東映ムビ×ステとして初のシリーズ作品である「死神遣いの事件帖」が、5年の月日をかけて、ついにシリーズファイナルを迎える。映画『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』が6月13日(金)に公開、舞台は8~9月に上演予定だ。

主演の久坂幻士郎役の鈴木拡樹と死神・十蘭を演じる安井謙太郎、さらに今回、死神の無限狼役で初参加となる梅津瑞樹の3人を迎えて、特別インタビューを敢行。映画の魅力をたっぷり語ってもらった。

鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹「死神遣いの事件帖」ファイナルを迎え「登場人物の成長を追う楽しみがある」
今作について熱く語る鈴木拡樹、安井謙太郎、梅津瑞樹
今作について熱く語る鈴木拡樹、安井謙太郎、梅津瑞樹

――まずは今回の映画版のストーリーについて、最初に脚本を読んでどう感じましたか?

鈴木「シリーズがスタートした頃から、連続ドラマのような感覚で見てほしいと思っていて、僕が演じる幻士郎が推理をして、最終的に悪と戦うパターンが確立されていました。ただ、今回の映画では、推理の要素がないなど変化があるし、"別れ"をテーマにしている点とか、これまでと異なる要素があります」

安井「脚本を読んで、まず『あれ、僕も戦うのかな?』と。ほどなく殺陣の映像が送られてきて『......やっぱり、戦うんだ』と(笑)。これまで僕自身が戦う場面はなかったので、その点はすごく不安でした」

梅津「東映ムビ×ステ作品の中でも『死神遣いの事件帖』はシリーズ化された唯一の作品だし、コミカルタッチなのも珍しいですよね。しかもファイナルと銘打たれた映画に僕がいきなり参加して大丈夫かなと......。無限狼は幻士郎と十蘭の双方の親とも因縁がある重要な役だし。ただし、そのへんは映画版ではまだ明らかにされないので、演じ方が難しかったですね」

――本シリーズは5年間続きましたが、改めて現場で感じたことは?

鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹「死神遣いの事件帖」ファイナルを迎え「登場人物の成長を追う楽しみがある」

鈴木「1作目の時に『シリーズ化できたらいいね』という話を皆でしていて、そこから話が膨らんでここまで来ました。本シリーズの良さは、1作ごとに何かを得て、次作に繋がるという成長があることでしょうか。どこから見ても楽しめるけど、初回から通して見ている方には、そんな登場人物の成長を追う楽しみがあるのが魅力だと思います。その点が僕たちのやりがいにもなっていますね」

安井「舞台を入れると、計6作になります。

ここまで続いたことには、もう感謝の気持ちしかありません。最初の舞台はコロナ禍でしたし、そんな時代を乗り越えながら続けてきた作品だと思うと感慨深いですね。シャッフルするとどれが最初かわからないようなシンプルさが特徴なので、それは作り手の皆さんの巧さでもあると思います。ただ、拡樹くんも言うように細かい変化もあり、積み重ねてきたものがあるのがこの作品の良さです。初見の方も楽しめますし、初回から見てくださっている方は、今回のファイナルはグッとくるものがあるでしょうね」

梅津「初参加の僕には、ついていけない話だ......(笑)。それでもこの二人と一緒にいると安心できましたね。殺陣では、カットの合間に結構声を掛けてくれて、安心できたからこそ、あんな触ったことのないような大きな武器を振り回せたと思います(笑)」

安井「二人が殺陣について話していた時、知らない言葉が飛び交っていて正直会話の意味が分からなくて......(笑)。もう、ついていくのに必死でした。でも、経験豊富な二人と同列で殺陣をやらせてもらえるのは本当に貴重な機会なので、すごく勉強になりました」

梅津「無限狼については、舞台を見てもらえば、僕の繊細な役作りが伝わるかと......(笑)。でも、映画では何もわからない状態で演じているので大変でしたね。他人に乗りうつる時は、その人のベースが80%くらいあって、無限狼が乗りうつることで20%プラスという意識でした。素の無限狼がわずかに顔をのぞかせる場面もあるけど、キャラクター性がわからないまま、その辺は手探りに近かったですね。

そんな余白を持たせる演技が難しかったです」

安井「でも『無限狼には何かあるに違いない』と思わせる強烈な存在感でした。それが舞台版に繋がると思うと、見ている方の楽しみが広がりますよね。そこがムビ×ステならではの良さですね」

梅津「そう、匂わせるだけ匂わせてね(笑)」

――撮影中に楽しいと感じたことはありましたか?

鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹「死神遣いの事件帖」ファイナルを迎え「登場人物の成長を追う楽しみがある」

鈴木「スタッフさんが相当大変なはずの撮影なのに、みんな笑いながら楽しそうにやっていて。こっちも楽しくなるし、いい現場だなと(笑)」

安井「僕は、鬼八一家がそろう場面が好きだったな。人数が多くて、現場に活気が出るので。僕が現場に入ると『おお、来たね~』なんて言ってくれて、5年やっている安心感もあるし、とても楽しかったです」

鈴木「その『来たね~』って、(崎山)つばさくんでしょ。分かっちゃった(笑)」

安井「やっぱり、分かる? 正解(笑)」

梅津「僕は、合成用に飛んでいるシーンをグリーンバックで撮っている時が一番楽しかったです。飛行中のふわふわ感を表現する動きが面白かったですね」


――本シリーズに参加して、自身の糧になったことはありますか?

鈴木「幻士郎はちゃらんぽらんだけど、前作の舞台で"父親越え"というテーマが描かれて、それがあったから今作の幻士郎がいる。そんな深みのある表現ができたことは、このシリーズをやってきてよかったと感じますね」

安井「人が争うことで、魂をもらって生きてきた十蘭が、今作では争いがないことを喜んでいるんですね。十蘭の数百年の人生の中で、わずかな間に大きな変化があったと思うと、グッときますね」

梅津「今回はラスボス的な人物を演じていますけど、同世代の役者仲間が『こういう役をやりたい』とよく話すんです。僕はあまりそう思っていなかったんですが、演じてみると新鮮で楽しくて、やりがいがありますよね」

鈴木拡樹×安井謙太郎×梅津瑞樹「死神遣いの事件帖」ファイナルを迎え「登場人物の成長を追う楽しみがある」

――最後に映画の見どころを含め、皆さんへのメッセージをお願いします。

鈴木「ファイナルに関しては、幻士郎と十蘭の"別れ"を描いています。

じつは二度目の別れですが、前とは全然違う別れになります。ただ、パート1で別れを描いたからこそ、今作での別れがより際立っている。切なさが自然に沸き上がり、すごくリアルに演じることができました。ファイナルを迎えられたのは、『また見たい』と思ってくださる方の声が届いたから。支えてくださった皆様に感謝したいです。初見の方にも、前作をさかのぼって楽しんでもらえればうれしいです」

安井「僕はとにかく、アクションシーンを見ていただきたいですね。映像作品でのアクションは初めてですが、このシリーズのアクションは本当にカッコよく仕上がっているので。自分がそこにいられたことがうれしいです。ファイナルということで、幻士郎と十蘭が共闘する胸アツなシーンになっているので、そこはぜひ注目していただきたいです。ファイナルだけ見ても楽しいと思いますし、これまで支えてくれた方といいゴールを迎えたいと思うので、ぜひ劇場に足を運んでください」

梅津「死神役の醍醐味だと思うのですが、映像で合成される場面が多いので、自分でもどんな仕上がりになるのか楽しみです。二人がこうして積み重ねてきたフィナーレを少しでも彩れるようにしたいと、眉毛もなくしたので(笑)、楽しんでいただければ幸いです」


取材・文=渡辺敏樹 撮影=大川晋児

⒞2025 toei-movie-st

作品情報

東映ムビ×ステ「死神遣いの事件帖 終(ファイナル)」
2025年6月13日(金) 全国公開

最新の放送情報はスカパー!公式サイトへ

編集部おすすめ