自軍の規模を大きくし占領や防衛、講話、そして敵軍の撃破をもって勝利を目指す<STRONG>戦略シミュレーションやストラテジージャンル</STRONG>のゲームは、いつの時代になっても色あせない魅力を備えています。

今回は、玄人やマニア向けに編集部が特にオススメする往年の戦略系ゲームを特集。
第二次世界大戦を扱った『Hearts of Iron IV』や、国家による戦争を事細かに再現する『太平洋戦記3』、分隊の小規模な『Full Spectrum Warrior』など、いずれもPC向けのタイトルを中心に、現時点でも入手可能な9本をピックアップしました。

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■『太平洋戦記3 最終決戦』
開発元:ジェネラル・サポート 開発年:2012年 機種:PC

――太平洋戦争を事細かく再現したストラテジーゲーム
ジェネラル・サポートが2012年にリリースした、太平洋戦争が舞台となるターン制ストラテジーゲーム『太平洋戦記3 最終決戦』。艦艇や航空機、戦車などを合わせて1000種類以上の兵器が登場する圧倒的なデータ量を誇る他にも、物資の生産や採掘された資源など本格的な生産/開発/維持の再現性にこだわったことが本作の壮大さを表しています。

細かい設定が特に活かされているのが兵器開発で、兵器ファミリー化によって航空機や戦車、そして艦船の派生型開発なども出来ます。また、「あの兵器の開発が間に合っていたのなら?」や「フランスが降伏していなかったら?」という歴史のif要素も持ち合わせています。ダウンロード版は販売されていませんが、Amazonなどから現在でも通販で購入可能。
追加兵器や大和開発計画を追加した拡張版の『大和計画』もリリースされています。

(C)GENERAL SUPPORT

■『Hearts of Iron IV』
開発元:Paradox Interactive開発年:2016年 機種:PC

――WW2で登場した国家を運用する人気シリーズ
世界規模で第二次世界大戦を再現するストラテジーゲームシリーズ最新作『Hearts of Iron IV』。プレイヤーは、日本やアメリカ、ソ連、イギリス、ドイツの主要5カ国に加え、フランスやポーランド、中華民国やイタリアといった国家でプレイも出来ます。プレイヤーは国家を運営する“閣下”となり、技術の研究や貿易などを通じて部隊を編成、戦争による領土の拡大などを目指します。もちろん、ポーランドプレイのように宣戦布告されてから防衛に徹することも。

『Hearts of Iron』シリーズが特にマニアックさを感じさせるのは、プレイヤーが各国家で体験する前線と戦時体制の構築、歴史のifを自ら作り出せることで、ユーザーがあらゆる国家でのプレイ経過を記すAAR(アフターアクションレポート、いわゆるプレイレポ)の存在が大きいです。
特にAARは、動画や文章から仮想的な独自の歴史ものとしての高い人気を持っています。また本作はSteamで販売されており、Steam Workshopには日本語化Modも配信されているので、ゲームプレイのハードルは低いです。

■『Brothers in Arms: Road to Hill 30』
開発元:Gearbox Software 開発年:2005年 機種:PC/PS2/Xbox

――史実を基に忠実に当時の戦いと分隊指揮を再現したFPS/RTS
『Brothers in Arms: Road to Hill 30』は、WW2におけるノルマンディー上陸作戦の第101空挺師団の活躍をテーマにしたタイトルです。プレイヤーは、マット・ベイカー軍曹となりノルマンディー上陸作戦開始前日からフランスのカランタン南西にあるヒル30を奪取する8日間を戦い抜きます。本作が他のシューターやRTSと一線を画しているのが、徹底的な調査による戦場の史実再現。プレイヤーが分隊長となって戦車や機関銃兵などをRTSの様に指揮しながら、様々な危機的状況を打破していくのです。


