『ザ・マスクド・シンガー シーズン2』である。
MCは大泉洋(1973年4月3日生れ)。
当コラムでは最多で取り上げている人物だ。
(『ザ・マスクド・シンガー シーズン1』の大泉洋 イラストby龍女)
『ザ・マスクド・シンガー シーズン1』を取り上げた2021/10/13のコラムでもシーズン2の期待を書いた。
ローズの正体はやはり当たった。
『ザ・マスクド・シンガー』はリアリティショー形式の勝ち抜きカラオケ合戦である。
有名な歌手や俳優やスポーツ選手などがマスクと言うより、特注された着ぐるみに入り、カラオケバトルをする。
番組が始まった韓国では仮面だけだったが、現在世界50ヶ国以上に広がってからはコスプレ音楽バラエティに進化している。
現時点では全9エピソード中7話が配信されている。
リアリティ・ショー形式の番組だが、筆者は恋愛バラエティと違って非常に面白く拝見させて貰っている。
それはどうしてか?
番組の構成に大きな違いがある。
また、『ザ・マスクド・シンガー』はレビューによって直接視聴者の意見が届く配信番組ならではの利点もある。
シーズン1からシーズン2で改良された点も観ていこう。
最初はリアリティ・ショー形式で好感が持てる番組構成とは何か?
考えてみた。
『ザ・マスクド・シンガー』と恋愛バラエティの違い
この違いは、司会とゲストと出場者の立ち位置にあると気がついた。
恋愛バラエティでは、出場者は司会とゲストとは直接会わない。
司会とゲストは別室のモニターで覗いてあーだこうだ言う。
出場者の行動にいちゃもんつけて弄んでいるような感じやSNSで出演者に誹謗中傷しているような構造自体に問題を感じて仕方が無い。
視聴者に対してこれは全て本物の感情であるという錯覚を起こさせるところが実に罪深い。
放送時間は決まっているから、編集が行われて、事実を違って見せ方を行っている事も往々にしてある。
恋愛バラエティ以外でも、視聴者の代弁者である司会とゲストが外側からのぞきこんで限定された空間で出場者を精神的に追い詰める番組は余り好きではない。
『ザ・マスクド・シンガー』と同じアマゾン・プライム・オリジナル配信番組の『ベイクオフ・ジャパン』も大好きだ。
出場者はアマチュアだがお菓子作りの一番を目指して勝ち抜く。
リアリティ・ショー形式を採用した料理番組である。
お菓子にまつわる地域の野外会場に特設キッチンを組んで、戦う。
限定された空間という意味では同じである。
しかし、出場者と同じ現場に司会と審査員がいる。
プロの菓子職人である審査員が、結果を伝える時の葛藤がみえて来る。
何より筆者は調理師免許を持っているので、どの出場者が勝てそうな技量やメンタルを持っているか分析しながら予想するのが楽しい。
しかし、菓子の専門家ではないので、知らない菓子の紹介と作り方が分かるので余計ハマる。
『ザ・マスクド・シンガー』は他のカラオケバトルと違い、踊りやストーリー仕立てになっている。
音楽バラエティとしての見せ方として、最高のステージだと言って良い。
何より、ステージに立ってパフォーマンスするまでに入念な訓練が施されている。
素のままの本物ではなく、作り上げたものの素晴らしさに振り切った上で、人気のリアリティ・ショー形式を組み入れているので、かえって信用できるのだ。

(『ザ・マスクド・シンガー シーズン1』より。バードと大泉洋 イラストby龍女)
それでは『ザ・マスクド・シンガー』がシーズン2になってどういう変化があったか?
