俳優の黒沢年雄(81)が闇バイト問題を批判し、《その気になれば…世の中には人に喜んで頂いてお金になる仕事はいくらでもある…月に50万位は簡単だ!》などと25日のブログで発信したことで、ちょっとした炎上騒ぎになっている。


 批判的なコメントが相次ぐ中、タレントのビートきよし(75)もXを更新し、《黒沢さんそれは違う 普通で月50なんて無理だって俺でもわかります》とコメント。

きよしは横浜市でカラオケパブ経営の実業家でもあり、世知辛い、現代の労働状況にも通じているのだろう。


 だが、黒沢を知る芸能関係者はこう言う。


「黒沢さんが『やる気と体力』次第というのは、実際にそうやって生き抜いてきたからだと思いますよ。俳優の道を目指した高校卒業後、昼は工事現場、セールスマン、運転手などを掛け持ちし、夜はキャバレーや深夜バーのボーイとして働き、寝る間も惜しんで働き通してきた。20代半ばのピークには年収約3000万円稼いでいたというし、そうした経験から『前向き思考が大切』と講演などで今も訴えています。仕事がなければ『何でも屋』になって、自力でつくり出せばいいんだという持論なんです」


 また芸能界での仕事も、超ハードワークが当たり前のような時代を生き抜いてきたことも大きいのではないかという。


「売れっ子になれば分刻みでスケジュールが組まれ、休暇ナシで睡眠時間は移動時間にという世界でしたからね。マネジャーや運営スタッフも月に500時間以上働いたという証言も少なくない。激務が日常化していた時代でした」(同)


 そうした労働環境の劣悪さは昨今、ようやく改善されつつあるというが、一方では副業やアルバイトで食いつないでいこうとしても、ままならなくなっている。


「労働基準法において、労働時間は1日8時間、週に40時間と定められています。副業かアルバイトとの掛け持ちでも、雇用する会社などが労働時間の上限を通算して管理しなければなりません。フリーランスであれば労基法は適応外ですが、長時間労働で心身共に疲弊し鬱になったり、過労が原因で自殺に追い込まれるケースも問題になっています。

そのため労災保険の適用が難しい個人事業主扱いの芸能人であれ、法的に労働者として労基法の保護を受けられるようになってきています」(大手芸能プロマネジャー)


■にっちもさっちもいかない社会に喘いでいるのは芸能人も同じ


 俳優の遠藤憲一(64)は、下積み時代、ビアガーデンや工事現場などで食いつないでいたことを明かしている。ザブングル加藤(50)は消防設備士などの資格を取得し、タレント活動との二足のわらじで活動していることでも注目されている。とはいえ、アルバイトや副業で月50万円もの稼ぎにはなっていないのではないか。


「ある意味そうした、行き詰まって身動きがとれなくなってしまうような労働事情だからこそ、闇バイトという問題が入ってきてしまうんです」(同)


 やる気や前向きさだけで何とかなっていた時代ではもはやないのだ。もっとも《あれはやだ、これはキツイは、何をやっても問題外です》という黒沢の主張には、賛同者が少なくないのである。


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 アルバイトをしていた芸能人は意外と多い。関連記事【もっと読む】YOUはウエートレス、若林正恭はウーバー配達員…芸能人とアルバイト「趣味と実益」の境界線…では、趣味の範疇に収まるものから食つなぐための切実な金策まで幅広い例について伝えている。


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