【今週グサッときた名言珍言】
「カッコええとかいらんねん。カッコええは食われへんかった」
(酒井一圭/日本テレビ系「故人と話す不思議部屋 異人たちとの夏」5月26日放送)
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ムード歌謡グループ「純烈」のリーダーとして活躍する酒井一圭(49)。
酒井は子供の頃、「アントニオ猪木と『あばれはっちゃく』と『太陽戦隊サンバルカン』のバルイーグルになりたかった」(双葉社「ふたまん+」2024年11月17日)。そのため、親に懇願し児童劇団に入団。小学4年生の時に「逆転あばれはっちゃく」(テレビ朝日系)のオーディションに受かり、夢のひとつがかなった。
ところが忙しすぎて学校に行けなくなり、このままでは大変なことになると思い、芸能界から一時足を洗った。だが、高校3年生の頃、文化祭でブルーハーツのコピーバンドとして舞台に上がり、熱気を浴びると芸能界への思いが再燃。一方でこの頃、人気を集めていたのは木村拓哉や、いしだ壱成、武田真治。世間が求めるものと自分のキャラクターを冷静に分析し「自分のピークは50代以降になっちゃう」(「双葉社「THE CHANGE」24年1月27日)と悟った。
01年、「百獣戦隊ガオレンジャー」(テレビ朝日系)に出演し、戦隊ヒーローの夢もかなえると、05年には「マッスル」という団体でプロレスラーにもなれた。「あらゆるカルチャーを行ったり来たりするのがとにかく好き」(「THE CHANGE」24年2月3日)という彼は、翌06年、新宿ロフトプラスワンのプロデューサーにも就任した。
プロデューサー気質は若い頃から。「ガオレンジャー」時代も「スーパー戦隊シリーズ」ブームをつくるため、「『夜の世界の女性が、朝方家に帰ってテレビつけたら、戦隊をやっていて“ちょっとカッコいいと思った”』とか、そんな記事を書いてくれへんかな」(「ふたまん+」=24年11月24日)などと“暗躍”。
そんな中、大手プロが前に立ちはだかり「こいつら、ええもの持っているけど、あと3~4年のうちに地元に帰って芸能界をやめてしまう」(同前)と感じることが多かった。そこで結成されたのが純烈だった。
「かっこよくなくてもいい男ってたくさんいるじゃないですか。大人になると、それがだんだんわかってくる」(「THE CHANGE」24年1月20日)
酒井はその確信を持って「カッコええ」だけではない価値観の大人の“アイドル”純烈を生み出したのだ。
(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)