昨年大みそかのNHK「第76回紅白歌合戦」の平均世帯視聴率は、第1部(午後7時20分~)が30.8%、第2部(午後9時~)が35.2%だった(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)。「初の30%割れは?」と芸能界が注目していた第2部の視聴率は、2022年の35.3%以来、3年ぶりに35%台に戻した。


 ぎりぎりのところで危機を逃れたNHKの勝因は何だったのか。一つは、性加害問題を理由に選考から外れていた旧ジャニーズ所属の歌手が今回の紅白で3年ぶりに出場解禁になったことだろう。


King & PrinceSixTONESが復活したことは紅白に大きな追い風となりました。ただ、NHKとしては、やはり『に出て欲しかった』が本音でしょうね。もし実現すれば、5年ぶりの40%超えに手が届いた可能性もありました」(芸能関係者)


■本番直前まで緊張感で張り詰めていた松田聖子


 もう一つは5年ぶりに出場し、最終歌唱者として「青い珊瑚礁」で“究極の大トリ”を飾った松田聖子(63)の頑張りだ。


「21年12月に亡くした娘の沙也加さんとの思い出もいっぱい詰まった紅白で、“歌手・松田聖子”として納得のいく歌唱が出来るのかと、当日ギリギリまで本人もスタッフも緊張感で張り詰めていました。しかし昔と変わらない姿と声に、局には感謝を伝える声も多く寄せられたといいますから、間違いなく視聴率にはプラスでした」(芸能プロダクション関係者)


 こうしたサプライズ出演や特別企画の充実ぶりを今回の勝因に挙げるテレビ関係者も多い。


 司会を務めた今田美桜(28)やAKB48のレジェンドメンバーとして出場した前田敦子(34)らによる“放送100年紅白スペシャルメドレー”、福山雅治(56)とB'zの稲葉浩志(61)のコラボレーションなど10もの企画があった中で、視聴者が最も反応したのが25年度前期のNHK連続テレビ小説「あんぱん」のスペシャルステージだった。


 Mrs. GREEN APPLEの大森元貴(29)、3姉妹を演じた今田、河合優実(25)、原菜乃華(22)らによる全5曲の熱唱は、会場も視聴者も大盛り上がりをみせた。


 ただこの特別企画に関しては、芸能プロ関係者の間では賛否両論がある。通常の出場歌手との待遇格差が露骨過ぎるのでは……という指摘が出ているのだ。


「特別企画アーティストは、複数曲をじっくり歌うため、長めの出演時間が与えられます。

それに対し歌合戦アーティストは矢継ぎ早に歌わせ、他のアーティストが歌っているときにはバックダンサーのような役割も担うことがある。例えば別撮り1曲とNHKホールでライブ2曲を歌っただけの矢沢永吉(76)は出番を終えると早々に引き揚げましたが、紅白卒業宣言をした郷ひろみ(70)は会場内を走り回り、若手アーティストの添え物扱いまでさせられた。矢沢と郷のキャラクターの違いはあるとはいえ、そもそも歌合戦である紅白が、この数年、サプライズ欲しさに本末転倒になっているのでは……と感じている関係者も少なくありません」(前出の芸能プロ関係者)


 以前はどんな形でも紅白歌合戦に参加するのを最大の目標としていたアーティストやスポーツ選手、文化人らが「長時間、ただ座っているだけなら個人のスケジュールを優先したい」と、例えば審査員のオファーをやんわり断ることも増えているという。


 視聴率の30%割れこそ回避したが、紅白がその存在意義を含めて問題山積であることに変わりはない。


(芋澤貞雄/芸能ジャーナリスト)


編集部おすすめ