【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 ルールですか…あるといえば、大臣がテレビ出演する時にはその内容を各局とも無断で記事にしてよい、というのはありますね。各社の番記者さんが収録にくっついて局にやってきますから、取材場所を提供するのもルールになっている感じです。

例えばテレ朝では、局の入り口の「配車センター」というタクシーやハイヤーを手配する部署の前に大きなテレビがありますので、そのテレビの前の待ち合わせスペースに番記者さんを集めてました。配車センターの横で記者さんたちがメモを取ってる姿はちょっと異様な雰囲気でした。


■大臣就任時のテレビ番組ハシゴ…進次郎氏は“特殊”なケース


 では「出演権」みたいなものにルールがあるかというと、これはないです。通常なら大臣が変わったからといって、そんなに番組に呼ぶことはありませんけど、今回は特殊ですよね。いまテレビは毎日毎日飽きもせず米の値段の話ばかりやってますから、そういう意味で「コメ大臣」は引っ張り凧になっている、というのはあるでしょう。


 あとやっぱり、「小泉進次郎さんだから」というのが大きいのではないでしょうか。進次郎さんほどテレビ向きの政治家さんはまずいません。私の考えでは、進次郎さんは「コメ大臣」というよりむしろ「テレビ出演パフォーマンス大臣」として選ばれたのではないかと思えるくらいです。いろいろ「テレビにちょうどいい」感じですよね。


 まず、知名度が高い。そして、お父さんがパフォーマンス上手で、その血を色濃く受け継いでいる。ルックスも良い。

「難しいことは言わなそう…というか言えなそう」な感じもするし、「なんだか明るい性格で、人柄も良さそう。友達多そう」な感じもします。これ、ほとんど「テレビのバラエティで活躍できるタレント」の条件をすべて揃えているんですよね。しかも、奥さんは「テレビに超詳しいプロ」ですから、いろいろアドバイスを受けてそうだし、「小泉進次郎構文」なんて言葉もあるくらいで、「言ってることが分かるような分からないような」内容なので、ツッコミを入れながら楽しめます。


 ここまでテレビ向きな人はこれまでに、私が思うに「田中真紀子さん」くらいですかね。そう言えばいろんな条件も似てますよね、真紀子さんと進次郎さん。「数字が狙える政治家」であることは間違いありません。だから各局取り合いになっているのでしょう。ただ、テレビでウケがいい人が、政治家として優れているかどうかは、また別の問題ですけれど。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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