その最新作となるアクションRPG『Fate/Samurai Remnant(フェイト/サムライレムナント)』(以下、FSR)が、PS5/PS4/ニンテンドースイッチ/PC(Steam)に向けて、2023年9月28日に発売されます。
アクション要素のある「Fate」作品は、これまでにもいくつかありましたが、その多くは超人的な力を持つサーヴァントを直接操作するのが主流でした。しかし『FSR』の主人公は、二天一流を修めた腕利きながら、一介の浪人に過ぎない「宮本伊織」。セイバーのマスターでありながら、しかし後方に控えているだけでなく、刀を手にして直接戦います。
江戸を舞台に、マスターである伊織を直接操作し、七人七騎が殺し合う聖杯戦争──「盈月の儀」へと挑む『FSR』。これまでの「Fate」アクションとは一味違う本作に、多くのファンが興味と関心を寄せています。
そんな本作の発売に先駆け、本作の試遊版をプレイする機会に恵まれたので、『FSR』が持つ特徴や魅力の一端をプレイレポートとしてお届け。英霊ならぬ身で、伊織がどのようにして戦うのか。気になる方は、今回のプレイ体験を通してチェックしてください。
なお、今回のプレイ環境は、Steam版となります。また、先日行われた「Anime Expo」に出展された試遊版と同等の内容です。製品版とは異なる可能性もあるので、ご注意ください。
◆主人公「伊織」は、シリーズでも珍しい“直接戦うマスター”
製品版では、江戸の各所が戦いや探索の舞台となりますが、試遊版では「吉原」でのひとときが味わえました。伊織とセイバーはすでに知り合っており、借金の取り立てを頼まれた場面から始まります。
吉原と一口に言っても、庶民が暮らす長屋も多く、桶や木箱などが乱雑に転がっているところも。こうした、舞台の「らしさ」が、妙に親しみやすさを感じさせてくれます。
グラフィックはアニメ調ということもあり、リアルで緻密な方向性ではありません。ですが、江戸らしい空気感はしっかり漂っていますし、キャラクターの描画も必要十分。操作性も軽快で、プレイヤー側(つまり筆者)の未熟さ以外でもたつくような場面は特に感じませんでした。
依頼された借金の取り立てに行くと、早速バトルがスタート。伊織のサーヴァントであるセイバーは自動的に動いて戦い、戦闘中もプレイヤーは伊織を操作します。攻撃の基本は、通常攻撃と強攻撃。通常攻撃は最大6連続までコンボが可能。また、6段階目以外はいつでも強攻撃に派生できます。
こうしたコンボは、戦闘の状況や各攻撃の性能(隙や威力等)に合わせた使い分けを模索する楽しさがありそうです。また伊織は、戦闘スタイルが変わる「型」の切り替えができ、今回の試遊版では「地の型」と「水の型」を確認。
「地の型」は「堅牢ゲージ」を消費することで一定のダメージを無効化でき、守りに特化している型です、強敵との戦いや、ダメージを押さえたい局面で使うのが良さそうです。
「水の型」は二刀流による神速攻撃が特徴で、素早い攻めで敵を圧倒します。また「水の型」のフィニッシュ攻撃は敵を吹き飛ばす効果を持っており、周囲の敵を巻き込めば複数の敵にまとめてダメージを与えられます。素早い敵や、多数相手に有効な型と言えそうです。
敵や戦局に合わせて型を切り替え、派生も含めたコンボ攻撃を繰り出しながら、攻め時と引き時を見極める。取り巻きはサクサクと気持ちよく捌けますが、(試遊版における)初戦ながらボス格の敵もおり、こちらは簡単には倒れてくれません。油断すると大技(ジャイアントスイングのような)を繰り出すなど人間相手でもなかなか侮れず、ほどよい手応えを感じました。
敵にダメージを与えると「秘剣ゲージ」が溜まり、このゲージを消費して繰り出す「秘剣」や、アイテムの「貴石」を消費して発動させる「魔術」など、伊織ひとりでも様々な攻撃手段を備えています。
敵が防御を固めると、通常の攻撃が利かなくなるので、その時は「秘剣」や「魔術」で的の守りを打ち破るのが吉です。また、敵が危険な攻撃を行う際は予兆があり、その際は強攻撃を当てて敵の攻撃を中断させましょう。
