ダンジョン・街の探索、シンボルエンカウントによるザコ戦、兵站を割愛し、その分充実しているのがバトルシステム。バトルは基本任意で行うことが可能で、やりたくなければ無視して先に進んでもOKです。ただし手に入る素材を使って武器防具を強化していくので、最終的に詰みにならぬよう、必要なバトルをこなしていく必要があります。
タイムラインで敵の行動を把握し、先読みしながら戦闘の組み立てるシステムは奥深く、1戦も気を抜くことができません。『ロマサガ』や『サガフロ』では個々が持っていた技ポイントがパーティ全員共有のバトルポイントになり、ターンが進むにつれ徐々に追加されていくようになりました。1ターン目から大技を決めることはできないため、自然と先読みをした組み立てが身につきます。
敵の攻撃に割り込みを行う「インタラプト」や攻撃されたら反撃を返す「カウンター」を使って敵の攻撃の流れをカットし、スタンやマヒを使って妨害し、怒りを買うことで攻撃パターンを崩す…
このような先読みをしつつバトルを組み立てるのが本作の醍醐味。ですが、敵も同様に攻撃してくるため、一手読み間違えると立て直しが大変です。ただ敵が強いだけの理不尽なバトルならまだしも、敵の攻撃が読めるからこそ、己の失策がよくわかる…!
筆者は強い火力でゴリ押しをしてサクッと戦闘を終わらせたい脳筋タイプなので、この独特のバトルの組み立てに飽きてしまわないか心配でしたが、そもそも本作は無駄なバトルが1つもない(というか回避できる)ので、飽きるようなザコ戦がありません。常に命がけの真剣勝負。ひとつとして同じパターンは成立せず、手に汗握る戦いが楽しめます。
バトル中にまれに発動する「恩寵」が流れを変えてくれることも。
ホンネ君「恩寵目当てにしないでちゃんとバトルを組み立てろ」 はい、その通り…。
『サガ スカーレット グレイス』 はPlayStationVitaで6,800円(税別)で発売中です。
■著者紹介
みかめ ゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。ゲームはジャンル問わず下手の横好きでなんにでも手を出す。歴史マンガ、コラム、イラストなど雑多に活動中。代表作『ふぅ~ん、真田丸』(実業之日本社)
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