2026年10月9日から11日までの3日間、台湾・台北市の花博公園争艶館で、大規模なコスプレ・同人誌即売イベント「CCF 動漫盛典(Cosplay Comic Festival)08」が開催されました。

2024年10月に台中で初開催された「CCF」は、コスプレイヤーを主役に、撮影や創作を通じて人と人がつながる場を目指すイベントです。
衣装やメイク、キャラクター表現に加え、フォトグラファーによる構図やライティングも作品の一部と位置づけ、互いの表現を尊重しながら作品づくりや交流を楽しめる環境を大切にしています。会場では、コスプレ写真集をはじめとする同人作品や模型など、多彩な表現に触れられるのも魅力です。

また、撮影時の同意や参加者同士の尊重を重視し、SNSでの作品発信を会場での出会いへとつなげる取り組みにも力を入れています。さらに、メディアとの連携や海外との交流を通じて、その輪を広げようとしています。

誕生から約2年という新しいイベントでありながら、成長を続ける「CCF」。その背景には、どのような思いや工夫があるのでしょうか。イベントの魅力と今後の展望について、主催者に話を聞きました。

コスプレイヤーを主役に——「CCF」誕生の背景
――「CCF(Cosplay Comic Festival)」を立ち上げたきっかけと、これまでの歩みを教えてください。

CCF(Cosplay Comic Festival)の出発点は、実はとてもシンプルな思いでした。それは、コスプレイヤーをイベントの中心を担う参加者の一員として、真に位置づけるアニメ・漫画イベントをつくりたい、というものです。

台湾では、アニメ・漫画、同人、コスプレの文化が長年にわたって成熟してきました。一方で、それぞれのイベントには異なる位置づけがあります。
同人創作を中心とするものもあれば、商業的なアニメ・漫画コンテンツを主軸とするものもあり、コスプレイヤーは時として、イベントの周辺で自然に生まれる文化の担い手のような存在になっていると感じていました。

そこで私たちは考え始めました。会場や企画内容、撮影を通じた交流、ステージ、クリエイターとのコラボレーションなどを計画する最初の段階から、コスプレイヤーのニーズを中心に据えたイベントがあれば、これまでとは違うものが生まれるのではないか、と。これが、CCF誕生の大きなきっかけとなりました。

CCFは2024年に本格的に始動し、同年10月に台中で第1回を開催しました。その後、台中から台北、高雄などの都市へと、徐々に開催地域を広げてきました。公開されているイベント情報からも、これまで継続的に複数回開催されていることが確認できます。また、公式プラットフォームでは一貫して、コスプレイヤーや同人、アニメ・漫画、二次元文化を愛する人々が集う祭典として位置づけています。

私たちは当初から、CCFを非常に大規模なイベントにしようと考えていたわけではありません。開催を重ねるたびに、参加者が本当に求めているものを少しずつ理解し、それに合わせて改善を続けていきたいと考えています。私たちにとってCCFは、今もなお成長と挑戦を続けているイベントブランドです。

――CCFを通じて、参加者や来場者にどのような体験や価値を届けたいと考えていますか。


私たちは、CCFに来場する皆さんに、単に「アニメ・漫画イベントを見に行く」だけでなく、自ら参加して楽しんでいただきたいと考えています。コスプレを通じて好きなキャラクターを表現する人もいれば、撮影を通じて作品を残す人もいます。同人作品や模型、ハンドメイド作品を制作する人もいれば、純粋にアニメや漫画が好きで会場を訪れる人もいます。そうした一人ひとりが、このイベントをともにつくり上げています。だからこそ、私たちはCCFを、人と人をつなぐ「交流の場」にしたいと考えています。キャラクター同士が出会い、クリエイター同士が出会う。そして、それまで面識のなかった人たちが、共通の趣味をきっかけに交流を深めていく。そのような場を目指しています。CCFで新たなフォトグラファーやクリエイター、友人と知り合い、さらには新たなコラボレーションの機会につながることがあれば、それこそが、私たちにとってこのイベントの大切な価値だと考えています。

