【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
日本を代表する三大七光息子といえば貴乃花の息子の花田優一、桑田真澄の息子Matt、そして長嶋茂雄の息子、長嶋一茂だろう。
花田はイタリアで修業した靴職人として一時脚光を浴びたが、「納期を守らない」などとトラブルが報じられ、さらにはプライベートのゴタゴタもあり、気がつけばフェードアウト(?)。
Mattは奇をてらった特徴的なメークで注目され、最初こそバッシングの嵐だったが、バラエティーなどで人柄が知られるようになると支持する人も多くなった。真っ白すべすべ陶器肌、大きな瞳、高い鼻筋に写真を加工することをMatt化という言葉も生まれ、親子仲もよくCMやバラエティーで共演を果たした。
松岡修造や石原良純、小泉孝太郎ら今、テレビで重宝されている七光息子は、みんなお坊ちゃま気質で性格がいいという共通点がある。
生まれながらの品のよさに加えてミスター譲りの華もあり…
一茂は愛すべきバカ息子とでもいうべきか。偉大なるミスターが亡くなり真っ先に自宅に弔問に訪れたのが盟友である王貞治。その映像がニュースなどで流れたが、次女の三奈さんの隣にいる一茂を見てほっとした人もいたのでは。
というのも、長嶋家と一茂には長年の確執があると囁かれていた。一茂はてっきり出禁かと思われたからだ。雨の中、兄妹仲よく王さんを見送る姿に感動を覚えそうになったが、Tシャツ姿の一茂に仰天。桃色? 紫?のなんとも微妙な色合いで今、それを着るかと。
とはいえ、公式コメントや6日、レギュラー出演する「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で語った父への思いを聞くと一茂なりの葛藤もあったようで、ただのバカボンではないのがわかる。
一茂は「モーニングショー」の曜日コメンテーターのほか「ザワつく!金曜日」(同)、「出川一茂ホラン☆フシギの会」(同)、「一茂×かまいたちゲンバ」(日本テレビ系)のレギュラー番組を持っている。
コンプラが厳しく、萎縮するタレントが多いなか、自由奔放な行動と言動が際立つ一茂。しかもハワイに長期滞在するためにレギュラーを休むなどの気ままが許されるのが一茂。人徳か。
9日の「一茂×かまいたちゲンバ ゴールデン2時間SP」で寿司屋に行った際も握りを1カン食べただけで、職人に「あなた天職だと思いますよ。(自分は)超一流のものしか食べてきてないから、1カン食っただけで全部わかる!」と言ったのだが、これがちっとも嫌みに感じない。
生まれながらの品のよさに加えてミスター譲りの華もありか。今のテレビにはますます必要になる予感。愛すべき国民的バカボンかも。
(桧山珠美/コラムニスト)