2020年1月28日、住友商事やKDDIと提携して事業展開するミャンマーの国営通信事業者ミャンマー郵電(MPT)は、電子マネー事業を正式に開始した。携帯電話キャリア最大手のMPTが持つ2500万人以上の携帯電話利用者を強みに、先行他社を追う。
ミャンマーでは銀行口座を持つ人の割合が2割程度と少ないとされ、銀行の支店がない農村部にも顧客を持つMPTは、都市部に出稼ぎにきた労働者が農村へ送金する需要を見込んでいる。

その他の写真:式典ではMPTマネーの使い方を寸劇で説明した(ヤンゴン、撮影:北角裕樹)

 MPTマネーは、代理店などで入金すると、スマートフォンアプリなどを通じて送金や店舗での支払いに利用できる仕組みだ。送金された人は代理店などで現金化できる。MPT以外のキャリアの携帯電話を持つ人も利用できる。昨年3月から試験運用していたが、中央銀行の認可を経て今年1月28日に正式オープンする式典をヤンゴンで開催した。

 ミャンマーでは近年、通信事業者や地場銀行などが次々と電子マネー事業を開始し、10種類近い電子マネーが乱立。
ノルウェーの通信事業者テレノールと地場のヨマ銀行が2016年に始めた「ウェーブマネー」などが先行しているものの、利用は送金などが中心で、支配的な利用者層を確立した電子マネーはまだ登場していない状態だ。MPTは充実した顧客層や全国の代理店網などを駆使して利用者拡大を図る。
【取材/執筆:北角裕樹】