架空のMMORPG「The World」を舞台として、オンラインゲームをモチーフとして描いた『.hack』シリーズ。記念すべき1作目となる『.hack//感染拡大 Vol.1』が2002年に登場し、シリーズに名を連なるタイトル群は今なお多くのユーザーを虜としています。


その活躍の場はアニメや漫画、小説などの多岐に渡り、様々な手法で『.hack』の魅力が描かれてきました。ゲームだけに絞ってみても、初代の『.hack』シリーズ、一見クールな熱血漢であるハセヲの物語を綴る『.hack//G.U.』シリーズ、PSPでリリースされた『.hack//Link』に、今もサービスが展開されている『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』など、歩んだ年月に相応しい歴史を積み上げています。

この中でも『.hack//G.U.』は、シリーズファンから特に大きな人気を集めており、本シリーズ発表から10年が経った今でも、サイバーコネクトツーの代表取締役社長・松山洋氏が当時を振り返るコメントをTwitterに掲載すると、多くの方がその「つぶやき」に反応。この模様を当サイトで取り上げた際にも、大きな反響が寄せられました。

多数のユーザーから注目を集め続けている『.hack』シリーズ。『.hack//G.U.』発表から10周年という大きな節目を迎えた今、当時のことをどのように感じているのか。
また、今後どのような展開があるのか。そして過去作のリメイクやHD化はあるのか。ファンならずとも気になるポイントの数々を訊ねるべく、松山氏とバンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)の『.hack』シリーズ(五代目)担当・平田玲氏に直撃インタビューを敢行しました。

◆今なお続く『.hack//G.U.』への反響

──まずは、『.hack//G.U.』発表から10周年、おめでとうございます。

松山氏:中途半端だよね、発表から10周年って(笑)。

──あはは(笑)。
松山さんの10周年コメント、インサイドでも大きな反響がありましたよ。

松山氏:10周年を祝うイベントを『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』で行っていたので、その関係で広報から頼まれたこともあり、『.hack//G.U.』を発表した時の思い出話を書いたんですよ。……そうしたら、後でBNEさんの方から「あまり勝手なことをしないでくれ」と言われましたね(笑)。

──えぇっ!? 何でですか?

松山氏:というのも、私はただ思い出話や今の姿勢を綴っただけなんですが、まるで「新作が出る」みたいなに書かれてしまったんですよ! 「どこで」とは敢えて言いませんが、煽るような形でね(笑)。それで結局、私が余計なことを言ったみたいな感じに受け取られてしまって、実に困りましたよ(笑)。

──それはさすがに、想定できない流れですね。
でも、それだけ注目されているという話でもありますね。

松山氏:そうですね、そこは本当に嬉しい話です。

──ウチの記事だけでも、フェイスブックの「いいね!」を160ほどいただきました。

松山氏:おお、そんなにですか! 実は弊社の方にもかなりの反響が寄せられてまして。『.hack//G.U.』10周年を振り返るコメントを10個くらい書いたんですが、それぞれが結構リツイートされたんですよ。で、春先から比較すると、フォロワーが1万人増えました。


──『.hack//G.U.』10周年コメントの影響が、そんなに!

松山氏:もちろん、あのコメントだけではないと思うんですよ。開発メンバーの募集に関する発表なども行っていましたから。でも私のTwitterって、そんなに最新情報は出ないんですよ。言うわけにも行きませんしね(笑)。

──ですよね(笑)。

松山氏:基本的には、移動日記ですよ(笑)。
「今から東京いきまーす」とか。後は、移動中に読んだこの漫画が面白いぞ、みたいな。だから正直な話、あんまり見どころのあるTwitterでもないと思うんです。なのに、あのコメントも含め、これだけの人に改めて注目してもらってるんだなと驚きました。

──やはり気になっている人が多いんですね。

松山氏:気にしていただいているのか……はたまた、叩く準備をしているのか(笑)。


──いやいや、そんな!(笑)

松山氏:Twitterのフォロワーがこの間まで2万8千や9千だったのに、今は4万を超えてますからね(※)。ちなみに2万人からは、1年くらいかけて8千人増えたペースだったので、そこから2ヶ月くらいで一気に1万人以上増えたのは本当にビックリです。
(※ 現時点では4万5千超え)

◆当時を振り返って

──『.hack』シリーズでは、ゲームはもちろんアニメ化や小説、漫画、劇場版など、多岐に渡ったプロジェクトとなりました。このプロジェクトは、松山さんにとってどのようなものでしょうか。

松山氏:私が代表となったサイバーコネクトツーで、最初に取り組んだプロジェクトでしたからね。これまで手がけたタイトルにはどれも思い入れがありますが、強いて挙げるとなったら、やはり『.hack』シリーズになるのかなと思います。

──初代の2作目に当たる『悪性変異』の頃からすでに、『.hack//G.U.』に向けた仕込みが行われていたそうですが、次シリーズの構想はこの頃からすでにあったのでしょうか。

松山氏:そうですね。『悪性変異』の制作中は、TVアニメ「.hack//SIGN」の放送も行われていましたが、この頃にはすでに原型がありましたね。と言っても、私ひとりで妄想してる段階ですけど(笑)。でも『侵食汚染』制作の頃には、『.hack//G.U.』の具体的な企画に関して動き始めていました。

──では、初代シリーズの制作と『.hack//G.U.』の企画が平行して行われていた時期があったんですね。

松山氏:はい。ある意味、設計が終わったらあとは作るだけですから。もちろんそれはそれで大変なんですが、(企画を立てるのとは)労力の方向性が違いますからね。ちなみに『.hack//G.U. Vol.3 歩くような速さで』を作っている時に、OVA「.hack//G.U. TRILOGY」の制作も進めていました。70分の予定で作り始めたんですが、コンテ切ったら120分になっていたのも、今ではいい思い出です(笑)。

──倍近いじゃないですか!(笑)

松山氏:さすがに120分は、お金も体力も続かないので、削りに削って93分に収めました。それでも、20分に相当する予算は足りませんでしたが(笑)。

──その足りない分は、どうされたんですか?

松山氏:ええと……頑張りました(笑)。で、「.hack//G.U. TRILOGY」を2007年に作って、翌年から『.hack//Link』などのいわゆる第三期のプロジェクトを開始していきました。

──年表にしたら見応えありそうですね。

松山氏:「.hack」とついている作品を挙げると、30を超えますからね。

平田氏:シリーズ作全てをまとめた年表って、まだないんですよね。途中までのものはあるんですが。全部揃ったら見事だと思いますよ。

──それでは、『.hack//G.U.』に関してもう少しお聞かせください。サブタイトルに関してですが、どのような想いを込めてつけられたのでしょうか。

松山氏:初代『.hack//感染拡大 Vol.1~絶対包囲 Vol.4』の「感染拡大」や「悪性変異」などのタイトルは、脚本を手がけた伊藤和典さんのセンスだったんですよ。伊藤さんは物語を作る時、8つのブロックに分けてストーリーを考えるんです。起承転結を更に細かく分けるような感じですね。そのブロックごとにテーマをつけるんですが、『.hack』の最初のブロックには「感染」、2つ目のブロックには「拡大」と書いてあったんですよ。

──おお!

松山氏:それを順番に繋げて、四字熟語みたいな形にしてみました。ただ後半のブロックはそのままだとサブタイトルっぽくなかったので、「絶対包囲」だけは後からつけましたね。で、この四文字で現す形はもちろん良かったんですが、初代と同じルールというのも面白くないかなと思ったんですよ。

松山氏:『.hack//G.U.』は成長の物語でもあったので、 セカンドシーズンが始まる意味と、「The World」における事件が再び起きるということで、Vol.1は「再誕」に。そしてサブタイトルも成長させていき、Vol.2「君想フ声」で文字数を2倍に、Vol.3「歩くような速さで」では3倍にしてみました。

──なるほど、確かに倍々で伸びています。

松山氏:サブタイトルを決めた順番は「再誕」の次に、「歩くような速さで」でしたね。口語のようなタイトルが好きなんですよ(笑)。そして真ん中に当たるVol.2は、やはり目立たないといけないので、Vol.1やVol.3とは違うルールで作りたいなと考えまして。そのいびつさも『.hack』っぽいかなと。

松山氏:最初は「君想う声」だったんですが、このままだとVol.3と近い感じもあったので、エッジを効かせて「君想フ声」にしました。このサブタイトルにはいくつかの意味が込められていまして、ヒロインであるアトリがハセヲを想う気持ちだったり、ハセヲが未だに志乃を追いかけている気持ちの部分だったり、あとVol.3を遊ぶと分かるんですが、「君想フ声」の正体というのは、実はオーヴァンがハセヲを想う声だったりするんですよね。

