2004年1月29日にゲームボーイアドバンス向けに発売された『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』。この作品のニンテンドースイッチ版が、2026年2月26日にリリースされました。


小学生の頃に『ポケモン』シリーズ第1作『ポケットモンスター 赤・緑』を遊んだことのある人にとって、『ファイアレッド・リーフグリーン』は衝撃的なタイトルだったのではないでしょうか。何しろ、画面の向こうのポケモンがカラーになったのですから。これは『ファイアレッド・リーフグリーン』が「初めてのカラーポケモン作品」という意味ではなく、第1作の発売から8年でカラーリメイク版が登場したということに絶大なインパクトがあったという意味です。

小学生だった子が大学生になり、その間に巷では様々なことが起こりました。そんな波風を一通り見てから再び出くわしたポケモン、しかしそのポケモンには美しい色が加えられていた……。そうした体験をもたらした『ファイアレッド・リーフグリーン』は、それ故に今でも語り継がれる名作になり得たのです。

◆『ポケモン』の斬新性
『ファイアレッド・リーフグリーン』について言及するには、リメイク元の作品である『赤・緑』から言及する必要があります。

『赤・緑』の発売日は1996年2月27日。ゲームボーイ向けのソフトとして発売された作品ですが、実はこの頃のゲームボーイは登場から7年が経とうとしている状況で、人気は下火になっていました。『スーパーマリオランド』『ドクターマリオ』『ロックマンワールド』シリーズといった名作は存在していたものの、どれも「ゲームボーイでなければできない内容・ボリューム」を有している作品というわけではありません。「家に帰ればそれ以上のものができる」という、携帯ゲーム機にとっては残酷な現実がありました。

その中で登場した『ポケットモンスター』なるソフトは、当初はよくある形のRPGと思われていました。


戦うのは主人公が所持しているポケットモンスターであり、それは普段はモンスターボールという容器に収納されている。このあたりも、特段物珍しい設定ではありません。『ウルトラセブン』のカプセル怪獣を連想した人もいるはずです。

しかし、ポケモンを自分で収集して育成し、さらにゲームボーイの通信ケーブルを使って友達とポケモンを交換できる機能は特異な斬新性を発揮していました。

◆通信ケーブルでポケモンを交換した日々
ここで話は少し変わります。

プロ野球とプロサッカー。どちらにも「選手の移籍」という仕組みが存在しますが、その概念は大きく異なります。

プロサッカーには「レンタル移籍」という物が存在し、元のチームに籍を置きつつ新しいチームで期限付きのプレイをし、それが終わったら帰ってくる……という仕組みです。実はそれに似たシステムが『赤・緑』にありました。「通信進化ポケモン」です。

レベルアップでは進化せず、ゲームボーイの通信ケーブルを使って友達とポケモン交換をすることでようやく進化するポケモンが存在しました。もっとも、交換した相手が悪い奴で、いつまでも進化したポケモンを返してくれない……というトラブルも全国各地で頻発しています。


もちろん、プロ野球のようにポケモン同士の完全移籍を繰り返す遊び方も可能。どうしても欲しいポケモンを友達が持っていて、協議した結果自分が持ってるエース級のポケモンと交換する……というプロ野球の「江川事件」のような経験をした子供たちは少なくないはずです。

◆旅の末に再会したポケモンたち
そんな『赤・緑』の発売の8年後に『ファイアレッド・リーフグリーン』が登場しました。この間、携帯ゲーム機分野では熾烈な「カラー画面競争」が勃発し、そして終息しています。

ゲームボーイからゲームボーイカラー、そしてゲームボーイアドバンスと至る間、ライバル企業も続々とカラー携帯機を市場に投入しました。その中にはグラフィック性能では素晴らしい製品もありましたが、現在の我々はこの分野でも任天堂が強烈な強みを発揮したことを知っています。『ファイアレッド・リーフグリーン』が発売された2004年1月は、そうした携帯ゲーム機戦争に一通りの決着がついている状況でした。

つまり、『ファイアレッド・リーフグリーン』は盤石に固められた土台の上で発売された作品とも言えるのです。

そして、かつて『赤・緑』に熱中していた子供たちは大学生もしくは就職して若手社員になっていました。たとえば、筆者は1984年生まれで、『赤・緑』が発売された時は小学5年の3学期を迎えていました。1985年生まれの人は、小学4年生です。『ファイアレッド・リーフグリーン』の発売日には、既に大学生になっているか大学入試を控えているかという年頃。


10代にとっての8年間は、恐ろしく長い時間です。40~50代の人が味わう8年間とはボリュームが全く違います。それは「果てしない旅」と言ってもいいかもしれません。その旅の末にーーそう、マサラタウンから3匹のポケモンのどれかを選ぶよう言われた日からがむしゃらに旅を続け、たどり着いた先に「あの日の光景」がありました。しかもそれは、白黒ではなくはっきりとした彩色が施されている光景です。

この時の感動は、並の技量では書き表せるものではないかもしれません。

そんな『ファイアレッド・リーフグリーン』は、各2,000円(税込)で販売されています。
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