歴史に裏打ちされた美と現代的な審美眼が交差する「美術品入札会 廻 -MEGURU- Vol.23 MAIN SALE」が8月23日(土)~31日(日)、東京・京橋の加島美術にて開催される。
年に一度、厳選を重ねた作品だけが並ぶこの催しは、美を深く理解する者にとって見逃せない。
時を超えて生きる筆致。若冲から松園、吉田博まで
展示会場では、作品の前にガラスケースはない。筆のかすれ、墨の濃淡、絹本の繊細な皺までも感じ取れる距離で、日本美術の精髄と向き合える。

なかでも注目すべきは、計9点が並ぶ伊藤若冲の出品作。
代表作『豆下鶏図』では羽根の一本まで描き込まれ、若冲独自の構図が見る者の視線を捉える。『托鉢図』では修行僧たちの表情に温かさと諧謔が共存し、宗教画でありながら人間味にあふれている。

伊藤若冲『托鉢図』『豆下鶏図』
また、近代日本画の象徴ともいえる上村松園による『春光』では、春の光に包まれた女性像に、静謐な気品が宿る。線と色彩の選び方に、松園が貫いた理想美の哲学が表れている。

上村松園『春光』
吉田博の『光る海』は、瀬戸内海を舞台にした木版画。水面にきらめく光の道を、丸ノミの彫り跡で表現した技法は、静寂の中に動きを感じさせる。西洋画と水彩を修めた吉田ならではの観察眼が、日本の伝統技術に新たな息を吹き込んでいる。

吉田 博『瀬戸内海集 光る海』
名画だけでない、貴重な絵画たち
この入札会でしか出会えないのは、名画だけではない。
徳川家光による『木兎図』や、仙厓義梵の『狗子佛性図』といった墨画では、技巧に偏らず、ユーモアと精神性が絶妙な形で融合している。素朴な筆致ながら、観る者に深い問いを投げかけるような力がある。

上:徳川家光『木兎図』下:仙厓義梵『狗子佛性図』
漱石最晩年の山水画、安藤緑山の象牙彫刻『あやめ』、そして藤原俊成が自撰の和歌を書写した『日野切』など、稀少性と深みを備えた作品がずらりと揃う。
静けさと遊び心。作品に宿る美意識との邂逅
美術館では叶わない近さで作品と向き合い、静かな空間でそれぞれの美意識と対話する。金曜・土曜には20時まで鑑賞可能となる配慮もあり、落ち着いた時間に心を解き放つことができる。
加えて来場者には、洗練された意匠の「オリジナル竹うちわ」が数量限定で贈られる。

目にする、感じる、思索する――そのすべてが整う空間で作品と過ごすひとときは、知的で静かな贅沢だ。
美とはただ飾るものでなく、深く味わい、心に留めるもの。その原点に立ち返る時間が、ここにはある。
「美術品入札会 廻 -MEGURU-」Vol.23 MAIN SALE
下見会:8月23日(土)~31日(日) ※来場予約不要、入場無料
営業時間:10時~18時 ※金曜・土曜は20時まで延長
会場:加島美術(東京都中央区京橋3-3-2)
入札締切:8月31日(日)18時
公式サイト:https://meguru-auction.jp/mem_top
Web限定オークションサイト「廻 -MEGURU- オンライン」:https://meguru-auction.jp/mem_goodslist?action=interauc
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000012878.html
(Fumiya Maki)