藤井聡太王座と伊藤匠叡王の王座戦五番勝負が始まる。両者は今年度23歳の若さだが、早くも4度目のタイトル戦である。
それでは歴代のタイトル戦の同一カードはどうなっているか、見ていきたい。
やはり最多のタイトル獲得記録を誇る羽生善治九段が中心となる。最も多いのは谷川浩司十七世名人で、通算22回。羽生から見て16勝6敗だ。谷川は羽生の少し上の世代にあたり、当初は谷川の持つタイトルに羽生が挑戦する構図で、対戦が多かった。
次に多いのは佐藤康光九段で、21回となっている。羽生から見て17勝4敗と、大きく差が開いている。年齢は羽生の1つ上で、ほぼ同世代だ。
同学年のライバルであり、名人戦で激闘を繰り広げた森内俊之九段は16回。8勝8敗の五分で、森内は二日制で特に強さを発揮していた。この3人とはいずれも百番指しを達成している。

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その前の覇者である中原誠十六世名人はどうか。ともに20回で大山康晴十五世名人(16勝4敗)と米長邦雄永世棋聖(14勝6敗)となっている。大山は二回り近く年上だが、息長く活躍したためにこの対戦数になっている。米長は4歳年上で、中原にとって最大のライバルとして激闘を繰り広げた。
3番手は加藤一二三九段で9回。中原から見て5勝4敗で、中には全冠(六冠)制覇を阻むなど、存在感を示している。中原と百番指しを達成したのはこの3人のみだ。なお、中原と米長の対局数187局は歴代1位の記録となっている。
大山康晴十五世名人は中原の他、升田幸三実力制第四代名人(15勝5敗)、二上達也九段(18勝2敗)の3人と20回タイトル戦を戦っている。続くのは加藤一二三九段との8回だ。この4人とは百番指しを達成しているが、タイトル戦で6回しか対戦していない米長とも達成している。
女流棋戦では福間香奈女流六冠と西山朋佳女流二冠が猛烈な勢いで対局している。半数以上のタイトル戦で顔を合わせ、8月末に開幕する第5期白玲戦七番勝負で21回目の番勝負だ。まだ百番指しには到達していないが、今年度中には達成されることだろう。
それまでの記録は清水市代女流七段と中井広恵女流六段で、20回タイトル戦で戦った。両者の全盛時はタイトル戦が少なかったため、今のように多ければさらに記録が伸びたことだろう。現在のところ、女流棋士同士では唯一の百番指しを達成している。
令和の覇者として君臨している藤井。後世に語り継がれるカードは、20回前後戦う必要がありそうだ。伊藤か、永瀬か、はたまた他の棋士が出てくるだろうか。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
[生]第73期 王座戦 五番勝負 第1局 午前[藤井聡太登場] 藤井聡太王座 vs 伊藤 匠叡王
放送日時:2025年9月4日(木)9:45~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります