【あの有名人の意外な学歴】番外編
桝太一
(日本テレビアナウンサー/43歳)
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7年前のゴールデンウイーク明けのことだった。朝の情報番組「ZIP!」(日本テレビ系)の反省会で総合司会の桝太一(43)がこらえ切れず泣き出してしまった。
「好きな男性アナウンサーランキング」で3年連続1位を取り、TBSの安住紳一郎以来の殿堂入りを果たした桝だが、元々は研究者の道を目指していた。東大理Ⅱに現役合格。農学部を卒業後、大学院に進み、アサリの殻のしま模様から誕生年を調べる研究をしていた。周囲に優秀な学生が多く修士課程を修了しても研究者として東大に残るのは難しいとテレビ局を受けた。日本テレビに合格。フジテレビは落ちた。
「人前に出る仕事に就くとは信じられない」と話すのは桝が中学・高校を通った麻布の元教員。といっても、こんな教え子がいたのをすぐには思い出せなかった。地味でまったく目立たない生徒だったからだ。
麻布では生物部に所属。本を読むことも好きだったので、高2のクラス分けでは文系を選んだ。しかし、次第に昆虫学者になりたいという気持ちが膨らみ、高3に上がる時に理転した。桝が大学受験した2000年の麻布からの東大合格者は91人。前年の109人からだいぶ減った。
ともかく、麻布→東大→同大学院と優等生コースを歩んだ桝が就職先にテレビ局を選んだのはどうしてなのか。「理系アナ桝太一の生物部な毎日」(岩波ジュニア新書)で「自分が好きなことを、人に伝えること」が得意だと気づいたからだとその理由を明かしている。そうした意味では、日本テレビに入社したのは正解だった。自然と触れ合う鉄腕DASHの準レギュラーに起用され、やりがいを感じていた。しかし、「山口事件が起こり、桝はテレビ局に居続けることに執着しなくなった」と前出の制作会社スタッフは話す。
桝が退職しようとしているとのウワサが駆け巡ると、日本テレビは引き留めにかかる。19年6月、アナウンス部副主任だった桝を主任に昇格させたのだ。
結局、桝は22年3月、日本テレビを退社。同志社大ハリス理化学研究所(京都・京田辺市)に助教として迎えられ、念願の研究者の道を歩みだした。以降も「真相報道バンキシャ!」のキャスターと「鉄腕DASH」の不定期出演は続けているが、今回の国分太一問題には相当なショックを受けていると伝えられる。桝の顔が画面から消える日が来ないように祈るばかりだ。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)