──「君想フ声」には、Vol.3に向けたメッセージも込められていたんですね。

松山氏:サブタイトルについて今まで語ったことはなかったので、このインタビューを見て「お、そうだったんだ」と思う方もいるかもしれませんね。
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◆支持される理由に至る狙い

──先ほどのお話でもあがりましたが、『.hack//G.U.』10周年のコメントだけでも大きな反響がありました。これだけ長く愛され続ける理由を、松山さん自身はどのようにお考えでしょうか。

松山氏:物語、またキャラクターの熱量として一番愛されているのが、『.hack//G.U.』だというのは自覚しています。なぜならば、そのように作ったからです。そして、ゲームのシステム、発明という意味での認知と愛され方があるのが無印だというのも受け止めています。王道に一番近いのが無印ですから、一般性も高いですよね。

松山氏:『.hack//G.U.』を作る時に、「キャラクターに人気が出るようにしよう」と決めたんです。下世話な話、「コミケのカタログに『.hack//G.U.』のイラストが出るような作品にしたい」という感じでしたね(笑)。なので、キャラクターや物語が愛されるのが『.hack//G.U.』であるといのは、我々が狙った部分でもありました。

──では、先日のコメントに対する反響も、その狙いが実を結んだ結果のひとつと言えますね。

松山氏:そうですね。狙い通りであるのと同時に、「やってよかった」「嬉しいな」という気持ちでいっぱいです。

──ちなみに、コミケのカタログには載りましたか?

松山氏:ええ、載りましたよ。そして同人誌を買いに行きました。18禁の作品もあったんですが、「一向に構わん」と言って買いました(笑)。

──サークルさんの中には、松山さんだと気付いた方もいましたか?

松山氏:はい。中には、差し上げますと言ってくれた方もいらっしゃったんですが、もらいに行ったわけではないので、全てお金を払って買いました。……ちなみに同人誌関係では、今も反省している一件があるんですよね。

──何があったんですか?

松山氏:東京都内某所で、『.hack』のオンリーイベントがありましてね。そこに行き、サークルを回って全部の新刊を買わせてもらったんですよ。ただその時、主催者側に連絡とかしなかったんですよ。今なら「無神経だった」と分かるんですけど、当時はそういう意識や配慮まで思い当たりませんでした。

──オンリーイベントということは、その場にいる人たちは全て『.hack』好きですよね。そこに松山さんが足を運んだら、それはもう……。

松山氏:ええ。自分としては全く予想してなかったんですけど、結果大騒ぎになりまして(笑)。最終的には台に上がって、会場の全員に向けての挨拶や、当時作ってた「hack//G.U. TRILOGY」の話などをする形になりましたね。

松山氏:後から知ったんですが、サークルの方々にとっては、原作や原案を作ってる当事者がイベントに来るのは、恥ずかしかったり困惑する面もあるようなんですよ。中には、18禁の作品を描いている人もいるわけですし。

──確かに、恐縮してしまう気持ちも分かります。

松山氏:もちろん人にもよるとは思うんですが、私はどんな表現でも、本当に嬉しいんですよ。楽しみ方は人それぞれじゃないですか。二次創作でどのように料理していただいても、楽しんでもらってるというのは事実ですから。

松山氏:著作権の問題もあるので、BNEさんからするとなかなか難しい話にもなるのでしょうけど、私個人としては二次創作は大歓迎です。サイバーコネクトツーでは、ファンレターや同人誌をいつでもお待ちしております(笑)。スタッフも喜ぶので、むしろ送ってきてください!

平田氏:この流れだとなかなかコメントしにくいんですが(笑)、『.hack//G.U.』ファンの熱量の高さには驚かされるばかりで、実にありがたいお話です。『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』含めて、私たちがコンテンツを出し続けられるのは、愛して下さる方々のお陰に他なりません。

◆今後の『.hack』の動きは?

──ここでズバリ伺いますが、『.hack』シリーズの新作に向けた構想などはありますか?

