2D対戦格闘ゲームの“原点”であり、“頂点”でもある「ストリートファイター」が、どのように進化したのか。プレイの機会を頂いた編集部は、さっそくカプコン東京支社にお邪魔し、その一端に触れてきました。
限られた時間だったため、詳細まで調べることは叶わなかったものの、新キャラクターやバトルシステムなどの輪郭が徐々に見えてきた本作。ぜひ本レポートを読んで、発売までアレやコレやと妄想を膨らましてみてください!
なお、あくまで開発中のバージョンであり、発売後の仕様とは異なる可能性があります。
◆「ドライブシステム」でバトルが一新!“戦い”は、より上の次元へ
『ストリートファイター6』の格闘アクションにおける最大の特徴は、「ドライブシステム」と呼ばれる新たなバトルシステムが採用されたことでしょう。
「ドライブシステム」は、専用のドライブゲージを消費して行う全キャラクター共通のシステムで、その内訳は5種に分かれます。
【ドライブインパクト】(使用コスト:ゲージ1本)
『ストリートファイター6』の目玉要素、その1!ググっと力を溜めた後、相手の攻撃を受け止める性能がある、強力な打撃を繰り出します。相手にヒットすると、画面にインクが撒き散らされたような演出が入り追撃が可能。使い心地は、『ストリートファイターIV』の「セービングアタック(Lv2)」に近いでしょうか。
この技がより恐ろしくなるのが、相手を画面端に追い詰めた時でしょう。ドライブインパクトはガードされると、そのまま相手を後方へ吹き飛ばす性質があります。その際、相手が画面端に到達すれば、特殊な“壁やられ”を誘発。
従来の「ストリートファイター」作品は、主に“打撃”と“投げ”の読み合いに勝つことで、相手にダメージを与えていました。しかし、『ストリートファイター6』では「ドライブインパクト」という新たな選択肢が加わります。しかも画面端なら、ガードさせればOK。これまで以上に、画面端からはヤバそうな気配がプンプンします。
【ドライブパリィ】(使用コスト:ボタンを押す時間に応じて、継続消費)
目玉要素その2となる「ドライブパリィ」は、防御手段として使える共通システム。ボタンを押している限り自キャラクターがガード状態となり、多段技であろうがスーパーアーツ(前作で言う「クリティカルアーツ」)であろうが、ちゃんと防御してくれます。
ドライブパリィによるガードが成立すると、ドライブゲージが回復するメリットも。このゲージが枯渇すると大ピンチになるため(詳細は後述)、対戦中は適宜ドライブパリィを駆使して、ゲージ回復を狙いましょう。
なお、ボタンを押した瞬間に攻撃を受けると、相手の攻撃を止める「ジャストパリィ」が発動します。これも過去作で例えると、『ストリートファイターIII』初出の「ブロッキング」に近いでしょうか。ただしブロッキングと異なり、方向キーを前に押すわけではなく、失敗時はそのままガードに移行するため、ブロッキングよりはリスクが低いと感じました。
【オーバードライブ】(使用コスト:ゲージ2本)
必殺技を入力する際、対応するボタンを2つ同時押しすると、強化された必殺技が出せます。
『ストリートファイターV』では、EX必殺技を使って立ち回りを強くするのか、クリティカルアーツにゲージを温存して大ダメージを狙うのか、プレイヤーの判断が問われる大きな要素でした。本作では、「オーバードライブ(EX必殺技)でグイグイ攻めつつ、隙あらばスーパーアーツで大ダメージ!」が1つのスタイルになるでしょう。
【ドライブラッシュ】(使用コスト:ゲージ1本 or 3本)
「ドライブシステム」において、最も研究しがいがあり可能性に満ち溢れている(ように感じる)要素が、この「ドライブラッシュ」です。
前述した「ドライブパリィ」の構えか、キャンセル可能な通常技から前方向にダッシュすることが可能。発動方法に応じてコストが変わっており、前者がゲージ1本消費、後者が3本消費します。動きの雰囲気は、『ストリートファイターIV』の“セビキャン”に似ています。
特に、通常技からドライブラッシュを使用した際のコストが重いのですが、逆に言えばそれだけ“使いこなせば強い”ということの裏返しではないでしょうか。特殊なコンボや、牽制に使いやすい中攻撃からいきなり距離を詰める等、色々想像が膨らみます。
【ドライブリバーサル】(使用コスト:ゲージ2本)
ガード中にボタンを押すと、自身の硬直を解除して反撃を繰り出します。「ストリートファイターV」の「Vリバーサル」に相当するアクションと言えるでしょう。
◆“攻守”共有のゲージ管理がひたすら熱い
