来年も、高市首相との距離をめぐり、「与党」日本維新の会と「ゆ党」国民民主党のいがみ合いを見せられ続けることになりそうだ。


 来年度の税制改正は、土壇場で自民と国民民主が「年収の壁」178万円への引き上げで合意。

高市首相と並んで座って合意書に署名する国民民主・玉木雄一郎代表のニヤついた表情が印象に残ったが、高市首相と玉木代表の接近を苦々しく見つめていた維新が、さっそくチクチクやりだした。


 国民民主は来年度予算案を「年度内の早期に成立させる」ことでも自民と合意しているので、「完全に与党」(立憲民主党野田佳彦代表)と見られて同然。今後は「いつ連立政権入りするのか」が焦点になっている。これについて維新・藤田文武共同代表は25日の記者会見で、国民民主を牽制。「連立拡大は否定するものではなくウエルカム」としながらも、自維の連立合意書の堅持を条件としたのだ。


 維新・吉村洋文代表は25日のテレビ出演で高市首相をベタ褒め。「高市首相との信頼関係は強いし、『成立しないから離脱』は違う」と明言し、議員定数削減法案が来年の通常国会で成立しなくても「連立離脱しない」との認識を示した。さらに高市首相について「いろいろな意見がある自民をまとめてくれた。絆は深まった」と関係をアピールしてみせた。


 そういえば、玉木代表も高市首相と年収の壁で合意した際、「政策を実現したパートナーとは信頼感も深まる」と言っていた。吉村代表はこの玉木発言を意識したのか。


 その玉木代表は連立入りについて、23日の講演で「模索している最中だ」と否定しなかった。

26日は政府が決定した来年度予算案について「非常にバランスが取れている」と手放しで評価していた。


■存在感を維持するのに必死


「実質的な『自維国連立政権』みたいなものでしょう。国民民主は予算案成立への協力を約束した。政権との距離は『閣外協力』の維新とほとんど変わりませんよ」(政界関係者)


 定数削減法案が成立しなくとも与党にしがみつく維新と、来年度予算案の中身を見る前から成立への協力を明言した国民民主。結局、どちらも自民にスリ寄ることで存在感を維持するのに必死なのだ。


「維新も国民民主も、自民党内の一派閥のような存在と言ったら言い過ぎですか。結局、自民にとっては、どの党でもいいから『数』が欲しいだけです。現状、衆院の過半数がギリギリで、1人休んだら法案が通らないので、国民民主にも連立に入ってもらえれば政権は安定する。維新と国民民主が張り合っている状況は、高市首相にとって都合がいい」(自民党ベテラン議員)


 吉村代表と玉木代表の「求愛合戦」がますます激化しそうで、高市首相はほくそ笑んでいる。


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 与党にしがみつくのに必死の維新だが、大炎上中の「国保逃れ」は追及の動きが加速している。関連記事【もっと読む】狭まる維新包囲網…関西で「国保逃れ」追及の動き加速、年明けには永田町にも飛び火確実で詳しく報じている。


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