松山氏:『.hack』シリーズの特徴のひとつは、ちょっと「背伸び」をしている部分なんですよね。例えば、遠い未来ではなく、そう遠くない将来を実現させている世界観などです。もともと、オンラインゲームが家庭用ゲーム機で気軽に楽しめるようになり始めた時代に、オンラインの環境を整えられない方でもオンラインゲームの魅力を味わえるゲームを提供したいという思いで生まれたのが『.hack』でしたから。

松山氏:そういう「背伸び」を踏まえ、もしも今『.hack』や「The World」を作るのであれば、現在のオンラインゲームとは違う、もう一歩進んだ新たなテクノロジーや、ユーザーが予測していない物語、新しい体験を作るべきなんじゃないかなと思っています。

松山氏:一部のユーザーさんからは、「新作やリメイクどころかゲームアーカイブスすらやらないのは、もう『.hack』シリーズをやる気がないからか」という声をいただくこともありますが、そんなことは決してありません。あのBNEさんですよ、先のことをちゃんと考えてるに決まってるじゃないですか!(笑)

──決まってるんですね(笑)。

松山氏:やるならば一番効果が上がるタイミングを狙う必要があるんです。ユーザーさんにもっとも喜んでもらえる最適なタイミングに向けて。楽しみに待っていてください。我々も、楽しみにしています。

──意味深ですね。了解しました、心待ちにしておきます。ちなみに、今の技術で『.hack』を作ったら、「hack//G.U. TRILOGY」クラスのグラフィックになりそうですか?

松山氏:「hack//G.U. TRILOGY」以上じゃないですかね。PS4とかだったらそうなるでしょうし、そうじゃないとダメだと思います。

──PS4の『.hack』、見てみたいですねぇ。

松山氏:私も見てみたいです(笑)。

◆松山洋が好きな『.hack//G.U.』のポイント

──ちなみに、松山さん個人が好きな、『.hack//G.U.』のキャラクターや展開などはありますか?

松山氏:そうですねぇ……『.hack//G.U.』はハセヲの成長物語であり、ハセヲとオーヴァンの物語ですが、私が好きな部分が全部入っている話でもあるんです。最後オーヴァンは助からないし、そんな過ちを犯した上でハセヲは答えを出して、Xthフォームに進化をして、オーヴァンではない別の何かと戦って決着をつける。これを描くために必要なものを、全部逆引きして作りました。

松山氏:Xthフォームになってオーヴァンと戦うんじゃなくて、過ちのまだ途中にいる段階でオーヴァンと戦い、間違った答えを出してしまう。そしてハセヲ自身が事の真相に気付いた時に、Xthフォームに進化する。その復讐や答えの形、その他あらゆるものを、自分自身が好きなものを詰め込んで作りました。

──まさにクリエイター冥利に尽きる制作だったんですね。ところで、最後の結婚イベントでは、誰を選びましたか?

松山氏:「ぴろし」と答えた方がいいんでしょうが(笑)、プレイした時は素直に「揺光」を選びました。もちろん、セーブしたところからやり直して、全員分見てはいるんですけどね(笑)。

松山氏:(メインヒロインの)アトリは定期的におかしくなってしまうので。彼女は今で言うヤンデレの走りでしたね。制作当時は開発陣からも人気がなくて、「アトリが嫌いなんですけど、どうしたらいいですか」って言われたこともあります(笑)。

──スタッフからもそんな声が(笑)。

松山氏:「ただ可愛いヒロインにすることはできるけど、『.hack//G.U.』で描きたいのはそうじゃないんだ。正しいことの中に狂った世界があるというテーマを描くために、アトリが必要なんだよ。全3巻を通して可愛さも見えてくるから」と言いつつも、それだけで突き進めるほど世の中甘くないというのも分かっていたので(笑)、素直に愛せるセカンドヒロイン「揺光」が生まれました。

──それだけに、想いもひとしおなんですね。

松山氏:『.hack//G.U. Vol.2 君思フ声』で「私は一途でしつこいぞ」という台詞を言わせた瞬間に、揺光が完成したと思ったんですよ。私自身がまず愛せるし、みんなから愛されるキャラクターになったぞ、と。そういう手応えを、あの時に確信しました。

──松山さんにとって、忘れられない名台詞ですね。ほかにも印象に残っている台詞などはありますか?

