ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が、2010年から提供し続けている有料サービス「PlayStation Plus」(以下、PS Plus)。そのサービス内容は、対象タイトルのオンラインマルチプレイや、オンラインストレージへのセーブデータのバックアップなど、多岐にわたっています。


その中でも特に魅力的なコンテンツのひとつと言えば、やはり「フリープレイ」でしょう。これは、毎月新たなタイトルがラインナップに加わり、そのプレイ権利を獲得しておけば、サービス加入期間中いつでも遊べるという嬉しいサービスです。

こうした様々なサービスを提供する「PS Plus」が、6月2日(日本の場合)にリニューアルされ、その内容が拡大。従来のPS Plusと同様のサービスを提供する「エッセンシャル」、PS4やPS5の人気タイトルをダンロードしてプレイできる「エクストラ」、初代PS・PS2・PSP・PS3のタイトル(最大240本)も対象に含む「プレミアム」、この3つのコースが展開されます。

「エクストラ」は「エッセンシャル」の、「プレミアム」は「エクストラ」と「エッセンシャル」のサービスが内包され、提供料金も内容に応じて変化。そのため、オンラインプレイのみが目的ならば「エッセンシャル」を、色んなゲームを遊びたい場合は「エッセンシャル」や「プレミアム」を選ぶことで、自分のプレイスタイルに合わせて楽しむことが可能です。

まだサービスの全容が明かされていないので、現在「PS Plus」を利用中の方は、今後どのコースにするか迷っていることと思います。それぞれでかかる料金が異なるので、どのコースが最適とは一概に言えません。

ですが、「エクストラ」や「プレミアム」でプレイできるPS5/PS4タイトルのリストが先日発表され、そのラインナップが話題となりました。知名度が高いAAAタイトルも名を連ねており、高評価を博した作品も多数。未プレイならば遊んで損のないタイトルがずらりと並んでいます。

そこで今回は、実際のプレイ経験をもとに、特に満足度が高かったタイトルをピックアップしてお届け! ゲームの好みは相性があるので「万人が納得する」とまではいきませんが、一切の忖度なしで率直にお勧めできるタイトルを取り上げます。
「エクストラ」や「プレミアム」の加入を考えている方は、ひとつの目安にしてみてください。

■高難易度アクションとゴシック・ホラーを融合させた『Bloodborne』
SIE(当時はソニー・コンピュータエンタテインメント)とフロム・ソフトウェアがタッグを組み、PS4の国内発売から約1年後に登場した『Bloodborne』。PS4の黎明期を盛り上げた立役者のひとりとして、記憶に刻んだ方も多いことでしょう。

フロム・ソフトウェアが長年かけて築き上げた高難易度アクションの要素を色濃く受け継いだ一方で、被ダメージ直後の反撃が成功すればHPが回復する「リゲイン」など、より攻撃的なゲームスタイルで新たな刺激を提供。同社の代表作『ダークソウル』シリーズとはまた一味違う世界観など、独自性に基づいた魅力も大きく評価されました。

ハードなアクション好きにとっては定番のひとつですが、本作が発売されたのは2015年3月。改めて振り返ると7年の月日が経っており、若いユーザーならば知らなくても無理はありません。

2022年のゲーム市場はまだ半分も経過していませんが、前半を代表する作品のひとつとして話題となり、世界的な大ヒットを遂げた『ELDEN RING』を開発したのも、このフロム・ソフトウェアです。

『ELDEN RING』はオープンワールド的なフィールド構成なので、この『Bloodborne』とプレイ感が異なる面もありますが、どちらも宮崎英高氏がディレクターを担当しており、系譜という意味でも通じる点は多々。『ELDEN RING』をクリアし、さらなる高難易度アクションを求める人は、「PS Plus」のリニューアルに合わせて『Bloodborne』に挑んでみてはいかがですか。

■ファンタジーとSFが交差する物語と、手応え溢れる“狩り”の醍醐味に心酔する『Horizon Zero Dawn』
高難易度アクションではなく、オープンワールド・アクションRPGを求めるなら、『Horizon Zero Dawn』をプレイ候補に入れるのもお勧めです。こちらは2017年2月に発売されており、約5年前の作品ですが、ゲーム性はもちろん描画についても古臭さはなく、令和に遊んでも遜色のない大作と言えます。


あくまで個人的な感想ではありますが、この太鼓判が押せるのは、筆者が2020年にプレイしたためです。ずっと気にはなっていたものの、プレイする時間がなかなか取れず、ようやく都合がついたのが約2年前でした。

ゲームライターという仕事柄もあり、またジャンル的に好みでもあるため、オープンワールドのゲームはたびたび遊んでいます。そうしたプレイ体験を通した上でも、『Horizon Zero Dawn』の世界は刺激的で、魅力に溢れていました。

敵として立ちはだかる機械獣は、無鉄砲につっこむと返り討ちに合う手強さがあり、しかし入念な準備や武器の長所を活かした立ち回り、一時的に時間の流れが遅くなるエイムなどを駆使すれば、“ちょうど歯ごたえのあるバランス”を実現してくれる絶妙な塩梅。バトル自体が楽しいオープンワールドゲームは、意外と貴重なので見逃せません。

また、本作の舞台は原始的な文明に近いものの、SF的な要素が盛り込まれており、物語面の訴求性もなかなかのもの。ネタバレになるので詳細は伏せますが、タイトルにある「Zero Dawn」が何なのかを知る旅は、記憶に残るひとときになること請け合いです。

■本編未経験者はもちろん、DLCだけ遊んでない人にもお勧め! 『Ghost of Tsushima Director's Cut』
オープンワールド系と言えば、史実の出来事をモチーフにしながら、魅力ある活劇世界を作り上げた『Ghost of Tsushima Director's Cut』も外せません。

モンゴル帝国に攻め入られた対馬を舞台に、壊滅的打撃を受けた武士団の中で立ち上がった主人公・境井仁が、苦渋の末に侍の誉れを捨て、あらゆる手段を厭わぬ戦いに身を投じる姿を描いた本作。時代劇の殺陣にインスパイアを受けたアクションシーンの小気味よさもさることながら、ドラマ性の高さも注目に値する完成度です。

本編は2020年7月にリリースされましたが、リニューアルする「PS Plus」に加わるのは、追加要素を収録した『Director's Cut』版。
壱岐を舞台とする新たなストーリーなども、本作で楽しめます。

未プレイの方にお勧めできるのはもちろんですが、本編はクリアしたものの、その後にリリースされた『Director's Cut』の新要素を遊んでいない方も少なくないはず。本編経験者が追加要素のみを目当てで「エクストラ」や「プレミアム」に加入するのは費用的に難しいところですが、ほかにも遊びたいタイトルがあるなら、DLCを購入せずに遊べる本作のプレイも併せて考えるとお得です。

■重力姫・キトゥンと共に、“空に落ちる”新体験!『GRAVITY DAZE』シリーズ
新鮮なアクション体験を味わいたい方には、『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』と『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』のプレイもお勧めです。

長いタイトルに戸惑われるかもしれませんが、ゲームとしての特徴は分かりやすく、また直感的でもあります。本作の最大の特徴は、自由に空を飛び回ること。しかも、一般的な“飛行”ではなく、重力を駆使して“任意の方向へ落ちる”という、これまでにないアクション体験を味わえます。

戦闘機のような飛行体験が楽しめるゲームは数多くありますが、“空に落ちる”移動体験は、『GRAVITY DAZE』シリーズならでは。『SIREN』シリーズで知られる外山圭一郎氏が手掛けた、この重力アクション・アドベンチャーを通して、斬新な新体験に触れるのも一興でしょう。

ちなみに本シリーズの1作目は、PS Vita向けに登場しました。すでにそちらを体験済みの方も、今回ラインナップに加わるPS4版で、より美しくなったグラフィックと60fpsのアクションを改めてご堪能ください。

