再生可能エネルギーと電化の広がりは、設備市場だけでなく、そこで働く人の役割まで変え始めている。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエネルギー関連雇用は2024年に7,600万人へ達し、前年から2.2%増えた。
太陽光発電、送配電、蓄電、電気自動車の普及が人材需要を押し上げる一方で、技術を生活者の言葉へ置き換えられる営業・施工人材は足りていない。
同時に、働く時間を短くしながら成果を維持できるかを探る動きも世界へ広がっている。週4日勤務の国際的な実証では、業務の絞り込み、会議の削減、権限移譲に踏み込む企業が増えた。休日を増やすだけでは生産性は変わらない。限られた時間で判断できるよう、仕事の進め方と教育を組み直して初めて、時間と成果は両立する。
エネルギー人材の不足と、短い時間で成果を出す働き方。この二つの課題を一つの組織設計で捉えているのが、熊本県を拠点に九州各県で事業を展開する株式会社九州エネルギー事業会だ。エコキュート、太陽光発電、蓄電池、ソーラーカーポート、V2Hを提案・施工する一方、社員には週休3日制を導入した。勤務する4日間を顧客と成果へ集中させるため、営業を個人任せにせず、研修、日報、先輩への相談まで会社の仕組みに組み込んでいる。

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社員の多くは20代で、営業未経験から入社した人も少なくない。毎月の研修だけでなく、訪問先で判断に迷えば、その場で先輩へ電話する。日報には提案内容に加え、顧客との会話、断られた理由、説明できなかった点まで残す。
成功した言い回しをまねるだけではなく、どこでつまずいたのかを次の訪問へ持ち越さないためである。
日報と即時相談は、週休3日制を支える学習装置として機能する。勤務日数が少ない以上、同じ失敗を何度も繰り返す余裕はない。個人の経験をチームへ戻し、次の訪問に生かすことで、働く時間の密度を高めていく。鎗水晴輝代表が、休みだけを求める人よりも、短い時間で成長したい人に向く制度だと説明する理由もここにある。
短い勤務日で成長する仕組みと同時に、若い社員が仕事を始める時の負担も減らしている。ホワイトニングなどの美容支援、転居費用の補助、成果に応じた報酬制度を設けているという。営業職では、身だしなみや新しい土地での生活費が想像以上の負担になる。会社が挑戦の入口を支え、成果が出れば報酬で返すという設計だ。
その入口から、自衛官や理学療法士など異なる職種の人材が営業へ踏み出した。転職後に収入や時間の使い方を変え、結婚など次の生活設計へ進んだ例もあるという。年齢や前職よりも、入社後の行動と結果を評価する環境が、未経験者の挑戦を後押ししている。


評価の基準を理解してもらうため、鎗水氏は原価や利益の考え方も可能な範囲で社員へ伝えている。高い報酬だけを見せるのではなく、売上から施工費、管理費、教育費が差し引かれ、その上で会社がどこまで還元できるのかを共有する。社員は営業の技術と同時に、事業が成り立つ仕組みにも触れることになる。
事業の仕組みまで理解することは、顧客への提案にも直結する。家庭向け設備は、補助金があるという理由だけで導入を勧められるものではない。住宅の築年数、電気使用量、昼間の在宅状況、電気自動車の購入予定によって、適した組み合わせは変わる。V2Hは車にためた電気を住宅でも使える設備だが、すべての家庭に同じ順番で必要になるわけではない。複数の商品を扱うからこそ、売りたい設備ではなく、その家庭に合う順序を考える力が問われる。
この学習の必要性は、住宅エネルギーの選択肢が増えるほど大きくなる。営業の仕事が複雑になるからこそ、週休3日という制度も休日の多さだけでは語れない。働く日にどれだけ学び、顧客の暮らしへ分かりやすく翻訳できるか。九州エネルギー事業会がつくろうとしているのは、時間と収入の両方を自ら広げられる営業人材の育成環境だ。


その再現性を守るもう一つの条件が、情報更新の速度だ。家庭向けエネルギー設備は制度や補助金の変更も多く、営業担当者が古い情報を伝えないよう、商品知識と制度情報を絶えず学び直さなければならない。学びを止めない組織であることが、顧客の安心と社員の生産性を同時に左右する。

以上を踏まえると、第三者の立場から評価できるのは、週休3日を福利厚生の看板ではなく、営業教育を組み直す起点として扱っていることだ。制度の継続率、社員の定着率、顧客満足まで確認できるようになれば、働きやすさと生産性を両立する地域企業のモデルとして、さらに強い説得力を持つだろう。

取材を通じて、週休3日制の価値は休日数ではなく、短い勤務日でも人が育つ仕組みにあると感じた。定着率や顧客評価を伴う実績が積み上がり、地方企業の新しい働き方のモデルとなることを期待したい。

【取材/執筆:Y.U】
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