松山氏:ハセヲの「来い…来いよ! 俺は…ここにいる…っ! スケィスっ!!」という台詞なんですね。私の大好きな作品『空想科学世界ガリバーボーイ』に登場する「マインダー」と呼ばれるガントレットのようなもの(魔拳グローブ)があるんですが、このマインダーを使う時に「来い来い来いっ!」「来た来た来たぁぁぁ!」というかけ声から必殺技を放つんです。正直に話しますが、元ネタはそれです(笑)。

──元ネタ! そんなハッキリと(笑)。

松山氏:もちろん、『.hack//G.U.』の物語の中に当てはめた時、このまま勢いよく言う感じじゃないので、ハセヲなりの言い方をするとどうなるだろうなと掘り下げていったら、自然とこういう言葉になりました。ハセヲを象徴する台詞になったと思います。

──なるほど……!

松山氏:櫻井孝宏さんには申し訳なかったんですが、何度かに分けて収録させていただきましたね。ハセヲは絶叫系の台詞が多かったため、喉への負担が大きいんですよ。人気声優さんなので、スケジュールの調整が大変だったことも含めて、印象に残ってます(笑)。

◆『.hack』のこれまで、そしてこれから

──『.hack//』シリーズは3rdシーズンプロジェクトまで展開されていますが、このプロジェクトは完結していると思っていいのでしょうか。

松山氏:1st、2nd、3rdという意味では、3rdで一回終わってます。で、それから新たな『.hack』の流れとして、『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』があります。『ギルティドラゴン』に関しては、お客様に対してただただ感謝する気持ちです。応援があったからこそ、今日まで続けることができました。

松山氏:『.hack』プロジェクトのこれからに関しては、サイバーコネクトツーとしての言い方になりますが、次に向けて新しい『.hack』と呼べるものを動かしていく、作り上げていくという準備や心づもりはもちろんあります。ですが、「作っていますか」「動いてますか」と聞かれると、お答えできませんとしか言えないのが現状です。

松山氏:『.hack』のお客様から期待されているというのは我々も受け止めていますし、期待にも応えたいと思っています。皆さんからの想いは届いていると、今は言わせてください。

──嬉しい報告が寄せられる日を、楽しみにしておきますね。ところで、「.hack//zero」などの、未完のままになってる作品について聞かせていただいてもよろしいでしょうか?

松山氏:ウチで直接やってるものではないので、なかなか難しいところなんですよね……。

──終わった、終了したというわけではないんですか?

松山氏:終わってはないですね。描いてないだけです。「.hack//zero」は2巻の途中までは描かれていて、そこでピタリと止まってます。

──「.hack//bullet」の方はいかがでしょうか?

松山氏:あの作者は今所属のプロジェクトの開発が佳境を迎えているので、そちらが落ち着くまでは動けない状況ですね。落ち着いたら再開します。物語が完結したら書籍化なども考えているので、その時はまたよろしくお願いします。

──それではもうひとつ、これは予定や展望などではなく、あくまで松山さん個人の希望として、『.hack』シリーズでやってみたいこと、または『.hack』ならこんなことができるんじゃないかなと思っていることはありますか?

松山氏:『.hack』で、ということであれば……もし今後、『.hack』プロジェクトが動くことがあれば、熱量・温度などは『.hack//G.U.』に近しいものになると思います。やるのだとしたら、そういうのをやりたいですね。

──一ユーザーとしても、それを見てみたいと願うばかりです。それでは最後となりますが、『.hack』ファンに向けてメッセージをお願いします。

松山氏:『.hack//G.U.』をはじめ、『.hack』シリーズを応援してくださる声はしっかり届いています。我々も常に考えています。考えないわけないじゃないですか。ですので、首を長くして待っていていただけると嬉しいです。

松山氏:あと現行で動いている『ギルティドラゴン 罪竜と八つの呪い』関係なんですが、墨丸こいちさんが月刊コンプティークで連載していた漫画「ギルドラG ギルティドラゴン ~罪竜と八つの呪い~ A GAG CONCEPT」の単行本を、弊社より発売しています。漫画としてももちろん面白いですし、『ギルドラ』を今日まで続けることができた我々の感謝の気持ちも込めているので、喜んでいただけたら幸いです。

──平田さんも、よろしければ一言お願いします。

平田氏: 『.hack//G.U.』のファンは社内にもたくさんいますし、皆様の熱い思いは確実に社内に届いています。是非今後の展開にご期待ください。

──お二人とも、ありがとうございました!

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