■弾幕系TPSアクション『Returnal』は、次世代の描写も見どころ
新サービスで遊べるタイトルはPS4ソフトが多めですが、10本を超えるPS5ソフトも対象に入っています。
前述の『Ghost of Tsushima Director's Cut』も、PS4版と共にPS5版が提供されますが、PS5専用ソフトの中から1本選ぶとすれば『Returnal』をピックアップさせていただきます。

『Returnal』は、ローグライクなゲーム構造とTPSを組み合わせたアクションゲーム。限りのあるリソースの中からどのような取捨選択を行い、いかに敵を打倒していくのか──判断力とテクニックの双方が求められるゲームバランスは少々難易度高めですが、だからこそ乗り越えた時の心地よさは格別なものがあります。

手応えのあるゲーム性もお勧めできるポイントのひとつですが、舞台となる惑星の描写も見どころです。惑星「アトロポス」は、人類にとって未知の世界。そのため自然環境も異質ですし、かつて存在した文明の名残も、人類の歩みとは全く違っており、コズミックホラーめいた恐ろしさを感じさせてくれます。

PS5ならではの高性能を活かし、こうした描写をより高いレベルで表現している『Returnal』。宇宙のどこかにあるかもしれない、不気味な美しさを備えた惑星を覗き見る醍醐味も、本作を通して味わえる貴重なプレイ体験と言えます。

■3D系サバイバルアクションの金字塔が蘇る!『The Last of Us Remastered』
限られた物資で過酷な状況を乗り越える“サバイバルアクション”。今日までの歩みを遡れば様々な作品の名前が挙がりますが、その歴史を語る上で外せない作品のひとつが、『The Last of Us』でしょう。

寄生菌のパンデミックで文明が大きく衰退し、恐るべき「感染者」が彷徨う世界は、生き抜くことも生半ではありません。また主人公のジョエルは、パンデミックの初期に愛娘を失っており、その傷が未だに癒えぬまま。
環境的にも精神的にも、厳しい状態で物語が幕を開けます。

そんな彼の元に、少女・エリーをとある場所まで送り届ける依頼が舞い込みます。半ば押し付けられるように仕事を引き受けたジョエルは、その経緯も手伝って、エリーに対してもドライに接します。そして、パンデミック後の世界に生まれて育ったエリーも、ジョエルに対して簡単に心を開きません。

そんな距離感から始まった2人の旅路は、絶望とかすかな希望が折り重なる出来事を積み重ねていき、次第にその関係性も変化。決して器用ではない2人だからこそ、その歩みがどこか愛おしく、見る者の心に小さからぬ波紋を投げかけます。

サバイバルアクションは、そのジャンルゆえにゲーム性が重視されることも度々ありますが、本作は物語の完成度も非常に高く、記憶に残る1作と表現しても言い過ぎではありません。一方で、「聞き耳」を駆使するステルスアクションも良質で、ゲームとしての満足度もかなり高めです。

しかも今回のサービスに加わるのは、オリジナルに当たるPS3版をリマスターした、PS4版『The Last of Us Remastered』。過酷な世界をより美しく描いており、PS3版をクリアした方が改めて遊んでも、向上した描写力に改めて驚くはず。個人的には、遊んで損のない1本と断言させていただきます。

ちなみに、後にDLCとして登場した『The Last of Us Left Behind ‐残されたもの‐』も今回のラインナップに入っているので、こちらも合わせてお楽しみください。


実際にプレイした作品の中から、より多くの人にお勧めしたいタイトルを独断でお届けしました。異論もあれば、「あのタイトルもお勧めに入るはず!」といったご意見もあることでしょう。

そうした声があればあるほど、未プレイの方にとって、どれを遊ぶか選ぶ際の参考になります。新たな「PS Plus」の「エクストラ」および「プレミアム」で遊べる推しタイトルを、SNSなどでぜひ広めてください。インサイドでも、リニューアルする「PS Plus」の動向を、今後もしっかりと追い続けます!
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