【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#253
先日、「ダブルインパクト 漫才&コント二刀流№1決定戦」(日本テレビ系)で確かな爪痕を残したセルライトスパの大須賀くん(写真右)と肥後くん(同左)。関西ではABCお笑いグランプリで優勝するなどそれなりの結果を残した実力者でした。
優勝したニッポンの社長、準優勝のロングコートダディとは長年「関西コント保安協会」というユニットでイベントを続けています。3組とも教え子なので「ダブルインパクト」は個人的にはホッとした気持ちと、勝敗に複雑な気持ちが入り交じりましたが、全国ネットになって素直に喜んでいます。
彼らはロングコートダディと同期の大阪31期生。鹿児島出身で地元の大学を卒業した肥後くんと、愛知県出身でトヨタのエンジニアという異色の経歴を持つ大須賀くんがNSCでコンビを結成。経歴も趣味もまったく異なる2人が織りなす雰囲気がちょっとほほ笑ましかったり、NSCの間は力が入りすぎて空回りするコンビが多いのですが、かなり自然体に見える余計な力みのないコントを中心にやっていた印象があります。
特に大須賀くんは社会人経験に加え、あの風貌も相まって落ち着いていながらどこか飄々とした感じで、神経質そうに見える肥後くんとはいいバランスの取れたコンビでした。ネタも、肥後くんの得意の歌を生かしたネタあり、大須賀くんの特技の空手(2段)のネタありとバラエティーに富んでいましたが、これまでもう一押し足らない“詰めが弱い”惜しい状態が続いていました。
とはいえ、NSC生としては十分に頑張っていましたし、ある時、大須賀くんとサッカーの話になったとき、私と同じコロンビア代表のバルデラマ選手が好きだったことがわかり、えらく盛り上がった記憶があり、いろんな意味で気になる存在でもありました。
卒業後はABCお笑いグランプリで優勝したものの、なかなか結果が残せず「力があるのにもったいない!」と歯がゆい思いで見ていました。
今回、全国ネットに出たことで仕事のオファーも増えるでしょうし、ますます意欲も出てくることでしょう。ありふれたテーマから気がつけばとんでもない展開になっている、でもどこかほのぼのとした味わいのある「これぞ! セルライトスパ」という存在感を存分に発揮したコントや漫才を見せてくれると思います。人柄のいい2人がブレークしてくれることを願っています。
そして来年はぜひ「第2回チャンピオン」に輝いてもらいたい。「ダブルインパクト」は面白く見させてもらいましたが「得点や審査員のコメントを聞いていて漫才とコントの審査基準が一定ではないところもあったのかな?」とちょっと気になりました。先に出した作品の出来、お客さんの雰囲気など、生の会場にいないとわからない、難しいところはありますが、漫才とコントで明確に判断基準を定めて、得点を決めてくれるようになることを切に願います。
(本多正識/漫才作家)