マンガやゲームには、よく「七つの大罪」をモチーフに持つ敵の集団が登場します。『原神』に登場するファデュイ執行官も、同様にモチーフを持つ敵集団の一つ。
ただし、そのモチーフはあまり知られていません。今回はそんな彼らの元ネタをご紹介します。

オープンワールドRPG『原神』を運営するHoYoverseは7月11日、メインストーリー幕間PV「冬夜の戯劇」を公開しました。

ファデュイ11人の幹部「執行官」の姿が明らかに
PVには氷の国「スネージナヤ」が擁する敵組織、「ファデュイ」が登場。11人の幹部「執行官(ファトゥス)」が一挙登場し、その姿や声優が明らかとなったことで話題となっています。

今回新たにビジュアルが明らかになったのは、「道化」「少女」「雄鶏」「富者」「召使」「傀儡」「隊長」「博士」の8人。既にゲーム中に登場している「公子(タルタリヤ)」「淑女(シニョーラ)」「散兵(スカラマシュ)」と合わせて、これで11人全員のビジュアルが判明しました。

それにしても11人とは、ファデュイ執行官はずいぶん大所帯ですね。しかし、その人数の多さこそが、魅力的で個性豊かなキャラクター創出に必要不可欠なのかもしれません。なぜなら、これまで多くの作品に出てきた「七つの大罪」モチーフの7人組も、魅力的なキャラクターばかりでした。例えば、新作スマホアプリで話題となっている「鋼の錬金術師」。

同作に登場する人造人間(ホムンクルス)は、「色欲(ラスト)」「暴食(グラトニー)」「嫉妬(エンヴィー)」「強欲(グリード)」「憤怒(ラース)」「怠惰(スロウス)」「傲慢(プライド)」と、キリスト教における大罪をモチーフとした名前を持っており、それぞれの罪を象徴するようなキャラ付けとなっています。


他にも「七つの大罪」をモチーフとしたキャラクターは、枚挙にいとまがありません。7つの罪、という類型が分かりやすく、7人ものキャラクターに特徴をつけるのにちょうどいいのかもしれませんね。

さて、11人のファデュイ執行官にも「七つの大罪」のようなモチーフが何かあるのでしょうか。そのヒントは、既に登場済みのキャラクターの名前にありました。例えば、「散兵(スカラマシュ)」です。

オタクの新教養「コンメディア・デッラルテ」
スカラマシュというのは、イタリアの演劇の形態の一つである「コンメディア・デッラルテ」のキャラクター名。コンメディア・デッラルテというのは、「道化」や「博士」などの典型的なキャラクター像が前提として共有されており、その中で即興的に演じられる劇のことです。

スカラマシュはこのコンメディア・デッラルテの中で、空威張りをするホラ吹きな男、という役割を担っているキャラクターに付けられた名前。つまり今回登場した新たなファデュイ執行官も、このコンメディア・デッラルテにそれぞれ対応するキャラクターがあり、元ネタとなっていると思われます。例えば、「道化」はペドロリーノ、「富者」はパンタローネ、「召使」はアルレッキーノ…といった具合に。

マンガファンならば、これらの名前にピンと来るという人もいるかもしれません。パンタローネやアルレッキーノといえば、藤田和日郎先生の大ヒットマンガ「からくりサーカス」に登場する敵キャラクターの名前。
実はこの作品にも、『原神』と同じくコンメディア・デッラルテを元ネタとしたキャラクターが登場するのです。

『からくりサーカス』を読んでいれば、あるいはコンメディア・デッラルテに精通していれば、今回公開された『原神』のファデュイ執行官の相関関係も、ぼんやりと見えてくるかもしれません。

「七つの大罪」を元ネタにしたキャラクターが巷に溢れている昨今、目新しいキャラ付けで目を惹いたファデュイ執行官。もしかすると、今後もコンメディア・デッラルテをモチーフとしたキャラクターが登場するマンガやゲームは増えてくるかも…?覚えておいて損はないかもしれませんね。気になったという方は、詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
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