自民党総裁選が4日投開票される。「解党的出直し」がテーマだったのに、長い選挙戦では「融和ムード」が漂い、5候補による論戦は最後まで低調だった。

そんな中、最終盤で本命の小泉進次郎農相の陣営で内紛が勃発。不穏な空気が漂っていたという。


 ポイントは、進次郎が会長を務める党神奈川県連が「高市派党員を勝手に離党させていた」とする週刊文春の報道を巡る対応だ。進次郎本人がコメントを出して猛抗議していた。


「本来、こうした見解を発表するのは、選対本部長の加藤勝信財務相の役割のはず。まとめ役なのだから当然です。ところが、結局、陣営には加藤さんの他、岸田前首相側近の木原誠二選対委員長や小林史明元デジタル副大臣ら“船頭役”が多く入り、それぞれが存在感のアピールに躍起になっている。だから、本当のまとめ役が不在で進次郎さん本人が泥をかぶらざるを得なかったとみられています」(官邸事情通)


■責任の所在は加藤勝信選対本部長にあるのに…


 例のステマ問題への対応についても、陣営内で異論が噴出している。進次郎陣営関係者が言う。


「今回、陣営内にステマを指示するメールを送った牧島かれん元デジタル相が責任を取って広報班長を辞任しましたが、文面を作ったのは小林さんの事務所です。そもそも、最終的な責任の所在は本部長の加藤さんにある。本来、小林さんか加藤さんが辞任すべきなのに、牧島さんに責任をおっかぶせて2人とも頬かむりしているのですから男らしくない。

陣営内には不信感が漂っています」


 進次郎氏本人の選挙戦術も男らしくなかった。もともと「解党的出直し」と威勢のいいことを言っていたのに、選挙に突入すると「心を一つに」「挙党一致」とトーンダウン。演説では手元のペーパーに目を落とし、世論を二分するようなテーマへの言及を避け続けた。余計なことを言わないよう、「安全運転」に徹したわけである。


「この戦術には陣営内から不満の声が上がっていました。進次郎さんには『改革』『刷新』が求められていたのだから当然です。ある陣営関係者が本人に『もっと踏み込んだ方がいい』と求めたところ、進次郎さんに『あなたらしい意見ですねぇ』と爽やかな笑みで受け流されたそうです」(永田町関係者)


 こんな調子では、進次郎氏が総裁選を制して首相に就任しても、先が思いやられる。


■みんな新内閣でポストを得たいだけ


「結局、『チーム進次郎』の人たちは陣営で功をなして、新内閣で主要ポストを得たいだけでしょう。進次郎さんのことよりも、我が身がかわいいわけです。でなければ、進次郎さん本人に抗議文を出させたり、牧島さんひとりに責任をかぶせたりしませんよ。進次郎内閣が発足しても、こうした体質は引き継がれてしまうのではないですかね」(前出の陣営関係者)


 どいつもこいつも進次郎氏という軽くて見栄えのいい「神輿」を担ぎたいだけ。勝ちを拾うために「安全運転」を貫いた進次郎氏を含め、浅はかな連中である。


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