本作の他にも同じ、101空挺のハードソック軍曹を主人公にした外伝の『Earned in Blood』と、マーケット・ガーデン作戦を新たな舞台にした続編の『Hell’s Highway』もリリースされていました(本作シリーズはすべてSteamで購入可能)。WW2のFPS/RTSという特殊なジャンルから一定の人気がある本シリーズですが、続編の要望がありつつも依然として新作がリリースされていないタイトル。E3 2011では『Brothers in Arms: Furious 4』というタイトルが発表されていましたが、最終的にはお蔵入りとなりキャラクターの要素は『Battleborn』に取り入れられてしまっています。他にも2015年にはGearboxのCEOが続編開発中であることを語り、2016年の米ゲーム声優による待遇改善のストライキでは対象プロジェクトのリストから未発表の『Brothers in Arms』の名前が挙がっていました。

※次ページ:神話ベースの作品や細かな現用兵器再現が魅力のRTSも!

■『Age of Mythology』
開発元:Ensemble Studios 開発年:2004年 機種:PC

――神話が舞台となる物珍しいRTS
紀元前の古代ローマやエジプトをテーマにした初代『Age of Empires』、中世が舞台となる『Age of Empires II』、近代が舞台となる『Age of Empires III』と、主に史実が中心となって展開された本家『AoE』シリーズ。対照的に本作『Age of Mythology』は有史以前の神話時代が舞台となる珍しいRTSです。
基本は従来のシリーズと同じですが、ギリシア神話と北欧神話、そしてエジプト神話の3つから、ゼウスやポセイドン、オーディン、セトなどそれぞれの主神を選び部分が特徴的です。また拡張版ではアトランティスも登場し、クロノスといった神々も出現。現在はSteamで最新OSに対応した日本語対応の『Extended Edition』も販売されているので、現在でもプレイし易い環境が整っているといえるでしょう。

■『Company of Heroes 2』
開発元:Relic Entertainment 開発年:2013年 機種:PC

――高精細なグラフィックでも話題となったWW2RTS『CoH』の続編
ノルマンディー上陸作戦の『Company of Heroes』から東部戦線に戦いの場を移したソ連対ドイツの独ソ戦テーマの『Company of Heroes 2』。RTSジャンルでありながら、歩兵のリロードや砲弾の装填まで再現されたアニメーションは驚くほどマニアックな作り。前作では、前述のアニメーションに加え当時としては高精細な3Dモデルを用いカットシーンを描いていました。


『CoH 2』では、前作の特徴をそのままに豪雪地帯での戦闘にフォーカスした内容となり、吹雪で凍え死んでしまう兵士や凍った川や湖で湖面を破壊するとユニットごと撃破できるなど、地形や環境要素が新たに取り入れられています。独ソ戦だけでなく、米軍の「アルデンヌの戦い」をフィーチャーした『Ardennes Assault』や英軍が参加する『The British Forces』など拡張版もSteamでリリースされています。

■『Command: Modern Air / Naval Operations』
開発元:WarfareSims 開発年:2014年 機種:PC

――現用兵器を事細かくシミュレートしたRTS
故トム・クランシー氏の処女作「レッド・オクトーバーを追え!」で、小説執筆におけるアイデアの元になったと言われるストラテジーゲーム『Harpoon』。本作『Command: Modern Air / Naval Operations』はその『Harpoon』シリーズの後継を目指して開発されたタイトルです。

1945年から2020年までのありとあらゆる国家のユニットを網羅し(当然のことながら自衛隊の兵器も収録している)、搭載兵器に関しても改修された兵器ごとのパラメーターなど事細かく再現しています。プレイ画面では、世界地図をベースにユニットはアイコンで表示されるため、地味な印象を与えるかもしれませんが北朝鮮のミサイル危機を題材にした「Korean Missile Crisis」や、中国海軍との南沙諸島での戦いをテーマにした「Spratly Spat」などのDLCシナリオも充実していることが魅力です。
また本作はSteamで販売されています。

※次ページ:軍用訓練シムから発展したストラテジーゲームや南北戦争が舞台のものも!