――CCFの主なテーマや、核となるコンセプトを教えてください。

CCFが一貫して核としているのは、「Cosplay × Comic × Creator × Community」です。つまり、キャラクター文化、アニメ・漫画の創作、クリエイター、そしてコミュニティでの交流です。
もちろん、ステージや撮影、衣装、ファッション、同人創作、物販なども大切にしています。ただ、そのどれか一つが、ほかの要素に完全に取って代わることは望んでいません。なぜなら、私たちはコスプレそのものが、さまざまな要素を組み合わせた総合的な創作だと考えているからです。

コスプレイヤーは、キャラクターを選び、その人物像を研究するところから、衣装、メイク、ウィッグ、小道具、ポージング、そしてキャラクターの表現に至るまで、多くの創作を重ねています。そしてフォトグラファーも、構図やライティング、レタッチを通じて、そこに新たな創作を加えています。だからこそ、CCFが特に大切にしているのは、次のことです。

「創作が多くの人の目に触れる機会をつくり、クリエイター同士の交流を生み出すこと。」

自由な創作を支える、安全と相互尊重
――今回のイベントの準備・運営にあたり、最も大切にしていることは何ですか。

最優先にしているのは、何よりも安全と、参加者が安心して快適に過ごせる基本的な環境です。安全と相互の尊重がなければ、本当の意味で自由に創作できる環境は成り立ちません。そのため、会場内の動線、更衣に関するニーズ、撮影環境、スタッフの配置、会場の秩序維持について、継続的に検討しています。

もう一つ、私たちが非常に大切にしているのが、コスプレイヤーご本人の意思を尊重することです。例えば、撮影やインタビュー、商業的なコラボレーションでは、まず当事者の同意を得ることを、基本的な文化として根づかせたいと考えています。


私たちは、CCFを自由な場にしたいと思っています。ただし、「自由」とは、何をしてもよいという意味ではありません。本当に心地よく創作できる空間は、お互いを尊重する姿勢の上に成り立つものだと考えています。

台湾の才能を、SNSからリアルな出会いへ
――CCFは、台湾のコスプレイヤーを大切にし、その活動や思いが広く届くよう、積極的に後押ししているイベントだと感じています。

台湾には、優れたコスプレイヤーやクリエイターが本当にたくさんいると、私たちは考えています。ただ、その才能を発揮できる、さまざまな形の舞台がもっと必要なのです。多くの人が衣装や小道具、メイク、作品づくりに膨大な時間を費やしています。しかし、その作品は、自分のSNSでの発信にとどまってしまうことも少なくありません。

そこでCCFが目指していることの一つが、そうした創作をSNSからリアルなイベントの場へとつなぎ、さらにそこから、より多くのメディアやブランド、そして海外の人々にも目を向けてもらうことです。今回、日本のメディアから取材のお声がけをいただいたことを、私たちが非常に大切に受け止めているのも、そのためです。私たちは、メディアの皆さんにCCFそのものだけでなく、そこに集う台湾のクリエイターたちにも目を向けていただきたいと考えています。

――運営チームの視点から、台湾のコスプレ文化の魅力や強みは、どのような点にあると考えていますか。


大きな特徴の一つは、多様性と自由度の高さだと思います。台湾のイベント会場では、日本のアニメや漫画、ゲーム、スマートフォンゲーム、VTuber、オリジナルキャラクターなど、さまざまな文化を背景とする作品を同時に見ることができます。また、台湾ではコスプレイヤー、フォトグラファー、同人クリエイターの間での交流も非常に活発です。

さらに重要なのは、台湾が海外のアニメ・漫画文化を単に「模倣」しているわけではないということです。日本をはじめ、世界各地のアニメ・漫画文化を吸収しながら、独自の撮影スタイルやイベント文化、コミュニティ内での交流のあり方を少しずつ育んできました。こうした異なる文化を取り入れ、融合させる力こそ、台湾のコスプレの大きな魅力だと思います。

ゲスト招聘の先へ——日本と台湾で、ともに作品をつくる
――CCFに参加するコスプレイヤーに、どのような「次のステップ」につながる機会を提供したいと考えていますか。

これは、私たちが今後ぜひ発展させていきたいと考えている方向性です。第一段階は、活躍の舞台と、多くの人の目に触れる機会を提供することです。そして次の段階では、「コスプレイヤー × フォトグラファー × クリエイター × メディア × ブランド × 海外イベント」の間のつながりを、少しずつ築いていきたいと考えています。