具体的に観ていこう。
まず、日本版特有の楽しみ方としてはタイトルにも挙げたように、パネリストとしてのPerfumeのあ~ちゃんと、MCの大泉洋のやりとりが面白すぎる。
一組のパフォーマンスが終わったら、パネリストはマスクの正体の予想を答えなければならない。
あ~ちゃんだけは答えない場合が多い。
詳しく観てみると無回答という意味では無く、この場合は
「ああ答えが出そう」と言ったニュアンスだ。

(『ザ・マスクド・シンガー』のレギュラーパネリストPerfume。
左からのっち(大本彩乃)・あ~ちゃん(西脇綾香)・かしゆか(樫野有香) イラストby龍女)
6人のパネリストの個性が違う事でもこの番組の楽しみ方の提示として、強制を感じないので面白い。
レギュラーのパネリストのギタリストで俳優のMIYAVI(1981年9月14日生れ)はOPテーマを提供した。
もう一組のレギュラーのパネリストのPerfumeはEDテーマを担当している。
シーズン1ではもう一人のレギュラーだった水原希子は抜け、代わりにシーズン1で出たパフォーマー達(水野美紀・小林幸子・土屋アンナ)がパネリストに順番に登場する。
もう一つの枠が芸人で何人か入れ替わりで登場したが、シーズン1と2を通してもっと多いのがアンジャッシュの児嶋一哉である。
大きな変化としてシーズン2になって、なくなったものがある。
決め台詞の
「Take it off!」(直訳すると「それを脱げ」)
である。
『クイズ$ミリオネア』の時の「ファイナルアンサー?」のようにお馴染みのフレーズにする事に失敗してしまった。
一方で、ファイナリストになって成功をしたので、出場者のパフォーマンスの演出の方向性に型に似たものが現れてきた。
筆者は二つの傾向を発見した。
一つ目はローズこと水野美紀のケースの踏襲である。
連続ドラマ仕立ての演出で、先が見たくなって観客はスマホで投票してしまう。
これ自体がマスクド・シンガーのヒントにもなっている。
水野美紀は俳優で脚本家で舞台演出家である事に繋がっている。
今回の場合も、俳優としてのイメージが大きいパフォーマーがドラマ仕立ての演出を選択した。
シーズン2の出場者の一人、ヒーローがこの見せ方を選択している。
脱落してしまったが、ダイバーが同じ方向の演出でパフォーマンスしていた。
俳優として知られているためである。
二つ目の傾向が、シーズン1で優勝したのは、前ページでイラストにしたバードこと土屋アンナである。
日本のスーパーモデルの一人である
彼女はロック系を中心にR&Bと歌謡曲を織り交ぜて、1980年代~2000年代の選曲で戦った。
この時、ヒントとして多面性を強調していた。
アンブレラは傾向的にバードと同じ演出を選択したパフォーマーに見える。
七色の声を持っていると紹介されて登場しているが、声の方ではなく仕事の方向性が七色に見える。
木村カエラのようにモデルから歌手になった人物がいるように、モデルはアスリート並にストイックに体を鍛えている人が多い。
歌がうまい人は自分なりの歌唱法を維持するために体を鍛える職業なので、モデルとの親和性も高い。
またすでに脱落して正体が明かされたが、視聴者である筆者もパネラーの出演者6人とも最後まで分からなかったパフォーマーもいた。
ヒントの出し方にひねりが利きすぎている。
二回戦で、何と野性爆弾のくっきー!(1976年3月12日生れ)が「マスクド・アーティスト」としてヒントを出す画家として登場している。
唯一無二で独特の肖像画を描く画家としても優れている。
筆者はなまじ絵が描けるだけに、彼しか描けない絵に圧倒されっぱなしである。
一方で、エピソード7時点で生き残ったヒーローとアンブレラの正体は何となく見当がついた。
ヒーローは仮面ライダーにもウルトラマンシリーズにも出ていて俳優としては筆者と同世代の今年大河でも大活躍中のあの人だ。
すでに似顔絵を描いている。
アンブレラは近い内に似顔絵を描きたい。本職はモデルだが通販も歌も上手いバラエティーの裏女王だろう。
間違いなく、シーズン1より面白くなったので、シーズン2はまだ終わっていないが、すでにシーズン3も楽しみになってきた。
筆者が好きな芸能を存分に味わえる。
究極の芸能であるミュージカルの醍醐味をTV番組の形で進化してみられる強力な枠組みを持っている。
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