【今週グサッときた名言珍言】


「今年も学園祭、呼んでください!」
(里見まさと/フジテレビ系「THE SECOND~漫才トーナメント~2025」5月17日放送)


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 今年で3回目となった「THE SECOND」で、ひときわ注目を浴びたのが、芸歴54年目にして出場したザ・ぼんちだ。金属バットとハイレベルな戦いを繰り広げ、惜敗した里見まさと(73=写真(右))が最後に放った言葉を今週は取り上げたい。


 ザ・ぼんちといえば、1980年放送の「THE MANZAI」(フジテレビ系)をきっかけにおこった「漫才ブーム」の象徴のような存在だ。「8分間の漫才で、人生がガラッと変わりましたね」(ダイアプレス「俺たちの昭和マガジンPLAY BACK」2014年7月17日)と、まさとは振り返る。アイドル的な人気を誇り、漫才師で初めて武道館公演も行った。


 だが、ブームは終わり、「燃え尽き症候群」で解散。収入は月7万円ほどに激減した。「頂点から一気にどん底でした。自殺したらどんだけ楽かと思った」(小学館「NEWSポストセブン」16年11月12日)という。ぼんちおさむ(72=同(左))はもともと役者志望だったこともあり、俳優の道で活路を掴んだが、まさとは漫才にこだわった。


 そのとき出会ったのが、関西でピン芸人として活躍していた亀山房代だった。亀山から「コンビを組みませんか」と誘われ、15歳年下の彼女と周囲の反対を押し切って漫才を始めた。


 ザ・ぼんちはブレークまで10年かかった。「まさと・亀山」は3年で結果を出す。

反対された分、まさとは燃え「三年間で、10年分の稽古」(同前)をして研鑽。上方お笑い大賞・金賞や上方漫才大賞を受賞するに至った。だが、まさと・亀山は、亀山の妊娠を機に解散。50歳になった、まさとは、おさむとザ・ぼんちを再結成した。


 しかし、16年のブランクは想像以上に大きかった。「昔のネタを引っぱり出せばすぐいけると思うたけど、いけませんでしたね。50歳になったら50歳の漫才をやらんとあかんのでしょうね」(小学館「NEWSポストセブン」24年2月18日)と、まさとは回想する。


 新しいマネジャーからハッパをかけられ、稽古に励み、単独ライブなども開催。若手が出る劇場にも参加するようになった。「吉本の沼津の劇場とかや大宮の劇場に出たらギラギラとしている人ばっかり。あれが今回出るきっかけになった」(フジテレビ系「THE SECOND2024 ノックアウトステージ32↓16」24年3月24日)と、「THE SECOND」への挑戦を昨年から始めたのだ。


 まさに生涯漫才師。

「老いてますます盛ん」という言葉はザ・ぼんちのためにあるかのようだ。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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