日本テレビ系刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で、物語の舞台となった七曲署の警部補「山さん」役で知られた俳優の露口茂(つゆぐち・しげる、本名同じ)さんが4月28日、老衰のため都内の自宅で死去していたことが2日、分かった。93歳だった。

葬儀は近親者で行った。七曲署のナンバー2として、石原裕次郎さん(1987年死去、享年52)演じた「ボス」を支える役どころを好演。バイプレーヤーとして活躍したが、ここ30年近くは第一線から遠ざかり、事実上の引退状態だった。

 ドラマ「太陽にほえろ!」で露口さんと共演したタレントの石原良純(63)がスポーツ報知の取材に応じ、当時の思い出を語った。

 1984年に石原は“マイコン”こと水木悠巡査として番組に登場。約1年半にわたり七曲署の仲間として出演した。「子供の頃からテレビで見ていた(露口さん演じる)山さんと、幸せなことに共演できた。刑事として学ばせていただいた」と懐かしんだ。

 露口さんは54歳だった86年4月、殉職という形で降板。これは俳優業からもセミリタイアするという意味があったという。「『引退する』という言葉を聞いて、当時はビックリした。約40年前にそういう生き方をしている人はほとんどいなかった。

俳優としても充実した時を過ごして、プライベートも大切にされた方だった」と振り返った。

 ゴルフが大好きで、ドラマ関係者で行ったコンペでは「本当に楽しそうにふざけていた」という。「普段のニヒルな姿とは全く違った。ゴルフ場での笑顔は忘れられない」と強く印象に残っている。

 「太陽―」の終了後、出演者で集まる機会があっても一切顔を出さなかった露口さん。「去りゆく者の美学があった」とする石原は、「穏やかに天寿を全うされて、露口さんらしい生き方を最後までしたんだなと思った」と悼んだ。

 ◆露口 茂(つゆぐち・しげる)1932年4月8日、東京都生まれ。愛媛大2年で中退。上京して俳優座養成所入り。57年NHK「東京の虹」で映像デビュー。今村昌平監督の「赤い殺意」で評価を集めた。主な出演作はNHK大河「風と雲と虹と」、NHK「阿修羅のごとく パート2」、映画「ええじゃないか」など。

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