※本記事では『ヘブンバーンズレッド』本編の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。


Wright Flyer StudiosとKeyがスマートフォン向けに配信中のドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』(以下、『ヘブバン』)。

本作は謎の生命体「キャンサー」の出現で人類滅亡の危機に瀕した地球を舞台に、唯一の対抗手段である戦闘兵器「セラフ」を扱う“何かしらの才能に長けた少女たち”の戦いを描く作品です。

麻枝氏の紡ぐシナリオは50人を超える一癖あるキャラクターたちへ命を吹き込み、時にユーモアに溢れていて時に切ない、まるでジェットコースターのように緩急に富んだ物語が多くのプレイヤーを虜にしています。

そんな『ヘブバン』は、2022年2月10日に配信されてから“1周年”を迎えようとしており、いちファンの筆者としても今後の展開に大きな期待を持たざるを得ません。

ただ残念なことに現在配信中のメインストーリーの続きについては、1月12日に放送された公式生放送にて「1周年記念のタイミングにおける配信は難しい」とプロデューサー・柿沼氏に明言されました。

しかしながら『ヘブバン』の魅力とは、なにも麻枝氏の描く“メインストーリー”だけに留まりません。


というのも、麻枝氏は物語以外に作中の楽曲まで手がけており、主題歌・劇中歌を担当する歌手・やなぎなぎさんによる美しいボーカル曲、XAIさんと鈴木このみさんによるゲーム内ガールズバンド「She is Legend(略称:シーレジェ)」の楽曲も、作品を象徴する大きな魅力。

『ヘブバン』ではほぼ毎月イベントストーリーが実装されていますが、作中ではそこに合わせて高い頻度で「She is Legend」の新曲が追加されていくのです。

物語だけではなく、音楽においてもプレイヤーたちの心を揺さぶる麻枝氏の手腕は見事と言えるでしょう。

そこで本稿では『ヘブバン』と共に1周年を迎える「シーレジェ」にスポットを当てて、その魅力を紐解いていきます!

◆キャッチーなボーカル曲は物語の「切なさ」と相反的...?
「She is Legend」は、主人公・茅森月歌が率いるセラフ部隊「31A」のメンバー6人で結成されたガールズバンドです。茅森はもともとセラフ部隊に招集される以前、一世を風靡していた伝説的ロックバンド「She is Legend」のギター&ボーカルを務めていました。

作中では31Aセラフ部隊の隊長を任じられたのち、茅森の突然の提案によって新生「She is Legend」(以下、「シーレジェ」)として活動していきます。


茅森以外のメンバーは音楽経験がほとんどありませんが、キャンサー討伐の任務、あるいは訓練をこなしながら空いた時間でバンド練習を行うという、いささかハード過ぎるスケジュールの中で彼女たちの音楽性は確立していくのです!

最初はあまり気乗りしなかったメンバーたちも、茅森が持つカリスマ性に後押しされる形で演奏技術を確実に伸ばし、バンド活動は31Aの日課となります。

そしてメインストーリーやイベントストーリーの中で重大な任務の前日には、概ね決まったように基地内のカフェテリアでライブを行うのが恒例行事に。

「シーレジェ」は茅森と部隊メンバーの朝倉可憐によるツインボーカルが特徴的で、ライブシーンにおいては茅森役をXAIさん、朝倉役を鈴木このみさんがそれぞれボーカルとして担当されています。

疾走感溢れるサウンドはとてもキャッチーで、一見『ヘブバン』のキャッチコピー「最上の、切なさを。」とは対極的な作風にも思えます。

しかし、その歌詞はシナリオライター・麻枝准氏のエッセンスが如実に感じられるものであり、エゴイスティックな叙情詩や幻想的、あるいはユニークなワードチョイスが中々印象深いものです。

楽曲の後に訪れる静寂には“一抹の切なさ”を感じずにはいられません...。


また、「シーレジェ」の楽曲自体がそのまま章で戦うボスバトルのBGMに採用され、バトルを大いに盛り上げてくれるのもゲーム的にニクイ演出。

それもライブシーンでは聴けなかったフルが流れるので、戦いを一旦放置して鬼リピするプレイヤーも多いのではないでしょうか?

日々命を賭しながら人類のために戦う茅森たちの姿はまさに英雄的です。

31Aを取り巻くほかのセラフ部隊や、キャンサーから避難してきた一般人たちを、バンド活動を通して力付けていくのも彼女らに課せられた大切な役割。

それでも彼女たちは年相応の脆さを兼ね備えた少女であり、音楽活動は辛い現実を忘れさせてくれているのかもしれません。

まるで遅れて到来した青春を謳歌しているようにも見えますが、「シーレジェ」での日常があってこそ一際物語の描写が色濃いものになっているのでしょう。

◆つべこべ言わずに「シーレジェ」の歌を聞いてほしい!
一度聴いたら耳に残る爽快なサウンドは、XAIさんのハスキーな美声とこのみさんのパワフルな歌唱力で見事に歌い上げられています。


ツインボーカルの特色を活かし歌唱パートが巧みにスイッチする様相は、さながらRPG作品で“前衛を務める盾役同士の関係性”とも表現できそうです。

本来御二方が持つ声質や世界観は真逆だと思うのですが、毎曲それぞれの強みを前面に押し出した構成が聴く人の耳を幸せにしてくれるのは間違いありません。決める箇所はしっかりハモリでキメるのも贅沢で最高です。

面白いのは「シーレジェ」の代表的な楽曲「Burn My Soul」でしょうか。

やなぎなぎさんが歌う「Burn My Universe」と基本は同じ曲ですが、「シーレジェ」が歌う場合とでは一部の歌詞やスクリームの有無でディテールに違いがあり、一粒で二度美味しい楽曲となっています。

また、この歌詞の僅かな違いにファンの間では、楽曲に対するさまざまな考察や解釈がなされてるようですね。
やなぎなぎさんと「シーレジェ」が歌う場合とで、同じ楽曲への見え方が変わってくるのは大変興味深いところ。

果たして楽曲を生み出した麻枝氏の真意とは如何なるものなのでしょうか......?

ほかにもサビで2音ずつスイッチする「Goodbye Innocence」は、ツインボーカルならではのチャレンジングな楽曲で、麻枝氏的にも相当な自信作のご様子。

31A部隊・東城つかさを演じる声優の天海由梨奈さんも、楽曲配信前から非常に気に入っていたほどです。

XAIさんがご自身のTwitter上でイチオシとしていた「Arch of light」は、2023年の始まりに相応しいクオリティ。

こちらは鈴木このみさんとのハモリポイントや歌詞もオススメされていました。ちなみに筆者個人のオススメになってしまうのは大変恐縮ではありますが、「過眠症」も最高に捨て難い楽曲でしょう!

『ヘブバン』の楽曲はリリースされてから配信を望むファンの声がとても多く、iTunes等でのダウンロード販売がいざ開始すると、数々の著名アーティストたちを押し退けて堂々のランクインを果たしたこともありました。


個人的にはいちゲーム内の楽曲だけに収まらず、『ヘブバン』を知らない人たちも虜にする魅力が十分備わっている音楽性だと考えています。

2023年3月19日(日)より、昨年延期となってしまった「HEAVEN BURNS RED LIVE 2022」の振替公演が開催予定です。ライブチケットを取れなかった方もオンライン試聴であれば当日券が入手できます。

1周年を迎える『ヘブバン』の今後の展開や物語はもちろんですが、「シーレジェ」の新たな活躍にも期待が高まるばかり。XAIさんとこのみさんの奮闘に乞うご期待です...!