個人的に少し衝撃だったのですが、確かによくみると浮世絵に描かれていない・・・箸置きの存在意義って何だろう?その歴史をたどってみました。
一足飛びにさかのぼりますが、箸置きの原型として「耳土器(みみかわらけ)」があります。
古代、神前に供え物をするために使用した箸置きで、餃子のように両端が持ち上がり箸を包み込むようになっています。この形状が耳に似ていることから「耳土器」と呼びました。主に素焼きで彩色はされていなかったようです。
耳土器(新潟県埋蔵文化財調査事業団)国立国会図書館蔵より
また、平安時代には「馬頭盤」という箸置き台も。こちらは天皇の正式な食膳や、宮廷の儀式や饗宴に使用されました。
箸置きは宮中や祭事の際に使用されるにとどまるようになり、いわゆる現代の小さな箸置きが必要になってくるのは、テーマやちゃぶ台が登場する現代になってから。
そもそも日本には古来から大きな卓上で食材を並べて食すのでは無く、一人ずつ膳に載せて食すスタイルが確立していました。お膳自体が箸置きの役割を持ち、箸は膳の端に片側を載せて使用していました。

美盾十二史(一勇斎国芳)国立国会図書館より
時代劇の蕎麦屋などではよく机(テーブル)が登場していますが、テーブルやちゃぶ台の登場は明治以降ですので、本来は庶民は床机や縁台に直接腰掛けてそこに盆や膳を置き食べていました。
座敷での場合も同様に、盆や膳を畳の上に置いて食べていたわけです。
そういった点からみても、箸だけを載せる道具が必要ではなかったということですね。
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