2022年に逝去した建築家・磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展『磯崎新:群島としての建築』が、11月1日(土)から2026年1月25日(日)まで水戸芸術館で開催される。

自身が設計を手がけた会場で繰り広げられる展示は、建築の枠を超えて活動した磯崎の全貌を俯瞰する貴重な機会となる。

建築の概念を「群島」として構成する展示

本展のテーマは「群島としての建築」。都市や建築、インスタレーション、美術との関わりといった多様な領域を「群島」のように結び合わせ、磯崎の軌跡を紹介する。

《東京都新都庁舎計画設計競技》1985-86年、シルクスクリーン、1986年、H80×W120cm©Estate of Arata Isozaki

展示は建築模型や図面、スケッチ、水彩画、大型インスタレーション、映像、アーカイブ資料など多彩なメディアで構成され、建築家としての実践だけでなく、思想や批評活動まで幅広く網羅する内容となっている。

国内外の代表作から都市計画まで

会場では、アンビルトの都市計画《東京計画1960》や《空中都市》シリーズ、初期の《旧大分県立図書館》、国内作品《群馬県立近代美術館》《北九州市立美術館》《つくばセンタービル》《なら100年会館》などを展示。

《群馬県立近代美術館》1974年竣工、シルクスクリーン、1983年、H90×W63cm©Estate of Arata Isozaki

《カタール国立コンベンションセンター》2011年竣工、竣工写真、2011年、Photo: Hisao Suzuki

さらに、海外で手がけた《ロサンゼルス現代美術館》《ラ・コルーニャ人間科学館》《カタール国立コンベンションセンター》といった代表作も取り上げ、磯崎建築の広がりを実感できる。

美術との協働とスケッチの世界

磯崎は建築だけでなく、アーティストとの協働や美術展のキュレーションにも積極的に取り組んだ。会場では《奈義町現代美術館》や移動式コンサートホール《アーク・ノヴァ》、さらには世界各地で描いた70冊以上に及ぶスケッチブックの一部も公開される。

スケッチ・ブックより《パルテノン神殿、アクロポリス》、2000年12月、水彩、H14×W19.5×D3 cm ©Estate of Arata Isozaki

建築を超えて展開されたその活動は、美術や思想、文化論とも結びつき、磯崎の創造の原点を探る手がかりとなる。

会場そのものが展示となる「水戸芸術館」

1990年に竣工した水戸芸術館は、ポストモダン建築を体現する磯崎の代表作。本展では、この建物自体も展示のひとつとして位置づけられ、刊行予定のガイドブックを手に館内外をめぐることができる。

没後初の大規模回顧展。磯崎新の軌跡をたどる『群島としての建築...の画像はこちら >>

Courtesy of Arata Isozaki & Associates

建築と展示が一体となる場を歩きながら、巨匠の思想に触れてみてはいかがだろうか。

磯崎新:群島としての建築
会期:2025年11月1日(土)~2026年1月25日(日)
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(11月3日、11月24日、1月12日は開館)、11月4日(火)、11月25日(火)、年末年始(12月27日(土)~1月3日(土))、1月13日(火)
入場料:一般900円
ゲストキュレーター:ケン・タダシ・オオシマ、五十嵐太郎、松井茂

公式サイト:https://www.arttowermito.or.jp/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000150724.html

(山之内渉)

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