例えば、メディアによるインタビュー、ブランドとのコラボレーション、企業の企画への参加、海外メディアでの紹介、さらには将来的に、ほかの国のイベントとの連携などを想定しています。ただし、「CCFに参加すれば必ずビジネスの機会が得られる」とお約束するつもりはありません。
実際に協業が実現するかどうかは、クリエイターご本人や、協業する双方の意向などによるものだからです。そのうえでCCFは、お互いが出会う機会を増やすプラットフォームになりたいと考えています。

――今後、日本のコスプレイヤーを招く場合、どのような役割や交流の形が理想的だと考えていますか。

日本は、私たちが特に重視している交流先の一つです。日本のアニメ・漫画やコスプレ文化は、台湾に非常に大きな影響を与えてきました。そのため、今後、条件や日程が合えば、日本のコスプレイヤーやクリエイター、関連業界の方々を台湾にお招きし、CCFに参加していただきたいと考えています。ただ、それを単に「日本の有名なコスプレイヤーをゲストとして招く」だけで終わらせたくはありません。私たちがより期待しているのは、そこから本当の交流が生まれることです。

私たちが思い描いている交流の形は、実にさまざまです。ステージでのファン交流会や撮影イベントに加えて、台湾と日本のコスプレイヤーによる合同撮影企画、キャラクター同士のコラボレーション、創作について語り合う座談会、メイクや衣装制作のノウハウを共有する機会、さらには台湾と日本のフォトグラファーやクリエイターによる共同作品制作などが考えられます。

私たちが最終的に目指しているのは、「日本のゲストが台湾に来てパフォーマンスを披露する」という形ではありません。「日本と台湾のクリエイターが、一緒に何かをつくり上げる」という形です。それこそが、本当に意義のある文化交流だと考えています。

参加者がイベントをつくる——CCFならではの価値
――台湾には、アニメ・漫画、同人、コスプレに関するイベントが数多くあります。ほかのイベントと比べて、CCFならではの最も大きな違いや、独自の価値は何だと考えていますか。

台湾にはすでに、長い歴史を持つ、非常に成熟したアニメ・漫画や同人のイベントが数多くあります。私たちは、それぞれのイベントが長年にわたって築いてきた文化を深く尊重しています。そのため、CCFは「ほかのイベントに取って代わること」を目標にはしていません。私たちは、CCFならではの立ち位置を見つけたいと考えています。

一言で説明するなら、こうなります。

「CCFは、コスプレイヤーがイベントの参加者という立場から、さらに一歩進んで、イベントの内容そのものを生み出す重要な担い手となることを目指しています。」

現在、CCFは公式にも、コスプレイヤーや、同人、アニメ・漫画、二次元文化を愛する人々を中心としたイベントとして位置づけられています。2026年10月の花博会場での開催に関する公式紹介でも、コスプレ、同人、二次元文化、アニメ・漫画関連グッズ、玩具・模型、そして創作を通じた交流が、イベントの内容として明確に挙げられています。私たちは、「人」そのものが、イベントの最も重要なコンテンツの一つであってほしいと考えています。

――コスプレイヤー、フォトグラファー、一般の来場者、企業やスポンサーに対して、CCFはそれぞれどのような価値や可能性を提供したいと考えていますか。

コスプレイヤーには、表現し、交流し、多くの人に自分の活動を知ってもらえる舞台を提供したいと考えています。フォトグラファーには、キャラクターの撮影や、創作を通じた交流ができる場を、より多く提供したいと思っています。一般の来場者には、コスプレに初めて触れる方でも、気軽に鑑賞し、この文化を知り、参加していただける場でありたいと考えています。同人活動に携わる方々やクリエイターには、作品を通じて観客と直接交流できる機会を提供したいと思っています。

そして企業やブランドにとっては、CCFが単なる広告露出の場ではなく、アニメ・漫画を愛する若い世代と実際に接点を持ち、クリエイターとともにコンテンツを育てていける協業のプラットフォームとなることを目指しています。