◆強敵には様々な手段で立ち向かえ! 切り札は、もちろん「セイバー」
伊織の攻撃手段は多彩で、強力なものが多いものの、それはあくまで人間としての話。サーヴァントなどの強力な敵と戦う場合、不利な面がいくつもあります。
例えば、伊織の通常攻撃は一部の強敵に弾かれてしまいます。そのため、がむしゃらに突っ込んでも勝機はありません。しかし、攻撃を繰り出した直後など、強敵が隙を見せる瞬間があり、その時は伊織の攻撃が通り、ダメージを与えることが可能。通常の敵相手とは違い、一瞬の好機を見逃さず、そのチャンスをものにする見極めととっさの判断が重要になります。
さらに強力な敵は、HPゲージだけでなく「外殻ゲージ」と呼ばれるものを持っています。「外殻ゲージ」がある間は、伊織の攻撃はほとんど通じません。そのため、まずはこの「外殻ゲージ」を削るのが目的となります。
前述した「魔術」や隙を突いた攻撃でも「外殻ゲージ」を削れますが、特に強力なのがサーヴァントとの連携攻撃。
また、伊織側(=プレイヤー側)のタイミングで、セイバーとの連携を行うこともできます。戦いを通して溜めていく「共鳴ゲージ」が一定以上あれば、「共鳴絶技」をいつでも発動可能。「共鳴絶技」は複数の種類があり、それぞれの効果や使用するゲージ量が異なります。最大4つまで登録可能なので、自分好みの技で固めるか、消費ゲージ別にバランスよく配置するか、プレイスタイルに合わせて変えられます。
そしてもうひとつ重要なのが、サーヴァントとの交代。「交代ゲージ」が溜まっていれば、プレイヤーの操作対象を一時的に伊織からセイバーに変更できます。「交代ゲージ」は敵にダメージを与えると溜まるので、伊織を積極的に戦いへ参加させれば、セイバーの活躍にも繋がる模様です。
セイバー操作時も、通常攻撃と強攻撃を組み合わせたコンビネーションが基本となります。もちろん、威力や視覚的な演出、ダイナミックなアクションなど、その全てがサーヴァントに相応しいレベルになっており、限られた時間ながら凄まじい力で強敵すら圧倒。この爽快感は、さすがサーヴァントの一言です。
また試遊版の終盤では、マスターのひとり「高尾太夫」が率いる「吉原の番人」と対決。ここではセイバーと番人のみの戦いとなり、伊織は参戦しません。最初からセイバーを操作し、通常攻撃や「共鳴絶技」を駆使する派手なバトルを最後に味わえました。
◆「無双」ではない、爽快アクションの手応えは上々! 製品版に期待大
基本的には伊織を操作し、戦局に合わせて「型」を使い分けての連続攻撃。強敵相手には立ち回りを変え、敵の隙を狙いつつ、各ゲージを溜めてセイバーと連携して敵を圧倒する。自分から攻守のリズムを作り出すようなアクションは、敵の適度な強さと相まって小気味よく、そして単調にならないアクション性を感じます。
『FSR』の開発・発売はコーエーテクモゲームスなので、無双アクションを想像している方もいることでしょう。爽快感は近いものの、一騎当千感のみならず1対1(伊織&セイバーなので、正確には2対1ですが)のバトルも重視したゲーム性になっています。また、探索パートを通じて世界を感じられる点なども含め、アクションと物語のメリハリがほど良く、自然と先が知りたくなる構成の妙も垣間見えます。
攻め一辺倒になりがちなアクションRPGという題材を、引き際の見極めや立ち回りの変化で独特なプレイテンポを確立。また、「戦いに直接参加するマスター」という稀有な切り口も刺激的な『Fate/Samurai Remnant』は、『Fate』シリーズにかつてなかった1作として、独自の存在感を放つ可能性を秘めていました。この予兆が製品版にも当てはまるのか、いちファンとしても期待が高まるばかりです。
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※記事内の画面写真は試遊版のもので、製品版と異なる可能性があります。