住野よる氏の同名ベストセラー小説を、奥平大兼&出口夏希のW主演で実写映画化した『か「」く「」し「」ご「」と「』が5月30日(金)に公開される。自分の想いをうまく言葉にできない高校生・京(奥平大兼)、クラスの人気者のミッキー(出口夏希)、予測不能な言動でマイペースなパラ(菊池日菜子)、京の親友のヅカ(佐野晶哉/Aぇ! group)、内気な性格のエル(早瀬憩)。
今回は、奥平大兼に役への想いや撮影秘話を伺うとともに、俳優としての役作りのスタンス、2025年1月期の日曜劇場「御上先生」で生徒役を演じた反響についても語ってもらった。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社
――映画『か「」く「」し「」ご「」と「』で、自分に自信が持てない高校生の京を演じられていますね
「京は『自分なんて』と引け目を感じていて、あまり積極的に行動できないタイプ。僕も状況によってはそういう気持ちになったり、自らガツガツ行けなかったりするので、京に共感する部分はありました。学生時代を一度でも過ごした人なら、多少なりとも京の心情に寄り添える部分があるのではないかなと思います」
――お芝居で気を付けていたことはありますか?
「それが、特にありませんでした。監督に『自由にやってもらって構わない』とか『任せる』と言っていただいていたのもあり、基本的にはシーンごとの自分なりの解釈で演じていました。もちろん迷ったときは監督に質問しましたし、そのたびに明確な答えをくださって。監督の中に『答え』はあるけど、まずは任せてくださった...という印象ですね。あと、メインの5人のシーンは京にとって一番居心地のいいポジションでいようと思っていました。アドリブも割とある現場でしたが、無理して会話に入るわけでもなく、基本は『待ち』の姿勢。それが京らしいのかなって思っていました」

――ちなみに積極的にアドリブを入れていたのは誰ですか?
「出口さんと(佐野)晶哉です。2人の演じるキャラクター自体がそういう立ち位置だったのもあって、割とガンガンしゃべってくれていました」

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会(C)2017住野よる/新潮社
――さまざまな場所で撮影が行われたそうですが、印象的なロケーションはありましたか?
「学校のシーンは、実際の高校の校舎をお借りしていました。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

――今作を含め、これまでも学生役を演じる機会の多かった奥平さん。今年1月期に放送された「御上先生」(TBS系)では迫真の演技が話題となりました
「『見てました』とか『あれで知りました』と言ってくださる方がすごく多いですね。みんなで頑張って作ったものがたくさんの方に届いたと思うと、すごくうれしいです。僕自身も『御上先生』を通してメンタル的に強くなれた部分があって。生徒たちを割と引っ張っていくポジションだったので、弱々しくしていたら場が締まらないし、僕が『頑張ろう!』と思っていかないとそういう空気にもならないのかなって。堂々と、自信を持ってやろうと思っていました」
――街で声を掛けられることも増えましたか?
「いやー、それはあまりないかも。全くないこともないですが、僕は普段、周りから『ビックリするぐらいオーラがない』と言われるんです(笑)。下を向いて歩いているっていうのもあるかもしれませんけど(笑)。もちろん声を掛けてくれたらお話しすることもあります。勇気を振り絞って来てくださったと思いますので」

――奥平さんの出演作品はどれも高い演技力に引き込まれます。
「僕、役作りをあまりしたことがありません。俳優としての経験はまだ5年ほどですし、そこまで多くの現場を重ねているわけでもないので、正直、台本を見てもどうすればいいのかよく分からないですね。基本は現場で考えています。ネガティブな意味ではなく、その場で感じたことしか出せないし『その時々の感覚を信じてやるしかない』というスタンスなのかもしれないです」

撮影=市村円香 取材・文=川倉由起子
映画情報
映画『か「」く「」し「」ご「」と「』
2025年5月30日(金)公開