【あの人は今こうしている】


 誠子さん
 (元“尼神インター”/36歳)


  ◇  ◇  ◇


 ルックスのアンバランスさが目を引いた女性お笑いコンビ「尼神インター」。昨年3月に突如解散し、ファンを驚かせた。

解散と同時に所属していた吉本興業を離れ、フリーになった誠子さん、今どうしているのか。


 誠子さんに会ったのは、JR恵比寿駅から徒歩7分のカフェ。ずいぶんホッソリして、キレイになっている。


「ピーク時より20キロ痩せました。無理なダイエットをしたわけじゃなく、コロナのとき仕事がなくなり時間ができたので苦手だった料理に挑戦し、体に良いものをとりキチンとした生活を送るようになったら、自然に少しずつ体重が落ちたんです。それまでは1日3食ロケ弁、午前0時から収録、とかやったんで」


 こう言う誠子さん、色白の肌がマブシイくらいだ。コンビ時代はモテない“勘違いブス”をキャラにしていたが、モテモテになったのでは?


■収入ゼロからのスタート「恋人はいません」


「モテるというのがどういう状態かよくわかりませんが……彼氏はいません(笑)。結婚の予定もありません。私のお母さんのような母親になるのも夢ですが、フリーになって1年。収入ゼロからの再スタートやから、バタバタすぎて……やっとすてきな恋愛がしたいな、という気持ちが湧いてきたところです(笑)」


 料理を突き詰め、「誠子食堂」と名付けた料理イベントの開催や、ライフスタイルブランド「merci」の運営などを手がけているという。お笑いはもう卒業なのか。


「いえ、私はあくまで芸人。

いろいろ手を広げているのも、お笑いに役立つから。それに、お笑いイベントも、ここ1年で単独ライブやカナダ・バンクーバーでの英語のライブ、落語などを、ゼロから企画して約10本やらせてもらいました。吉本にいたときはテレビだけで年80本とかやったんで数は減りましたが、そのぶんひとつひとつを深く追求し、今までとは違う仲間も増え、楽しく充実しています。改めて、お笑いが一番好き、と感じているところです」


 吉本時代の先輩の脚本家・近藤貴嗣氏とともに、「劇団アルファベットK画」を企画し、7月11~13日、演劇コント「A塚商事」を東京・下北沢の「駅前劇場」で行う。「A塚商事」は芝居を演じるメンバー9人と、内容を知らないゲスト3人による斬新な内容だそうだ。



解散は相方から。「想像もしていなかった」

 さて、NSC大阪校30期生の誠子さんは、2007年、同期の渚(現・ナ酒渚)さんと「尼神インター」結成。漫才のほか、「水曜日のダウンタウン」(TBS系)などのバラエティー番組ではぶっちゃけトークやドッキリ企画で笑いをとった。


「笑ってもらえるとすごくうれしくて、私も元気をもらえて、ハードスケジュールでも心はまったく疲れませんでした。ただ、今はコンプライアンスが厳しくなって、かつての“女を捨てたような”芸や企画は、オファー自体がなくなりました。私自身はみんなが笑ってくれるなら、またいつでもやりたいんですけどね」


 そもそも、なぜコンビを解散し、事務所を退所したのか。


「一昨年の暮れに、渚から『解散したい』と言われました。

コンビでライブやメディア出演などの夢をかなえられ、ピンでの活動が増えていたので、渚はコンビの制約をなくして思いっきりピンでやりたくなったんやろうな、と思います。私は解散を言い出されるとはまったく想像していなくて、悲しくて寂しくてずいぶん泣いたけど、渚は相当考え覚悟して言い出したはずなので受け入れました。私は、新しくスタートするなら、大きいチャレンジをしなあかんと退所を決意しました。渚には、いつか私のライブのゲストに来てくれたらうれしいですね」


 しかし、フリーは収入が不安定で大変だろう。


「そうですね。私は28歳で東京進出する前に、元気だった母、まもなく父も突然、病気で亡くしたので、自分の人生もいつ終わるかわからない、やりたいことは思い立ったときにやらなあかん、と常に考えています。両親が命をかけて最後に教えてくれたから、東京へ来てからもがんばれた。物欲はないし、将来のために貯め込む気もない。お金が入ったら、次のお笑いライブに回していくことしか考えていませんね」


(取材・文=中野裕子)


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