米テキサス州ガルベストン在住のザイード・ガルシアさん(16)は2歳の時、ロウソクの火が寝ていたベビーベッドのブランケットに燃え移り、身体の80%に火傷を負った。当時メキシコに住んでいたザイードさんは、同州サン・アントニオの火傷専門病棟に搬送されて治療を受けたが、医師からは「回復の望みはない。死を覚悟したほうがいい。万が一助かったとしても話すことも歩くこともできないだろう」と告げられた。
しかしザイードさんは、これまでに皮膚移植、両手首から先と右足指4本の切断など数十回に及ぶ手術を受け、奇跡的な回復を遂げた。
そして火事から14年。16歳になったザイードさんはメディアのインタビューに応じ、自分のこれまでの人生や夢などについて次のように語った。
「火事の後、アメリカに移住して学校に通い始めましたが、いい思い出はありません。僕の右足の指は1本しかないので、足を地面に平らにつけることができず、普通の人と歩き方が違います。また火傷で傷ついた両目は医師が皮膚で覆ってしまい、2歳で視力を失いました。そんな僕を見てみんなが怖がり、学校では自分の居場所がありませんでした。
「僕はこんな容姿だから、いつか家族に捨てられるんじゃないかと思っていたこともありました。でも母は『どんなことがあっても、あなたは私の息子よ』と言って僕をサポートしてくれました。家族こそ、私の喜びの源です。」
「母が私を人に紹介する時にはあらかじめ『うちの息子は障がい者だから』と伝えるのですが、最初はみんな僕を見て驚きます。でもすぐに、重要なのは外見じゃなくて中身なんだと理解してくれるのです。初めて会った人には『お、こいつ面白い』とか、『話しやすいな』とか、『いいやつだな』と思って欲しいから。僕は友達と出かけるのが好きだし、悩みがあったら喜んで話を聞きます。人を思いやることができれば、優しさは返ってくると思うのです。」
「僕がこのインタビューを受けたのは、『奇跡は存在する』ということを多くの人に知って欲しいと思ったからです。医師に『助からない』と言われた僕こそ‟奇跡”です。だから人にできないとかダメだと言われても、決して諦めないで欲しいのです。僕を見て『ゾンビだ』とか、『人を傷つける恐ろしい生き物だ』とか、『かわいそうだ』とは思って欲しくはありません。それよりも『彼ができるなら、私もできる』と思って欲しいのです。世界中の誰一人として価値がない者などはいないのです。
「僕にはこれから先も皮膚移植手術が必要です。でも今一番望んでいることは、僕の目を覆っている皮膚を取り除いて瞼を再建し、視力を取り戻すことです。そして僕の家族や友達を自分の目で見てみたいのです。一番最初に見たいのは、同じ学校に通う僕のベストフレンド、ジュリアの美しい姿です。またできることなら手が欲しいです。」
「僕の楽しみは歌を歌ったり、歌や詩を書くこと、鉛筆で絵を描くことです。そうすることで自分の中にある痛みや悲しみを忘れることができるし、自分が夢みる想像の世界に行くことができるからです。そして僕にとってとても大切なことは、言語を学ぶことです。僕の第一言語はスペイン語で、英語は9歳の時に学校で習いました。今は盲学校に通っていますが、僕が学んでいるのはフィンランド語、スウェーデン語、デンマーク語、中国語です。これから大学に行って、将来は翻訳者になり、モチベーションスピーカーとしても活躍したいと思っています。僕は自分の未来には希望があると信じています。」
なお非営利団体「Special Books by Special Kids」がザイードさんの手術代を集めるために設置した寄付金サイト『GoFundMe』は、目標額の5万ドルを90分で達成しており、ザイードさんにはこれまでの13日間で32万3千ドル(約3500万円)を超える寄付金が集まっている。
このニュースには、「あなたの心は誰よりも美しいと思う」「あなたの強さに心を打たれたわ」「目が見えるようになるといいね」「夢が叶うことを祈っているよ」「心も身体もどれだけ辛かったことか。自分の悩みなんて本当にちっぽけなんだと思ったよ」「負けないで。応援してるよ」といったコメントが寄せられている。
画像2枚目は『GoFundMe 2019年10月15日付「Zaid’s Medical Expenses」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)