最も理想的なのは、「誰かが誰かを利用する」という関係ではなく、この生態系の中で、それぞれの立場の人が自分自身の価値を見いだせることです。

文化とビジネスの好循環で、長く続く交流の場へ
――イベント事業として、短期的な成功だけでなく、成長を続け、長く運営していくために最も重要な条件は何だと考えていますか。

大切なのは、このイベントがなぜ存在するのかを忘れないことだと思います。イベントの規模が大きくなること、出展者が増えること、企業との協業が増えることは、もちろん運営上、重要です。しかし、もし、いつかイベントが「来場者数」と「売上」だけを追うものとなり、クリエイターや参加者の存在が置き去りにされてしまったら、それはCCFが当初目指していたことから外れてしまいます。

一方で、私たちは現実的な視点も大切にしています。

イベントを長く続けていくには、健全なビジネスモデルや安定した運営チームを築き、会場との連携、安全管理、そしてパートナーとの協力体制を整える必要があります。ですから、私たちが目指しているのは、「完全に商業化すること」でも、「商業性を一切持たないこと」でもありません。

ビジネスが文化を支え、その文化が新たなビジネスの価値を生み出すことです。そうした好循環があってこそ、イベントを長く続けていけると考えています。

――今後3年から5年で、CCFをどのようなイベント、あるいはプラットフォームへと発展させたいと考えていますか。

私たちはCCFを、現在の「アニメ・漫画イベント」から、コスプレとクリエイター文化を核とした交流プラットフォームへと、少しずつ発展させていきたいと考えています。CCFはすでに、台中から徐々に開催地域を広げており、2026年も台中、高雄、台北などでの開催記録が公開されています。

今後3年から5年にかけては、次の三つの方向性を目指しています。

第一に、台湾のコスプレやクリエイターのコミュニティとのつながりを、引き続き深めていくこと。

第二に、ブランド、メディア、クリエイターの間で、より多くの協業を生み出すこと。

第三に、国際交流です。

日本はもちろん、非常に重要な交流先の一つです。今後は、ほかのアジア諸国のコスプレやアニメ・漫画のイベント、クリエイターとの連携も視野に入れています。いつの日か、海外の皆さんが台湾のコスプレイベントについて話すとき、自然と「CCF」の名前を思い浮かべてくださるようになればと願っています。

キャラクターへの愛が、国境を越えるきっかけに
――最後に、CCFを通じて、台湾のコスプレイヤーや、海外のファン・クリエイターに伝えたいメッセージをお願いします。

お伝えしたいのは、「一人のキャラクターへの自分の愛情を、過小評価しないでほしい」ということです。

あるキャラクターを好きになったことをきっかけに、メイクを学び始める人がいます。衣装を作り始める人、カメラを手にする人、初めて絵を描くことに挑戦する人もいます。そして、それがきっかけで、何年も付き合える仲間と出会う人もいます。そこが、アニメ・漫画やコスプレの、とても面白いところです。一見すると、ただ「一人のキャラクターが好き」というだけかもしれません。しかし、その気持ちが、創作を始めたり、自分を表現したり、さらには世界の反対側にいる人とつながったりするきっかけになるのです。

台湾のコスプレイヤーの皆さんにとって、CCFが安心して創作に取り組み、勇気を持って自分を表現でき、さらに多くの人にその姿を見てもらえるプラットフォームになればと願っています。そして、日本や海外の皆さんには、「ぜひ台湾に来てみてください」とお伝えしたいです。私たちは、使う言葉も、出身地も違うかもしれません。それでも、お互いの好きなキャラクターが分かった瞬間、そこにはすでに共通の言葉が生まれています。

これこそ、CCFがこれからも続けていきたいことです。キャラクターが出会いのきっかけとなり、創作が国境を越える共通言語となることを目指しています。

コスプレイヤーとフォトグラファーが互いの表現を尊重し、創作を通じてつながる「CCF」。その魅力は、作品を発表するだけでなく、同じ趣味や情熱を持つ人と出会い、新たな創作のきっかけを見つけられることにあります。撮影時の同意や交流のあり方を大切にしながら、台湾から海外へとつながりを広げようとする姿勢からは、人と人との出会いを育む場への思いが感じられます。これから「CCF」がどのような交流や表現を生み出していくのか、その歩みに注目したいところです。

撮影:乃木章(X:@Osefly)
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