ディズニーキャラクターが多数登場する人気シリーズ『キングダム ハーツ』の14年ぶりのナンバリングタイトルとなる『キングダム ハーツIII』が、ついに発売となりました。今回の『ゲーム19XX~20XX』は、この話題作の発売を記念して、シリーズ第1作目が発売された「2002年」を振り返ります。


この年の最大の出来事といえば、やはり日韓ワールドカップの開催でしょう。稲本潤一選手のゴールで日本が本大会で初めての勝利を手にしたロシア戦は平均視聴率66.1%を記録。さらに、当時イングランド代表だったベッカム氏が甘いマスクで人気となるなど、サッカーが国民的関心事となりました。

ワールドカップに次ぐブームとなったのが、多摩川丸子橋付近に出現したアゴヒゲアザラシです。このアザラシは多摩川で発見されたことから「タマちゃん」と名付けられ、連日ワイドショーに取り上げられるなど一大フィーバーを巻き起こしました。そのほか、小柴昌俊氏と田中耕一氏のノーベル賞ダブル受賞、日朝首脳会談の開催と5人の拉致被害者の帰国といった出来事も話題になりました。

この年のヒット曲は浜崎あゆみさんの『H』、宇多田ヒカルさんの『traveling』など。映画では『ハリー・ポッターと賢者の石』(公開は2001年12月)が大ヒットを記録しました。アニメでは『機動戦士ガンダムSEED』が人気に。また、水谷豊さん主演の人気刑事ドラマ『相棒』が、この年から連続ドラマシリーズとなっています。

ゲーム業界にとっても2002年はさまざまな出来事があった1年でした。特にゲームファンに衝撃を与えたのが、11月26日に発表されたスクウェアとエニックスの合併です。
ドラゴンクエスト』と『ファイナルファンタジー』という日本を代表する2大RPGを擁する両社の合併劇は各方面に衝撃を与え、新聞やテレビなどでも大きく取り上げられました。

2002年がどんな年だったが理解してもらえたでしょうか。それでは、この年発売された話題作・注目作を紹介していきましょう。当然、1本目はこちらになります。

キングダム ハーツ
発売日:2002年3月28日
機種:プレイステーション2
発売元:スクウェア(現スクウェア・エニックス

国内累計出荷本数160万本というミリオンヒットを記録した、記念すべきシリーズ第1作目です。主題歌は宇多田ヒカルさんの『光』。今ではすっかり定番となっていますが、当時は絶大な人気を誇る宇多田さんが、ゲームの主題歌を担当するということで大きな話題となりました。

物語の主人公となるのは「デスティニーアイランド」と呼ばれる世界で暮らす少年ソラ。彼は離れ離れになった幼なじみのリク、カイリを探すため、キーブレードを手にドナルド、グーフィーとともにさまざまなディズニー世界を旅していくことになります。最大の見どころはやはりディズニーキャラクターとの競演で、アリス、ターザン、ピノキオ、ピーターパンなどなど、おなじみの人気キャラクターたちがこぞって登場。さらに、『ファイナルファンタジーVII』、『VIII』、『X』のキャラクターたちも登場してくるなど、ディズニーと『FF』のクロスオーバーを楽しめます。

もちろんゲームとしても面白く、威力抜群のアビリティや魔法を駆使できるなど爽快感抜群。
2人のNPCとパーティーを組んで行動するなどRPG的要素も強く、誰でも楽しめる作品です。今からプレイするのであれば『キングダム ハーツ HD 1.5+2.5 リミックス』がおすすめ。本作とその後日談『キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ』をHDリマスターした『キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス』をはじめとする、6作品を楽しむことができます。

ワールドサッカーウイニングイレブン6
発売日:2002年4月25日
機種:プレイステーション2
発売元:コナミ

サッカーゲームの定番としておなじみの『ウイニングイレブン』ですが、この年に発売された『6』は日韓ワールドカップ開催が追い風となり、ミリオンヒットを記録。『ウイイレ』は名実ともにサッカーゲームを代表する人気シリーズとなりました。

56カ国の代表チームと全40のクラブチームが収録されていて、実況はジョン・カビラ氏、解説は中西哲生氏が担当。オープニングはクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』でした。ただ、実名なのは代表チームの選手のみで、クラブチームはロンドン、カタルーニャ、ピエモンテなど、いずれも実在のクラブを模した架空のチームとなっていました。もっとも往年のファンには、こうしたクラブ名も懐かしく感じることでしょう。

本シリーズがこれほど支持されたのは、サッカーの醍醐味のひとつである戦略・戦術的な面白さが、ゲームにしっかりと落とし込まれていたからと言えます。どのように選手を動かして、どこにボールを運ぶかを考えながら、パスやドリブルを駆使してチャンスを作り出していく。これがたまらなく面白く、狙った形でゴールをゲットできたときは思わずガッツポーズしたという人は少なくないでしょう。
そこには実際のサッカーに通じる魅力があり、それは以降のシリーズ作にも綿々と受け継がれています。

