よりによって、なんで今週なんだよ!──NHK BSの相撲バラエティー「大相撲どすこい研」のスタッフは天を仰いだに違いない。3月7日放送は「金星のキラキラは魔の輝き!?」をテーマに、初場所で5個の金星を量産した伊勢ケ浜部屋をメインに番組は進行するはずだった。

金星2個を挙げた熱海富士と義ノ富士がゲスト出演し、伊勢ケ浜親方にも取材していた。


 ところが、放送1週間前に伊勢ケ浜親方の暴力事件が発覚、日本相撲協会の処分待ちになってしまった。親方に酒瓶で殴られた伯乃富士も金星5個のうち1個を挙げている。


「番組としては、伊勢ケ浜部屋はスゴイスゴイと盛り上がるはずだったのに、騒げなくなってしまいましたね」(テレビ情報誌編集デスク)


「どすこい研」は本場所初日の前日(土曜)、ひと月おきに放送され、今田耕司を司会、二所ノ関親方(元稀勢の里)を解説に、スー女の市川紗椰(タレント)、能町みね子(エッセイスト)らも加わって、「寄り切りの奥義」「十四日目に運命が動く」といった決まり手や力士の苦闘、昭和の初めまで土俵はもっと小さかったというような雑学などでおしゃべりを繰り広げる。相撲ファンは見逃せない触れ太鼓のような番組だ。


 その人気ゲストが伊勢ケ浜親方だったのである。スタジオ出演ばかりでなく、VTRでも登場して、技をかけるときの微妙な体の動かし方や相手力士との心理的駆け引きなど、苦労した横綱らしい説得力ある講釈と、ざっくばらんなしゃべりで番組を沸かせてきた。


■BSフジもとばっちり


「引退後に担当するようになった大相撲中継の解説では、勝負を鋭く分析し、かと思うと、弟子の熱海富士を『運動神経悪いですねえ』と、くさして笑わせてくれました。相撲協会もNHKも、相撲人気を引っ張る魅力的なキャラクターの誕生に大喜びだっただけに、今回の暴力事件にはがっくりでしょうね」(ベテラン相撲記者)


 同じく相撲バラエティー「感動!大相撲がっぷり総見」(BSフジ)は、3月1日の放送で伊勢ケ浜親方の断髪式を取り上げるはずだったが、これもカットせざるを得なくなった。


 角界で暴行・いじめは珍しくもない。しかし、露見して問題になるのはごく一部だ。なぜ後を絶たないのか。

相撲番組は応援するばかりではなく、悪しき暴力体質を追及する特集を組んではどうか。


(コラムニスト・海原かみな)


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 “被害者”である伯乃富士は、まさかの3月場所強行出場。多くのファンが興味津々となるのは当然だろう。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。


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