急転直下で動き出した自民党日本維新の会の連立政権樹立に向けた政策協議。16日は両党首(共同代表)と政調会長、幹事長による初会合が国会内の維新の控室で行われた。

自民側が出向き、配慮をアピールした形だ。


 維新は12の柱からなる政策要求を自民に投げたというが、最大の注目は「企業・団体献金」の扱いである。経済政策、憲法改正、外交などA4用紙3枚にズラリ並んだ項目の中で「企業・団体献金の廃止」を含む政治改革は、ラスト12番目だった。ヤル気があるのか。本気度が疑われる。


 自民の派閥裏金事件を受けて、昨年、自公が出した改正政治資金規正法が成立したが、企業・団体献金には触れない“なんちゃって改正法”だったため、その後、各党が独自に法案をまとめた。「企業・団体献金はもらっていない」「我々の案が最も厳しい」と主張して、今年3月に立憲民主党と共同で「禁止法案」を提出したのが維新だった。当時の青柳政調会長は「『平成の政治改革』の時に潰すことができなかった穴である、会社・労働組合・職員団体・その他の団体からの寄付を完全に禁止するというところで一致できたことは非常に大きなことだ」とまで胸を張っていた。


 企業・団体献金に対する自民の姿勢は、あくまで現状維持の上での「透明化」だ。連立を解消した公明党が求めた「献金の受け皿を政党本部と都道府県連に制限する案」でものめなかったのに、維新の求める「全面禁止」などとても無理だろう。公明党の斉藤代表はおととい、「維新は言ったことを貫いていただきたい」と牽制していた。



維新側は譲歩の姿勢

 だが、初会合後の維新・藤田共同代表は自民・高市総裁について「国家観は相当近い。

信頼関係が一段上に進んだ」と話し、連立への前のめりを隠さなかった。企業・団体献金の禁止については、「旗は降ろさない」としつつも、「総合的な合意」「どこまですり寄れるか」と既に曖昧。吉村代表も「副首都構想と社会保障改革が絶対条件だ」とする一方、企業・団体献金については「トータルで決断したい」と譲歩の姿勢だった。


「企業・団体献金がないと自民の組織は回らない。禁止はおろか、公明が求めた規制強化でも死活問題です。全国に2600人いる都道府県議の半分が自民党議員ですよ。政党支部には、国会議員だけでなく、都道府県議や市町村単位での献金の受け皿になっているものもある。来週21日に迫る首相指名を考えたら、『合意文書にどんな表現で書くか』が落としどころになるのではないか」(自民党関係者)


 企業・団体献金の規制強化案は公明、国民民主、立憲に維新が加われば、衆院で過半数を超え、成立する可能性があったのにオジャン。“骨抜き”にする維新の罪は重い。


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「日本維新の会」の凋落ぶりについては、費関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。


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