HALO(ヘイロー)
発売日:2002年4月25日
機種:Xbox
発売元:マイクロソフト

2002年の大きな話題のひとつにマイクロソフト社の新ハード「Xbox」の日本発売があります。ハードディスクを標準装備し、ネットワークへの接続機能として100MBpsのイーサネットポートを搭載するなど、当時としてはかなりの高スペックで、前年に発売された北米ではいち早く100万台を突破。最終的に全世界で約2400万台の売上を記録しましたが、日本ではまだまだ海外ゲームへの認知度が低かったこともあり、出荷台数54万台と惨敗に終わりました。

それでも、いくつかのタイトルはゲームファンの注目を集めました。そのひとつがFPSの傑作として名高い『HALO』です。スパルタン部隊の兵士・マスターチーフとなって、謎の環状惑星ヘイローを舞台に激戦を繰り広げる3Dシューティングで、現在では『Halo:Combat Evolved』のタイトルで知られています。北米ではXboxのローンチタイトルとして2001年11月15日に発売され、世界累計600万本の売上を達成するなど爆発的ヒットを記録。残念ながら日本ではさほどヒットしませんでしたが、かなりハマったというコアゲーマーは少なくありませんでした。

本作がこれだけ受けた最大の要因は、やはりゲームパッドでの快適な操作が実現されていたことに尽きるでしょう。今ではすっかり当たり前になりましたが、左スティックで移動、右スティックで視点操作というシステムは非常に斬新で、その爽快感はそれまでのゲームにはないものでした。日本でFPSというジャンルが普及するきっかけのひとつになったと言えるでしょう。
現在プレイするなら、本作から『Halo 4』までを収録した『Halo: The Master Chief Collection』がおすすめです。

ひぐらしのなく頃に
発売日:2002年
機種:PC
発売元:07th Expansion

竜騎士07氏が主催する同人サークル「07th Expansion」が手がけたことで知られるミステリーテイストのサウンドノベルで、「雛見沢村」と呼ばれる寒村を舞台に巻き起こる、陰惨かつ不可解な事件が描かれていきます。今やすっかりアニメやゲームなどでおなじみの本作ですが、当初はコミックマーケットで頒布された同人ゲームで、2002年夏のコミケで第1弾となる『鬼隔し編』、同年冬に第2弾の『綿流し編』が発表されました。

オリジナル版は選択肢がない完全な一本道で、特に出題編となっている『鬼隔し編』、『綿流し編』はストーリーが本格的に動き出すまでひたすらほのぼのとした展開が続くなど、正直やや冗長な感は否めません。しかし、物語は少しずつ不気味な様相を呈していき、やがて急展開を見せます。この緩急の大きさは凄まじく、衝撃の結末も含めて多くのプレイヤーが度肝を抜かれました。

以降も連作型式で新たなエピソードが公開されていき、人気はさらに拡大。2006年にはアニメ化もされるなど一大ブームとなったのはご存知のとおりです。現在でもその人気は高く、新シナリオを追加した『ひぐらしのなく頃に奉』(エンターグラム)がニンテンドースイッチ、プレイステーション4で発売中です。

2002年に発売された、その他のゲームも振り返っておきましょう。最大のヒットとなったのはゲームボーイアドバンス向けに発売された『ポケットモンスター ルビー・サファイア』(任天堂)で国内累計出荷本数540万本を記録。ゲームボーイアドバンスでは弁護士・成歩堂龍一となって無罪を勝ち取るべく戦うアドベンチャー『逆転裁判2』(カプコン)もスマッシュヒットとなりました。


プレイステーション2では、故松田優作氏を主役モデルに起用した剣術アクション『鬼武者2』がミリオンヒットを記録。サッカークラブ経営シミュレーション『サカつく2002 J.LEAGUEプロサッカーチームをつくろう』(セガ:現セガゲームス)、地震で崩壊した都市からの脱出を目指す異色のサバイバルアクション『絶体絶命都市』(アイレム)、アーケードで人気の『太鼓の達人』を初めて家庭用ゲームに移植した『太鼓の達人 タタコンでドドンがドン』(ナムコ:現バンダイナムコ)、アニメやコミックなど複数のメディアでの同時展開が話題となった『.hack//シリーズ』(バンダイ:現バンダイナムコ)なども人気となりました。

ゲームキューブでは『スーパーマリオサンシャイン』、『ゼルダの伝説 風のタクト』(いずれも任天堂)などがヒット。Xboxでは2本のレバーやフットペダルなどで構成された大掛かりな専用コントローラーを使って巨大ロボットを操作する『鉄騎』(カプコン)が話題を集めました。

また、この年ADSLの普及が急速に進み、プレイステーション2用ブロードバンドネットワークサービス「PlayStation BB」が本格スタート。5月16日に『FF』シリーズ初のMMORPG『ファイナルファンタジーXI』(スクウェア)が発売されました。さらに、韓国のグラビティが制作したPC向けMMORPG『ラグナロクオンライン』(ガンホー)も12月1日より日本での運営が開始されています。

■その他の主な出来事
3月9日 スクウェアが任天堂ハードへのソフト供給を決定
4月25日 東京・大阪高裁で中古ソフト販売に合法判決が出る
5月31日 任天堂の新社長に岩田聡氏が就任
6月 CERO発足、レーティング制度が本格スタート
7月12日 バンダイの携帯ゲーム機「スワンクリスタル」発売
10月10日 秋葉原にアソビットシティがオープン
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