さて、ここまで「ドライブシステム」について紹介してきました。
前述したオーバードライブやドライブラッシュを繰り出せば、ゴリッゴリに相手を攻め立てられます。しかし攻めにドライブゲージを使いすぎると、いざ守勢に回った際に各種防御手段が使えず、苦しい展開に追い込まれる場面も起こりそう。
さらに、『ストリートファイター6』ならではの驚くべき仕様をもう一つ。本作では、前作に存在した、中攻撃以上の通常技をガードした際に発生する「白ゲージ」、及び必殺技(CA)をガードした際に発生する「削りダメージ」が存在しません。その代わりに、相手の攻撃をガードするとドライブゲージが削れてしまいます。
ドライブゲージが枯渇すると「バーンアウト」状態となり、一定時間ドライブシステムに関わる全ての技が使用不可能に…!“攻撃”と“防御”の両翼をもがれたといっても過言でないほどの、大ピンチになります。
この状態で相手の必殺座をガードすると体力ゲージが削れてしまい、”削りKO”の対象に。加えて、バーンアウト中は相手のドライブインパクトをガードできず、特殊やられ状態にされてしまいます。
このようにドライブゲージの管理は、『ストリートファイター6』において非常に重要な要素となるでしょう。
ちなみに、画面下に配置されているのが「スーパーアーツゲージ」。
各キャラクターは複数のスーパーアーツを持ち、技によって消費本数も様々。ゲージ消費3本かつ体力低下状態の時のみに使えるクリティカルアーツが、最もド派手な演出で威力の高いものになっていました。
◆初心者でも遊びやすく!実況モードは、思ってた以上にアガる!
格闘ゲームにおいて、どうしても初心者の壁になるのがコマンド入力。近年は簡易入力を取り入れるタイトルが増えており、『ストリートファイター6』においても、ついにワンボタンで必殺技が繰り出せる操作方法「モダンタイプ」が導入されました。
ボタン配置もパッド操作を考慮したスタイルに一新。「アシストボタン」を押しながら攻撃ボタンを連打すれば、それだけでコンボが繋がります。もちろん、従来の操作方法である「クラシックタイプ」も健在であり、このあたりは好みに応じて好きなタイプを使えば良いでしょう。
発表時にユーザー間で大きな話題になった「自動実況機能」も体験できました。プロゲーマーが大会で活躍する際に耳にする、あの実況の雰囲気がしっかりと味わえます。格ゲーは展開が早い場面が続くこともありますが、実況がそこに遅れることなく付いてきてくれるのは、素直に凄い。
そして、実況と付随する形で付いていたのが、「応援モード」です。これはその名の通り、設定した側のプレイヤーを実況者が応援してくれるというもの。「練習したこと、ちゃんとできてるよ!ミスを恐れず、技を出していこう!」なんて声を掛けてくれます。これも、実際に聞くとめっちゃ嬉しい…!「自己肯定の高まりが、成長に繋がる」なんてことが、本当に起きるかもしれません。
また、ゲーム内では「実況」以外にも、「解説」という枠も確認。ここも実況同様、キャスターを選択できそうな雰囲気でしたが、体験したバージョンでは空欄になっていました。ここは続報に期待したいところ。
そのほか、コマンドリスト画面でその技の動きが視聴できたり、相手の隙にこちらの攻撃が確定した際に「PUNISH COUNTER」が表示されたりと、他メーカーの格ゲータイトルでユーザーに好評だった要素が確認できました。このあたりはゲームの遊びやすさに直結するため、ありがたいです。
◆攻撃と防御は紙一重!刹那を掴み、試合に勝利せよ
『ストリートファイター6』をプレイしてもっとも新鮮に感じたのは、“攻撃”と“防御”が絶妙に混じり合ったドライブゲージの管理でした。攻撃と防御は、常に紙一重。
とはいえ、今回の初プレイではそんな高等なことはできるワケもなく。ひたすらドライブインパクトをパッカ~ン!と当てて、脳汁ブッシャァ~!を味わっていたら、体験時間があっという間に終わってしまいました。本当は、もっといっぱい調べることがあったはずなのに…。完全に仕事を忘れてました。
言い換えれば、それくらいキャラを動かしているだけで楽しかったのです。この原稿を書いている今も、「もっと遊ばせてよおお」と涙を流しています。
正当進化と革新を併せもった『ストリートファイター6』は、2023年発売予定です。
なお編集部は別記事にて、本作の開発スタッフにインタビューも実施しています。こちらは『ストリートファイター6』の柱となる別モード「ワールドツアー」や「バトルハブ」についても詳しく伺っています。ぜひご覧ください。
※画面は開発中のものです。