やるべきことを整理し実行する「タスク管理」。仕事や勉強を効率的に進めるために有効な手法である。
「仕事ができる人」は「タスク管理ができる人」というイメージを持つ人も少なくないだろう。「教えて!goo」には、「仕事でタスクが多すぎるとフリーズして何も手につけられなくなります」と、タスクを上手く管理できないというユーザーから相談が寄せられている。そこで今回は、「タスク管理」の具体的な方法や上手な人の特徴、生活への活かし方を、企業等の研修講師やキャリアコーチとして、働く人の能力開発・人間力向上などに努める竹内和美さんに伺った。

■そもそも「タスク管理」とは?「プロジェクト管理」や「TODO管理」との違いは?

「タスク管理」が仕事の進捗に重要であることは明白だ。しかし、どんな手法なのか漠然としか理解しておらず、なかなか実行に移せないという人は少なくない。

「タスク管理とは、個人が仕事を効率よく行うために『期限を考え優先順位をつけ、実行するプランを立てること』をいいます」(竹内さん)

一般的に「タスク」とは仕事全般ではなく、「目的を達成するために欠かせない小さな単位の作業」を指すそうだ。

仕事を進めるためには「プロジェクト管理」や「TODO管理」という手法も用いられている。これらとはどのような違いがあるのだろう。

「タスク管理は、個人が自分に与えられた業務について、その内容や手順を整理する方法です。一方プロジェクト管理は、マネジメントをする人がチームメンバーそれぞれの進捗を管理し、全体を通して計画通りに業務を遂行しつつ利益を最大化させるために管理することをいいます。プロジェクト管理は、最終的な目標を達成するためのタスクの集合体ですね」(竹内さん)

「TODO管理」は「小さな単位の作業」という点で、タスク管理に似ているように思われるが……。

「“やるべき作業を管理することを指す“という点では同じです。
しかしTODO管理は、先延ばしをしても大丈夫な作業を管理することをいいます。タスク管理は、締め切りや期限のある“今やるべき仕事”を整理するときに使うものです」(竹内さん)。

基本となるタスク管理を正しく把握することが、“仕事ができる人”への第一歩なのだ。

■タスク管理が上手い人の特徴とは?

タスク管理を上手く実行している人の特徴を、竹内さんは次のように語る。

「まず、優先順位付けが上手いといえます。業務に追われると、何もかも緊急性が高く、重要性が高いと考えてしまいがちです。しかし冷静に判断すれば、『緊急性の高いモノ』、『重要性が高いモノ』。『どちらもさほど高くないモノ』に仕分けることができます。それをもとに仕事を効率よく進めているのです」(竹内さん)

また、「スケジュールにゆとりを持たせている人が多く見受けられます」と竹内さんは続ける。

「実行計画を立てる際、『何にでも使える時間』がスケジュールの中に入っているのです。緊急の仕事を組み込める余裕があるので、イレギュラーが起きた場合などでもほぼ計画通りに進めることができます」

さらに「仕事を細分化すること」が、遂行効率を高めるとか。

「仕事の手順や難易度などを細分化することができるのも、タスク管理が上手な人の特長です。
たとえば、『何を聞かなければならないか』、『何を知らせるべきで何を頼むか』、『自分自身の作業は何か』、『調査や検討が必要なことは何か』、『交渉するべきことがあるか』などを分析し、業務の抜けや漏れ、ダブりなどがないかを決めてから仕事に取り掛かります。そのため、効率よく仕事が進められます」(竹内さん)

最初からすべて実践するのは難しいかもしれないが、できそうなところからチャレンジしてみるとよいだろう。

■タスク管理のメリットは?

タスク管理を効率よく行うことで、どのようなメリットが得られるのだろうか。

「タスク管理が上手くなれば、『目標を立てることができる』、『仕事の進め方が上手くなり目標達成につながる』、『時間の使い方に無駄がなくなる』、『仕事を進めるうえで使う資源(リソース)の選択が上手くなる』、『業務の進め方が可視化できるので、成功や失敗の要因がつかみやすくなる』というメリットが期待できます」(竹内さん)

タスク管理が得意な人と苦手な人とでは、評価にも差がつくという。

「『締め切りを守れるか』という点が、ひとつの評価基準になるのではないでしょうか。タスク管理は期限までに仕事を完遂させるため、“今”やるべきことに集中する計画を立てます。苦手な人は反対で、締め切りぎりぎりに行動したり、直前で“できません、助けてください”と言わざるを得ない状況になることが多くあります。得意な人はきちんと仕事を仕上げることができるので、信頼や信用を得ることができるでしょう」(竹内さん)

当たり前のようで意外と難しいのが「締め切りを守る」ということ。まずはそれを念頭に置いて計画するのがよいようだ。

■「タスク管理」は生活にも役立つ?

「タスク管理」を使いこなせるようになれば、生活にも応用できるのだろうか?

「私たちは1日に何万回と選択をしながら生活をしています。たとえば1週間の予定を立てる際、タスク管理術を使えば無駄なくすっきり過ごせるようになります。さらにこの習慣が身につけば、プライベートの時間も充実させることができるでしょう」(竹内さん)

タスクを適切にコントロールすることで、仕事だけでなく自分の時間の確保が可能になり、ストレスの軽減も期待できそうだ。
「タスク管理」は生活のバランスを整えるためにも役立つといえるだろう。今回伺ったことを参考に、少しずつ取り入れてみてはいかがだろうか。


●専門家プロフィール:竹内 和美
大手百貨店にて販売・秘書・広報といった業務を経て、接遇・マナーの基礎を習得。これらの経験を生かし、1999年「オフィス・ウィズ」を設立。法人・個人を問わず、キャリア開発、人材育成・人材活用、キャリアコーチの養成などを支援している。ロールプレイング、オーダーメイドを用いた独特の講習や研修が特徴。

画像提供:AdobeStock

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