そんな本シリーズの原点は、スーパーファミコンの『スーパーマリオカート』です。先日から遊べるようになった『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』にも収録されているわけですが、改めて遊んでみると“ゲームの進歩”をすごく感じられる内容になっています。
◆1.もともとはSFCの拡大縮小機能を使ったゲームだった
言うまでもありませんが、現在のシリーズ作品は3Dグラフィックで描かれています。マリオやピーチ姫といったレーサーはもちろん、コースにカートにアイテムなどなど、すべて立体的に作られているわけですね。
最新作である『マリオカート8 デラックス』はグラフィックも非常に豪華になっており、水の中・鉱山・おもちゃの世界など見ているだけで楽しい世界を走れます。さらに反重力で壁や天井も走れるうえ、リプレイでその様子をじっくり眺めることも可能です。
スーパーファミコンでは今のようなグラフィックは表現できませんでしたが、このゲーム機は拡大縮小、回転機能が搭載されていました。遠くにあるものは縮小し、近くなってきたら拡大表示する。そうすれば、ドット絵のゲームでも立体感のある表現ができたのです。
スカイダイビングなどを表現した『パイロットウイングス』、高速レースを表現する『F-ZERO』もそんなタイトル。そしてもちろん『スーパーマリオカート』も拡大縮小、回転機能を使って、みんなで楽しく遊べるパーティーレースゲームを表現したのです。
改めて大画面で『スーパーマリオカート』を遊ぶとグラフィックの粗さや見づらさも感じますが、それでも1992年当時に(27年も前に)してこういったゲームをきちんと成立させていたすごさも感じられるのです。
◆2.初代は2人プレイのみ、最新作は最大12人プレイが可能
『スーパーマリオカート』は2人プレイにしか対応していません。『マリオカート8 デラックス』はオフラインで4人、オンラインなら12人で遊べることを考えるとすごく少なく感じますよね。
それでも当時はものすごく盛り上がったもので、通常のレースはもちろんバトルモードでも白熱したものです。ガチ勢はタイムアタックでどれだけ速いタイムを出せるか挑戦しましたし、TV番組でもタイムを競うコーナーがありました。
いまではオンラインで離れた人とも一緒にみんなで遊べます。すっかり当たり前になったことですが、夢のように嬉しいことなんですよね。
◆3.初代は8キャラ、最新作は42キャラ!
『スーパーマリオカート』に登場したキャラクターは8名のみ。マリオ、ルイージ、ピーチ姫、ヨッシー、クッパ、ドンキーコングJr.、ノコノコ、キノピオとなっています。ドンキーコングでなくドンキーコングJr.なあたりがミソですね。
『マリオカート8 デラックス』ではなんと42キャラまで増えています。マリオなどのキャラクターはもちろん、『スプラトゥーン』や『どうぶつの森』からゲストも参戦。ロゼッタやワルイージなどは昔はいなかったキャラクターですよね。
さらに昔のキャラクター性能は4種類のみでしたが、最新作は細かく性能が用意されています。ついでにカートをカスタマイズできる要素も昔はなかったのです。
◆4.ロケットスタートが非常に難しい
『マリオカート8 デラックス』のロケットスタートは、練習すればたいていの人ができるであろうという難易度になっています。さらにベストタイミングになるとダッシュする時間が長くなるという設定になっており、基本は誰でもできる、けれどもより上を目指せるテクニックとなっています。
しかし『スーパーマリオカート』のロケットスタートは非常に難しいのです。押すタイミングも現在とは違いますし、成功タイミングが非常にシビア。しかもゲーム中では説明がなく、裏技のような扱い。確実にロケットスタートできる人は一目置かれていました。
◆5.初代はスリップストリームがない
他のカートの後ろにぴったりつくと発生するスリップストリームですが、これが登場したのは『マリオカート64』から。つまり初代にはなかったのです。
昔はトップの後ろにくっつくと、バナナやコウラを置かれてしまうのでリスクが非常に大きかったのです。ところがスリップストリームが追加され、相手の背後を取るリターンも生まれたというわけですね。
◆6.ミニターボはあるけどほとんど裏技
ドリフト中にハンドルを曲げ続けるとミニターボが溜まります。これも初代にはない……と思いきや、実は存在するようで超上級プレイヤーは使いこなしていました。
やり方は今と変わらず、Rボタンを押したあとドリフトして一定時間経ってから操作をニュートラルにすると発動。ただし見た目では判断できないのでかなり難しくなっています。これでいろいろなショートカットができるので、改めて挑戦してみるのもいいかもですね。
◆7.難易度をあげると敵の攻撃が超熾烈
グランプリでは排気量によって難易度が上昇します。昨今ではライバルのカートがすごく速くなりテクニックも上昇する……という感じで、まっとうに難しくなるというべきでしょう。
しかし『スーパーマリオカート』は一味違います。速いのはそうなのですが妨害が熾烈。マリオがスターを使いまくる、ヨッシーがタマゴを投げまくる、クッパが炎を吐きまくる……。150ccになると妨害の恐ろしさが最高潮になるので、一度はこの荒々しいゲームバランスを体験してみるといいでしょう。
◆8.謎の黒い敵がいる
『スーパーマリオカート』のV.S.モードでは、このモードでのみ登場する謎の黒い敵が現れます。
当時はなんら不思議に思いませんでしたが、いまになってみると「こいつなんなんだろう?」と疑問が湧いてきます。おそらくふたりプレイでは障害物が少ないのでそのために配置されている存在だとは思うのですが……。
◆9.レインボーロードが同じだけど違いすぎる
『スーパーマリオカート』にもさまざまなコースはありますが、一番印象的なのはレインボーロードではないでしょうか。虹色でキレイだけど落ちやすいレインボーロード! 昔はここを落ちずに走りきれるだけでもすごかったのです。
『マリオカート8 デラックス』にもスーパーファミコン版のレインボーロードが登場しています。走り比べてみると再現度、そしてグラフィックの向上具合に驚くかも。
◆10.でもパーティーゲームとしての楽しさは変わらない
こうして比べてみると『マリオカート』シリーズはとても進歩していることがわかります。キャラクター数やコースのクオリティ、より遊びやすくなったシステムなど。昔はスーパーファミコンの機能を使った挑戦的なタイトルだったというのも、感慨深いですね。
シリーズを細かく見ていくといろいろと差異はあるのですが、それでも「みんなで遊べるパーティーレースゲーム」という基礎はまったく変わりません。20年以上もずっと芯の部分は変わらない、というのが長寿の秘訣なのかもしれないですね。