齋藤飛鳥・山下美月・与田祐希らはドラマ「ザンビ」(日本テレビ系)が女優としての原点になった。


 乃木坂46の次世代を担う5期生メンバーは、2024年の乃木坂46“5期生”版ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」で切磋琢磨した。


 最近はその5期生の連ドラ進出が目立つ。今春は小川彩が「波うららかに、めおと日和」(フジテレビ系)で主演の芳根京子の妹役を演じ、副キャプテンでもある菅原咲月は広瀬アリス主演の「なんで私が神説教」(日テレ系)に出演。2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」にはシングルでセンターも務めた井上和の出演が決定している。


 そして、4月にスタートした「MADDER その事件、ワタシが犯人です」(カンテレ・フジ系木曜深夜)で連ドラ初主演を果たしたのが、19歳の五百城茉央。学園創立以来初の入試全教科満点で入学した天才高校生を演じている。


 2005年7月29日生まれ、兵庫県出身。2022年にオーディションに合格して、乃木坂46に加入。グループの先輩の1期生メンバーでは伊藤万理華に憧れている、というところに五百城茉央のセンスのよさを感じる。今年1月には初写真集「未来の作り方」が発売され、オリコン週間BOOKランキングで1位を獲得した。


 五百城茉央が「セーラームーン」ミュージカルで演じたのは、セーラージュピター(緑色)。主役のセーラームーンではなく、かつて実写ドラマで北川景子が演じたセーラーマーズでもなく、どちらかというと脇役のイメージがあるセーラージュピター役だった五百城茉央の注目度が高いというのが、乃木坂46の新しい姿を象徴している。


 グループでは癒やしの魅力を持つメンバーとして人気がある。ドラマで見せる彼女の表情には、やさしい味わいがする柑橘系の果実に通じる、切れ味と温かさが共存した魅力があり、福原遥・長濱ねると姉妹役を演じると、印象的なコントラストを見せる気がする。ただし、今回の初主演ドラマで演じているのはクールな高校生役で、いつもの彼女とはひと味違う魅力が開花しそうだ。


「いおき」という珍しい名字も、数カ月後には多くの人が読めるようになっているに違いない。


(高倉文紀/女優・男優評論家)


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