色とりどりの光が交錯し、夜の街を昼のように照らし出す、ネオン街。

まるで別世界へ足を踏み入れたのような華やかさが、非日常感を演出してくれるでしょう。

写真家の柳楽航平(@nagi0467)さんは、以前に北海道釧路市の繁華街で撮影したという、お気に入りの写真をXで投稿しました。

公開した1枚には、ネオン街に迷い込んだある動物が写っていて…。

【ネオン街のキツネ】 『社会問題』を込めた北海道・繁華街での1枚が?「哀愁を感じます」
ネオン街のキツネの写真

ネオン街で空を見上げていたのは、キタキツネ

エサを求めて、野生動物が街中に現れることはありますが、これほどはっきり写真に収められるのは珍しいでしょう。

ネオンに照らされたキタキツネの姿は、街の人工的な明かりとの対比で、どこか神秘的に見えますね!

柳楽さんの写真にネット上では、「キツネのピュアな心に、ネオン街はどう映ったのかな」「哀愁を感じます」といったコメントが寄せられています。

キタキツネとネオン街の写真。『社会問題』を提起する意図も

撮影時、どのような準備や工夫をしたのでしょうか。

気になったgrapeが柳楽さんに取材したところ、このような返答がありました。

街と野生という『違和感』を写真で表現したかったです。

北海道といえば大自然の中に野生動物が暮らしているイメージが強いですが、実際には街の公園やゴルフ場、道路にも姿を現します。

人間の生活圏と野生との曖昧な境界線の中で、彼らは生きている。だからこそ、人工物を隠すことなく、むしろリアルを描き出すことを意識しました。

柳楽さんはキタキツネを撮影する時、社会問題も表現しているといいます。

餌付けや人慣れした野生動物は、やがて車にひかれるケースが多いです。

このキツネも、ネオン街のゴミを漁ったり、誰かに餌付けされたりして人に慣れてしまった個体です。

そうした背景を考えると重いテーマではあるが、あえて暗く描くのではなく、多くの人に見てもらえるよう華やかなネオンを背景に撮影し、普段興味を持たない人の目にも届くことを目的としました。

柳楽さんによると、野生動物が車にひかれてしまうという社会問題を提起する意図も込めて、あえて車が写るタイミングを狙ったとか。

また、『田舎者が都会のビル群を見上げるような一瞬』を捉えるため、地面に這いつくばって撮影したそうです。

野生動物を被写体に撮影する際は、どのタイミングでシャッターを切るかによって、写真の印象が大きく変わります。

そんな中で、構図や周囲の状況など細かく計算し、社会的なメッセージを見事に表現する柳楽さんの、世界観の描き出し方には心を打たれますね。

なお、万が一キツネと遭遇しても、野生動物の暮らしを守りつつ、『エキノコックス』などの感染症のリスクにも配慮し、遠くから静かに見守るのが望ましいでしょう。

キツネの神秘的な写真をもっと見たい人は、こちらもご覧ください。

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※本記事は投稿者様の許諾を得た上で掲載しております。

[文・構成・取材/grape編集部]

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