■『Ultimate General: Gettysburg』
開発元:Game-Lab 開発年:2014年 機種:PC

――『TOTAL WAR』シリーズのMOD開発者が手がける南北戦争
『Ultimate General: Gettysburg』は、その名の通りアメリカ南北戦争におけるゲティスバーグの戦い中心に据えて1863年7月1日から1863年7月4日までの3日間の戦いをピックアップしたRTSです。『TOTAL WAR』シリーズのAI改善MOD制作者であるNick Thomadis氏が開発に関わっており、AIによるゲームプレイチート(AIとプレイヤー間のバランス調整のために、AIの視界制限なしや資源がより多く入手出来るなど)を使用していない事が特徴です。また衛星画像や古地図を総動員し可能な限り当時の正確な地形を再現しているなど、ありとあらゆる細かさを追求しています。なお本作の続編として南北戦争全史を扱った『Ultimate General: Civil War』が開発されており、2017年4月現在のSteamにて早期アクセス版がリリースされています。

■『Total War: SHOGUN 2』
開発元:Creative Assembly 開発年:2011年 機種:PC

――日本に再び焦点が当たった『TOTAL WAR』シリーズ第7作品目
パブリッシャーがTHQからセガへと変わり、戦国時代の日本に再び焦点が当たった作品が『TOTAL WAR: Shogun 2』です。プレイヤーは、足利や徳川、北条などの様々な戦国大名から1人を選び天下統一を目指して戦いを繰り広げます。本作には、平安時代の源平合戦を舞台にしたDLC『Rise of the Samurai』と、幕末が舞台となる拡張版『Fall of the Samurai』などが存在し、様々な時代を体験出来ます。しかしながら今からプレイするには、日本語版が販売終了してしまっている事に加え、Steamなどでも国内向けに販売されていないことからハードルが高いタイトルです。なお2000年には『TOTAL WAR』シリーズ初作品として初代『Shogun: Total War』がリリースされていました。

■『Full Spectrum Warrior』
開発元:Pandemic Studios 開発年:2004年 機種:PC/PS2/Xbox

――軍用シミュレーターから発展した戦術ストラテジー
『Full Spectrum Warrior』は、元々ICTとPandemic Studiosが共同開発した市街地戦シミュレーター『Full Spectrum Command』を基に様々なシナリオを追加してゲームとして開発されたタイトルです。プレイヤーは、中東にある架空の国家ジーキスタンに侵攻した米陸軍のチャーリー90を指揮し、独裁者アルアファドの打倒を目指します。本作は分隊目線での指揮を中心としたRTSとなっており、アルファー/ブラボー分隊のチームリーダーや機関銃兵、グレネード兵、ライフル兵の4兵科を駆使し敵を制圧していきます。

またベースとなった『Full Spectrum Command』は、米軍とシンガポール軍の協力の下、MOUT(市街地戦)における米陸軍の指令制御の訓練を目的としたPCベースの訓練タイトルです。2003年1月にリリースされ、多段階計画や小隊の編成を学ぶことの他にも、そしてPKFやPKO活動における非正規対象戦の脅威に焦点を当てたシナリオがあります。なお『FSW』と続編の『Full Spectrum Warrior: Ten Hammers』は、PC版がSteamやGOGでも販売されている事に加えマルチランゲージ対応となっており、日本語も収録されていることから英語が苦手なユーザーも手に取りやすいタイトルです。

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以上、9本のマニアックな戦略系ゲームをご紹介しましたが、いかがでしたか? 独特なシステムを持ち、古今東西の兵器をリアルに再現したこれらストラテジーゲームは、特に欧米を中心にゲームの歴史上においても数えきれない種類の作品が発売されています。一方、国産の戦略シミュレーション系ゲームとなると、PC/PS2でリリースされたコーエー(現コーエーテクモゲームス)の『提督の決断』シリーズや、KADOKAWAの『戦闘国家』シリーズなど、ある一定のシリーズ作品に人気があるものの、完全な新作は影を潜めているのは残念なところ。読者の皆さまも、おすすめの戦略系ゲームがあれば、コメント欄で教えてくださいね。